年末年始には、古くから伝わる風習がたくさんあります。でもその意味や正しい作法は、意外と知らないもの。いざというときに迷わないよう、年末年始のしきたりやマナーを「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に教えてもらいました。
今回は、年賀状の挨拶文に関するマナー。よくある「あの」言い回し、実はNGなんです!
年賀状の正しい挨拶文と年賀メールの注意点
親しい友人からビジネスの相手まで、間柄を問わず送ることができる年賀状。新年を祝う言葉「賀詞」を添え、旧年中の感謝を伝えて新年も変わらないお付き合いを願うものです。
挨拶文は、「新年おめでとうございます」や「明けましておめでとうございます」が定番ですが、「新年明けましておめでとうございます」はNG。
一見、丁寧な言い回しに見えますが、夜明け、梅雨明けなどのように「明ける」には「終わる」という意味があります。
つまり、「新年明けまして」は「新年が終わりました」になってしまうので注意しましょう。
2024年の年賀はがきの受付はすでに始まっており(12月15日から)、元旦に届けたい場合は12月25日の各ポスト最終集荷に間に合うよう投函することが推奨されています。これから書くかたは、どうぞお早めに!
メールでのご挨拶もOK。でも一斉送信は避けるべき
「最近はメールで新年のご挨拶をする人も多いと思いますが、相手との関係性に応じて年賀状とメールを使い分ければ問題ありません。ただし、メールの場合は一斉送信で同じ文面を送ったり、年賀はがきをいただいた相手への返事をメールで済ませることは避けたいですね」(岩下先生)
最近は高齢や年賀メールなどへの移行を理由に、今後年賀状を辞退する「年賀状じまい」をするかたも増えています。お相手の事情も考えて、気持ちよく新年の挨拶を送り合いたいものですね。
教えてくれたのは
岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『日本人なら知っておきたいしきたり大全』(講談社)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)など著書多数。近著に『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)。
文=さいとうあずみ