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食事をまともに食べてくれない5歳の息子。栄養の偏りが気になります【小川大介先生の子育てよろず相談室】

  • 2020年11月24日
  • レタスクラブニュース
Amazonでも好評価の書籍「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第52回目のお悩みはこちら。


【お悩み】


5歳の次男の食事についての悩みです。あまり量が食べられず、すぐにお腹がいっぱいになってしまうようで、肉や野菜などのおかずを用意しても、手をつけないことがほとんどです。それで夜遅くになって「お腹すいた」と言って、夫の食べているものに手を出したりします。おやつは大好きで食べていますが、そのせいで夕飯が食べられなくなっているのかもしれません。とはいえ、おやつもそんなにたくさん食べているわけではないので、長男が食べているおやつを、次男だけなしにするのも可哀そうな気がします。

体型としては、長男と次男を比べてみても、どちらも肥満でもやせ過ぎでもなく、成長曲線からもはみ出してはいません。ただ、最近次男は喉が渇きやすかったり、朝ちょっと気力がないように感じられたりするので、食事のせいかもと心配です。このままではいけない、栄養バランスよく食べさせたいとは思っているのですが、立て直し方がわかりません。(Mさん・36歳)

【小川先生の回答】


■ムリに食べさせなくても大丈夫。味覚の成長を待ちましょう
うちの息子もスーパー偏食でしたから、子どもが小さい頃は、妻も大変苦労していましたね。栄養バランスを考えて作っても、そもそも食べてくれませんでしたから。なのにお菓子は食べるので、妻は嘆くという繰り返しでした。次第に疲れてしまって、結局は“バランスよく食べさせる”ことを諦めました。

体が小さいのだから、お腹がいっぱいになる感覚も早いだろうし、実際胃腸が弱くてあまり量を食べられないという子もいます。息子さんも多分本当に少量ずつしか食べられないのだと思います。それを無理に「食べなさい」とやってしまうと、ごはんを嫌いになってしまうのではないかと、そのほうが心配です。

成長するにつれて味覚も変化しますし、自分なりにちょっとずつ食べられるものが増えてくると思うので、今はそこまで心配しなくても大丈夫。うちの息子も「給食でほうれん草2本食べられた」とかそんな次元でしたけど、特に問題なく成長しています。

バランスよく食べられる子に育つのであれば、それはもちろんいいことだとは思いますが、“偏食でも別にいいんじゃない?”というのが、私の考え。我が家だけでなく、たくさんの家庭を見てきた実感としてあります。

■子どもの成長は体の栄養だけでは決まらない。心の栄養バランスも大切な要素
栄養というのは体に直結するものだけに、“ちゃんとしなきゃいけない”と頑張り過ぎてしまう親御さんが多い気がします。でも親がストレスを感じたり、一日の生活を送るうえで無理を生じさせるレベルでの栄養バランス努力はやめたほうがいいでしょう。親がしんどくなって不機嫌になったら、そのほうがよほど子どもにとってマイナスです。

栄養には、体の栄養だけでなく心の栄養もあります。体の栄養が少々偏っていても、親子の愛情が届いていたら、そのほうが大きいと私は思います。もちろん、料理好きでバランスよい食事を出すのが苦にならないのなら、そうしてあげればいいでしょう。でも、“加工食品や市販のお菓子などを子どもの口に入れることを何としても避けなきゃ”と必死になり、理想的な食事を3食準備して疲れてしまうようなら逆効果。親が不機嫌になり、子どもとの会話が減ってしまうくらいなら、買ってきたものを食べさせて、親子のコミュニケーションを増やしたほうが、子どもはまともに育つと私は考えています。

子どもの成長は、栄養というひとつの要素だけで決まるわけではありません。栄養も大事だけど、習慣も大事です。朝起きる時間や夜寝る時間など一日の生活サイクルがそれほど崩れずに安定していたら、習慣の力でそれなりに育つものです。そして何より大事なのが親子の愛情でしょう。こういったいくつもの要素が子どもの成長に関わっているため、体の栄養だけに囚われてしまうと、心のバランスを崩してしまう危険性もあります。自分の家庭なりにムリのない範囲で、心と体の栄養バランスをとっていくのがいいと思います。

回答者Profile


小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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