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地震による3日間の全域停電。被災者が生まれて初めて経験した「怖さ」の正体

  • 2023年9月26日
  • レタスクラブニュース


大きな地震も増えている昨今。もしもを想定して、お家の防災を見直している方も多いのでは?
実際に地震が起きたときの困りごとや被災時に大切なことは、遭ってみないとわからないもの。被災者の経験から学びましょう。

今回は、北海道胆振東部地震で在宅避難を経験された、しのあや紅里さんにお話をお伺いしました。

2018年9月6日深夜に起きた北海道胆振東部地震では、全国初のブラックアウト (全域停電) が発生。そのさなか、札幌市に住むしのあや紅里さんが感じたのは、正しい情報を得ることの大切さでした。

*こちらで紹介するグッズや商品は、一部の被災者が必要だと感じたものです。被災内容や環境によって、必要になるものは異なります。

▶︎お話を伺ったのは
しのあや紅里さん
被災当時:看護師として総合病院に勤務。住まいのあった北海道札幌市では、震度6弱の揺れを記録。夫、中学生と小学生だった子ども2人と住む戸建て住宅に被害はなく、水道、ガスも異常なし。地震の備えはほぼなし。


「情報がない」ことで倍増する不安と恐怖。入手するためのツールは必須

札幌市に住むしのあや紅里さんは、北海道胆振東部地震による3日間の停電を経験。その中で強く感じたことがあるといいます。
「お風呂には入れないし、車庫の電動シャッターが動かず車も使えない。町なかでは信号が機能せず、公共交通機関も停止。職場の病院では、通常業務ができない状況でした。患者さんの対応に追われる中、災害って当たり前が当たり前じゃなくなって、行政が機能しなくなるんだと、実感しましたね」

また、生まれて初めて経験する「怖さ」があったとも。
「テレビは見られず、通信障害でスマホも使えなかったので、停電に関する情報が全く入手できなかったんです。だからいつ電気が復旧するか分からないし、デマが流れても根拠を確かめる術がない。こんな状況は、生まれて初めてのこと。すごく不安で怖かったのを、今も覚えています」

情報不足からデマが飛び交うように。復旧は3日目だった

■【地震発生当日の午前】深夜の地震直後に停電し同僚の車で出勤


水道とガスは使えたので、朝食を食べてから出勤。子どもたちの学校は休校に。「信号が消えている中、皆が譲り合って運転していたことに感動しました。でもこのときは、停電が長く続くとは思ってもいませんでした」

お湯が使えず入浴に一苦労
「出勤前には入浴しなければと、ガスこんろで沸かした湯に水を足して体を洗いました。このころはすでに肌寒く、つらかったです」

■【当日午後】水や電気に関するデマが飛び交うようになる


北海道全域で停電していたため、誰もが情報不足の状態に。
「そんな中、どこからともなく『何年も電気が復旧しない』『今度は水が出なくなる』『食料不足で道民がパニックになる』などのデマが流れ始めて。何が正解か、分からない状況でした」

■【3日目】なんとか入手した食材で鍋を作る


「冷蔵庫の食材は地震発生当日に炒め物にし、炊飯はガスこんろで。2日目は乾麺でしのぎ、3日目は近所のスーパーで運よく食材を買うことができ、鍋に」。22時頃には電気が復旧。「私はまずシャワーを、息子はゲームに飛びついていました」

もし地震の1日前に戻ったら何をする?

□電気を必要としないラジオを買う
□電気不要の家電を用意
「地震発生当時、家には電源に差し込んで使うタイプのラジオしかなく、スマホのラジオも電池残量が気になって使えなかったんです。なので、乾電池やバッテリーで使えるラジオは必ず準備したいと思います」。寒さが厳しい北海道では暖房器具も必須。「もしこの地震が真冬に起こっていたら、凍死する人が出ていたといわれていて。石油ストーブやガスストーブなど、電気不要で点火できる暖房器具は、備えておいたほうがいいなと思いました」

いつもなら受け流すようなデマも、非常事態にあっては真に受けてしまいがち。正しい情報を入手するためにも、停電下でも使える情報ツールをしっかり備えておきたいですね。

イラスト/oyasmur 取材・文/恩田貴子

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