舌は本来、口を閉じた状態で上あごにピッタリつく位置が“定位置”。舌の位置が定位置よりも下がって上あごとの間に空間ができる“落ち舌”状態になると、姿勢の保持や自律神経に影響が出て、ダルさや浅い眠りを招くことも…。
そこで、寝る前におススメの「タングバキューム」と入浴時の習慣にしたい「舌凝りほぐし」を“舌博士”桂文裕先生に教えてもらいました。
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▶教えてくれたのは
桂 文裕先生
ましきクリニック院長。熊本大学医学部卒業後、同大学病院で頭けい部がん治療に従事。2003年より現職。耳鼻咽喉科専門医として延べ数十万人の舌を診察した「舌博士」。著書に『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)などがある。
舌が「正しい位置」にあるべき理由
「加齢などで舌の筋力が低下すると、舌の位置が下がり『落ち舌』になります。舌は筋膜で全身とつながっているため、落ち舌になると全身のバランスも崩れ、冷えやダルさが悪化するのです。舌の力が強まれば、正しい位置に戻ります。すると口呼吸から鼻呼吸に変わる、唾液の分泌量が多くなるなどの変化が起き、夏バテも軽減。舌は血液が多く、新陳代謝も盛んなため、早ければ1週間で効果を実感できます」と桂先生。
特に、睡眠中は鼻呼吸をキープすることがとても大切。寝る前にタングバキュームをすることで、鼻呼吸を促進し、寝ている間、酸素が全身に行き渡り、熟睡しやすくなる効果が期待できます。
ではその“タングバキューム”、いったいどうすればいいんでしょうか?気になる方法を見ていきましょう。
ダルさ、浅い眠り対策に…「お休みタングバキューム」
■タングバキューム
舌を上あごにベッタリつけます。そのままギューッと上方向に吸いつけて、その状態をキープ!
■タングバキュームする際の姿勢
(1)あおむけになりタングバキュームを行う
あおむけになって腕を体の横に伸ばし、手のひらを上に向けます。タングバキュームをしながら、鼻呼吸を30秒続けます。
(2)手のひらを下にしてタングバキュームを行う
あおむけのまま、手のひらを下に向ける。そのままタングバキュームをしながら、鼻呼吸を30秒続けます。
1、2を3セット繰り返すことで、鼻呼吸促進に効果が期待できます。
お風呂でチャレンジ!「舌凝りほぐし」
気軽にできる舌トレはほかにも!おススメのタイミングは、入浴中。舌をほぐすことで可動域を広げることができる上、入浴中なら、舌がやわらかくなりやすく、指がぬれても気になりません。ぜひバスタイムの習慣に!
■舌揺らし
人さし指と親指で舌の奥をつまみ、左右に10往復揺らします。最初は痛いので軽めでOK。だんだん揺らしやすくなっていくのがわかるはず。
■舌ツボ押し
左側の舌裏のつけ根を3秒押します。奥から手前へ位置を変えながら3カ所押し、右側も同様に。3セット行ないます。
■舌裏ほぐし
タングバキュームで舌を上あごに吸いつけながら舌裏を人さし指と親指でつまみ、舌先に向けて10回もみます。
「舌トレやってみました!」体験者の声
いち早く舌トレにトライした本誌スタッフの声をご紹介します。
■ライターO:あごの梅干しジワが目立たなくなった!
舌を上に伸ばすのも、舌凝りほぐしも苦行。翌日は筋肉痛でした。続けるうち痛みが軽減。ほうれい線とあごの梅干しジワが薄くなりました。
■編集者S:冷え解消&顔まわりがスッキリ!
舌伸ばしや舌回しは舌のつけ根が痛い!舌力の弱さを実感しましたが、次第に悩みだった顔のむくみがスッキリ。
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舌トレは、効果が出たらやめるのではなく、続けることが大切。効果が現れれば、やる気もさらにアップ。眠りにつく際や入浴中の習慣にすることで、より不調に強い体を目指せます。ぜひ今日からトライしてみて!
イラスト/こやまもえ 編集協力/及川愛子 文/Sakayori