「子どもには少しでもいい人生を歩んでほしい」と、親であれば誰しも願うもの。
先の見えない時代を切り拓く子どもたちが、幸せを掴むために必要なのは、自分への理解に基づいた判断基準、すなわち自分軸です。
30年間教育に携わる教育家であり、「見守る子育て研究所」所長の小川大介氏による2021年1月刊行の新刊『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』から、自分軸を伸ばす子育てのコツをピックアップしてご紹介します。
※本作品は小川 大介著の書籍『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』から一部抜粋・編集した連載です
子どもの健康こそ、夫婦でコンセンサスを取る
私が見る限り、子どもの健康を熟知しているのは、圧倒的にお母さんたちのほうです。子どものかかりつけの小児科を知らない、母子手帳すら開いたことがないというお父さんも、少なくないのではないでしょうか。
もし心当たりがあるようでしたら、今からでもぜひ、子どもの健康に関して夫婦で価値観をしっかり共有しておくことをおすすめします。
というのも、夫婦で「子どもの健康面における希望到達点」にズレがあると、子育てが苦しくなってしまうからです。
たとえばアレルギーのある子どもがいたとして、母親は季節によって体調にムラがあるわが子の特性を理解していても、父親がよくわかっておらず「元気がないからもっと運動させよう」と言い出したりすることがあります。
好き嫌いの多い子どもに対し、母親はその子なりのメニューや量を考えて食事を出していても、しっかり食べさせたい父親が「野菜が少ないんじゃないか」と言い出したりすることもあります。
健康面において理想とする到達点が異なることで、特にお母さんたちがしんどい思いをすることは、決して少なくないのです。
■健康面の先回りは学習面の先回りにつながる
この本でなぜ「子どもの健康」の話をさせていただくかというと、健康についての価値観がズレていると、後々「見守る子育て」がしづらくなってしまうからです。
夫婦でコンセンサスが取れていないと、片方の親(たいていの場合は母親)が口出ししてくる側(たいていの場合は父親&義理親)の言葉や顔色をうかがうようになってしまい、子どもの健康に気を遣ってあれこれ先回りすることが増えてしまいます。そうすると、子どもが成長したときに、健康面だけでなく学習面でもあれこれ手をかけすぎるという思考回路にはまりやすいのです。
健康に関することは命に関わる場合もありますから、感情的になりやすい問題です。
夫婦でコンセンサスが取れていないと、いざというときに夫婦が互いを責め合うことにつながりがちです。
「ひざが痛いと言っているけれど、今すごく背が伸びているから、成長痛かもしれない」「春先は夕方になるとだるくなるみたい」などといった、子どもの健康面の「ちょっとしたこと」を、折に触れて夫婦で話し合っておくと、少々のことでオロオロせずに、穏やかな気持ちで子どもを見守れるようになります。
■【まとめ】子どもの健康については夫婦で価値観を合わせておく
子どもの健康面についての価値観を夫婦で共有しておくことで、後々「見守る子育て」がしやすくなる
著=小川 大介「自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て」(KADOKAWA)