バナナと熟したリンゴを同じ箱に入れておくと、バナナの熟成が格段に早くなる / (C)株式会社デザインメイト/PIXTA(ピクスタ)
地球上で起きていること、どれだけ知っている?
この地球で当たり前に感じていることでも、うまく説明できないことがありますよね。例えば、「青い空が夕暮れに赤く染まるのはなぜ?」「台風が日本列島めがけてやってくる理由は?」
そんな地球に生きる私たちが知っておくべき「理系雑学」をご紹介します。太陽系を含む地球の歴史をはじめ、地球上で成立した大自然や気候、動植物、資源など、地球をめぐる大疑問にスッキリ回答!あらためて考えると、私たちはこの地球にまつわるさまざまなことを、じつはほとんど知らないのかもしれないかもしれません。
※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました。
一緒に保存するとほかの果物が成熟してしまうリンゴの秘密
果物は熟した状態のものがおいしいが、完全に熟した状態で収穫してから店頭に並べようとすると、種類によってはすぐに傷んでしまうため、輸送が難しい。実際、販売されている果物には、未熟なうちに収穫し、人為的に熟させているものが多い。このように、収穫してから人工的に熟させることを、追熟と呼んでいる。
追熟させる果物で有名なのはバナナである。日本で店頭に並ぶバナナのほとんどは、フィリピン、台湾、南米から輸入されたものだが、熟すとやわらかくなるため輸送に適さない。また、熟したバナナには、日本に生息しない害虫がつく可能性があるため、輸入が禁止されているのだ。そこで日本に到着後、追熟ホルモンとも呼ばれる「エチレン」をかけることで人工的に熟させているが、じつは果物の中には、このエチレンを大量に発するものがある。
多くのエチレンを発することで有名な果物が、リンゴだ。たとえば、バナナと熟したリンゴを同じ箱に入れておくと、別の箱に入れておいた場合に比べ、バナナの熟成が格段に早くなる。ただし、短時間で果物を「食べ頃」にしてくれる半面、追熟=老化を進めることになるため、やり過ぎると傷んでしまうこともあるので要注意だ。
ちなみに、エチレンには果物の追熟を促進する一方で、ジャガイモなどの発芽を抑制する効果がある。特にジャガイモの芽には、天然の毒素であるソラニンが多く含まれており、食べると吐き気や下痢を起こすこともあるため、あまり芽が伸びてしまうと食べられなくなる。そこで、ジャガイモを保存する場合には、新聞紙などに包んでリンゴと一緒に箱に入れておくと、長期保存することができる。
著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』