「フライパンが焦げ付いてしまう。どう対処したらいいの?」フライパンを長く使っていると、このようなお悩みを持つことがあるのではないでしょうか。頑固な焦げ付きがあると、対処するのが億劫に感じられますよね。
そこで今回は、素材別にフライパンの焦げ付きを取る方法をまとめました。原因や日々の予防法についてもまとめていますので、ぜひ最後まで読んでいただき、毎日の家事を楽にするコツを掴んでくださいね。
まずは使っているフライパンの素材と適温を確認する
焦げ付きを防止するために、まずはお使いのフライパンの素材と適温を確認しましょう。
一般家庭で使われているフライパン素材は大きく分けて以下の3つです。
(1)フッ素加工、テフロン加工
(2)鉄
(3)ステンレス
鉄とステンレスに関しては、業務用の高火力で耐えうるほどの耐久性があります。一方、フッ素加工やテフロン加工のフライパンは、家庭用の低火力での使用がすすめられています。
そのため、フライパンの素材にあった適温を知ることが、焦げ付きを防ぐはじめの一歩です。しかし、いちいち適温を計るのは大変ですよね。調理してOKの合図を知る方法をお伝えします。
1.空のフライパンを中火にかける
2.1分ほどしたら、熱したフライパンに水滴を落とす
3.水滴が蒸発せずにフライパン上をコロコロと転がるかチェックする
水滴がコロコロと転がっていれば、調理開始の合図です。
その後は、必ず弱火(フライパンに火があたるかあたらないか程度の火の強さ)にして調理することで、フライパンにも食材にもやさしく調理できます。
フライパンが焦げ付く原因は2つ
フライパンが焦げ付く原因はおもに以下の2つです。
■フライパンの焦げ付きの原因その1「汚れが残っている」
フライパンの内側に汚れが残っていると、調理したときに焦げ付きやすくなってしまいます。またフライパンが触れるコンロの汚れも焦げ付きにつながりやすいので、五徳やコンロまわりもこまめなお手入れをするのが大切です。
■フライパンの焦げ付きの原因その2「調理前の予熱が十分でない」
フライパンが焦げ付くのには、調理前の予熱が十分でないことも考えられます。最初から強火で調理をすると焦げやすくなるので、弱火~中火でじっくり予熱し、フライパン全体が均等に温まってから調理しましょう。
フライパンの焦げ付きを落とす方法
ここからはフライパンの素材別に、焦げ付きを落とす方法をまとめました。テフロン加工、鉄、ステンレス、アルミとそれぞれの対処法を解説しています。
■テフロン加工のフライパンの焦げ付き
テフロン加工のフライパンは、以下の手順で焦げ付きを落とすのがおすすめです。
1.底を覆うくらいの水を入れて、中火で沸騰させる
2.一晩つけおきする
3.その後スポンジでなでるように洗う
上記の手順でも焦げ付きが落ちないときは、重曹、もしくは酢を大さじ1杯入れて再度沸騰させてみましょう。
時間がたつと焦げ付きが浮いてくるので、スポンジでこすると落ちやすくなります。
■鉄製のフライパンの焦げ付き
鉄製のフライパンは、以下の方法で焦げ付きを取るのがおすすめです。
1.フライパンの底を覆うくらいの水を入れる
2.中火で加熱して、ヘラなどで焦げ付きを取る
3.水けをきって油ならしをする
鉄製のフライパンは、油ならしをすると再度焦げ付くのを防ぎやすくなります。油ならしをするのは、フライパンを使う調理前と、焦げ付きを取り水けをきった後の2つのタイミングがおすすめです。油ならしの手順は以下の通りです。
1.フライパンをお湯で洗う
2.フライパンを火にかけて、水分を蒸発させる
3.中火で数分加熱して、底を覆う程度の油をしみ込ませる
4.キッチンペーパーで軽くふき取る
鉄製のフライパンは洗剤を使うと焦げ付きやすくなるので、お湯を使ってタワシで洗うことがポイントです。
■ステンレス製フライパンの焦げ付き
ステンレス製のフライパンは、水と重曹を使うと焦げ付きを落としやすくなります。手順は以下の通りです。
1.水と重曹大さじ1を入れて10分間沸騰させる
2.火を止めて木べらで汚れを取る
3.お湯を捨ててスポンジで汚れを落とす
■アルミ製フライパンの焦げ付き
