松の内と呼ばれる1月7日が過ぎると、お正月気分もおしまいです。
お役目が終わったお正月飾りなどは、どのように片付けるのが正しいのでしょうか?
お正月にお迎えした年神様をお送りするマナーを、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に教えてもらいました。
切る、割るはNG! 神様が宿っている鏡餅の正しい扱い方
1月11日は「鏡開き」と言って、正月の鏡餅を食べる日です。
なお、鏡開きは1月7日までの松の内が終わった「松明け」の行事のため、地域で違いがあり、関西では旧暦の二十日正月に当たる1月20日に行うところもあります。
もともと武家から始まった行事なので、切腹を連想させる刃物は使わず、手や木槌を使って餅を開きます。
「年明けに”割る”という表現も縁起が悪いため、末広がりを意味する”開く”が使われるようになりました。鏡餅は年神様が正月の間に宿る場所なので、鏡餅を食べることで年神様の力を授けてもらい、新年の無病息災を祈願しましょう」(岩下先生)
開いた鏡餅はお雑煮やお汁粉、かき餅などにすると、おいしくいただけます。
なお、鏡餅を割った時に出る小さなかけらを捨てるのはNG。
うどんやお味噌汁など、汁物に入れて煮込んでいただきましょう。
お正月飾りはいつまで飾るの? 年神様を正しく送り出そう
お正月に飾った門松や注連飾りは、1月7日に外すのが一般的とされています。
お役目の終わったお正月飾りは、どのように処分するのが正しいのでしょうか?
小正月の1月15日に行われる「どんど焼き」は、お正月飾りを燃やす火祭りで、お正月にお迎えした年神様をお送りする行事です。
「都市部ではどんど焼き行事は廃れつつあり、場所を探すのも容易ではありません。その場合、お札やお守りのお焚き上げをしている神社に問い合わせてみましょう。どうしても見つからない場合は、ゴミ袋に塩を少し振り、正月飾りをきれいな紙で包んで他のゴミと分けて処分するなど、気配りができるといいですね」(岩下先生)
新年への願いや祈りを込めて飾ったものを、ゴミという意識で捨てることだけは避けましょう。
願いを思い起こし、感謝しながら処分することで、意味合いが変わってくるものです。
年神様をお送りして、「二十日正月」と呼ばれる1月20日を迎えたら、正月の行事もおしまいです。
日本の伝統的なしきたりや行事に触れることで、お子さんは家族や親戚との楽しい時間を過ごす機会になります。
年末年始のしきたりを大切にして、家族の絆を深めてくださいね。
教えてくれたのは
岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『日本人なら知っておきたいしきたり大全』(講談社)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)など著書多数。近著に『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)。
取材・文=田辺千菊(Choki!)