アルミ製のフライパンは、以下の手順で焦げ付きを落としましょう。
1.中性洗剤と酢を少々まぜる
2.落としたい焦げ付きにしみ込ませる
3.フライパンを火にかける
4.冷まして洗剤を捨てる
5.しばらく時間を置いてから布でふく
上記の手順で落ちないときは、水と酢を2:1の割合でまぜて沸騰させるのがおすすめです。
フライパンの焦げ付きを予防するには
フライパンの焦げ付きを予防するには、長時間強火を使わないことや、油をひいて予熱すること、フライパンやコンロのお手入れをすることが大切です。それぞれのポイントを解説します。
■長時間強火を使わない
長時間強火にかけると、フライパンが焦げ付きやすくなります。食材が焦げないよう、弱火からスタートして徐々にフライパンを予熱し、フライパン全体が均等に温まってから必要に応じて強火にしましょう。煮物やとろみのある料理をつくるときは、底をまぜて焦げ付かないようにすることもポイントです。
■油をひいて予熱する
焦げ付きを予防するためには、調理する際に油をひいて予熱することも大切です。油が足りないと食材が底にくっついてしまうので、底全体を覆う程度の油を薄くひきましょう。
■しっかり汚れを落とす
フライパンの焦げ付きを予防するのなら、使ったあとにしっかり汚れを落とす心がけも必要。前回調理したときの汚れが残っていると、焦げ付きの原因になるからです。
ゴシゴシこする必要はないので、汚れが落ちる程度にスポンジで丁寧に洗いましょう。毎回汚れをきちんと落とせば、表面の劣化もしにくくなります。
■コンロをお手入れする
意外と見落としがちなのが、コンロのお手入れです。フライパンの内側がきれいなのに外側が焦げ付くときは、コンロの汚れが移っているかもしれません。
五徳や天板など、フライパンに触れる箇所はこまめにお手入れをしましょう。
フライパンの焦げ付きに関するQ&A
ここからはフライパンの焦げ付きに関するQ&Aをまとめました。使用状況やケース別のお悩みに合わせて、気になるものをご覧ください。
■焦げ付きを強くこすって落としても大丈夫?
フライパンのなかには、こすって汚れを落とすことを推奨していないものがあります。たとえば、表面にテフロン加工などコーティングが施してあるフライパンは、硬いスポンジやメラミンスポンジを使うのはNG。
他の素材も表面を傷めてしまう可能性があるので、できれば酢や重曹などを使用して焦げ付きを浮かせるのがおすすめです。
■フライパンが焦げ付くのは寿命のサイン?
先ほど紹介した手順を使って焦げ付きが落ちるのであれば、使い続けても大きな問題はないでしょう。ただし、テフロン加工などコーティング加工が施してあるフライパンは注意が必要です。焦げ付くだけでなく、加工が剥がれるようになったら寿命のサインかもしれません。
鉄やステンレスなど、コーティングされていないフライパンであれば、基本的に10年かそれ以上使用できます。本体にヒビが入ったり、サビが出たりしない限りは利用しても問題ありません。
自分のライフスタイルに合ったフライパンを選ぼう
ほぼ毎日使う、フライパン。だからこそ、自分のライフスタイルに合った使い方ができているかどうかを知ることも大切です。ライフスタイルを振り返ってみることで、自分にあった道具(=適切なフライパン)が何か、も見えてくるでしょう。
家族構成がひとりと複数人では、当然フライパンの大きさも異なり、大きいサイズであれば熱のまわり方も変わります。
30分程度の短時間で調理し、野菜を主菜とする和食。それに対して、肉を焼いたり、トマトやビネガーなど酸性を多く含む食材やソースなどを煮込んだりする洋食とでは、フライパンへの負担も変わります。
熱源も、鉄やステンレスはIHと相性が良いものの、フッ素樹脂製やテフロン加工では、使用不可のものもあるでしょう。フッ素樹脂のフライパンは、寿命が3年以内とも言われています。
ものや食材を使い捨てない「SDGs」が当たり前になった昨今、これまでのフライパンの使い方を見直しながら、フライパンと上手に付き合っていきたいですね。
文=ゆらり 監修=荒井康成(料理道具コンサルタント)