■相談者プロフィール
がーこ(44歳女性)
20代前半で母を亡くす。15年前に地元に戻り、実家で一人暮らし。外国にいる姉とは長らく疎遠。
お悩み相談
母が病死したのが20年前、それから6年後(今から14年前)に「再婚するから出ていく」と父(当時64歳)は実家を出ていきました。14歳年下の女性と再婚し、彼女の実家を建て直して暮らし始めました。
それ以降、父から連絡があるのは年に一度。「その家(わたしの暮らす実家)の固定資産税を払ってやったからな」という電話だけ。
ある日、父のケアマネジャーと名乗る人から連絡がきました。数年前に再婚相手が脳出血で倒れ、それ以降父が介護してきたとのこと。しかし、父も78歳と高齢で、体の具合もよくなく、二人で暮らすのは難しいから施設に入るよう説得してほしいと頼まれました。
久しぶりに会う父はかなり老けていました。暑さを口実に、なんとか夏の間だけ入所する了承を取り付けました。
施設での面談では、スタッフを前に「こいつ(わたしのこと)は頼りにならん」「僕には友だちがいて、みんな頼ってくれればいいと言ってるから家に帰ってもこんなやつの世話にはならん」など、わたしのことを蔑む発言ばかりします。
頭のいい父は、子どもの頃から出来の悪いわたしのことを「おまえなんか」と言い続けてきました。
母には恩を感じますが、父に対する優しい気持ちはゼロです。
わたしには姉がいますが、外国に住んでいて3年以上連絡をとっていません。再婚相手の子どもたちは近くにおらず、二人の用事をするのはわたしだけです。
入所の手続きなど全部、わたしがしました。
用事を思いつくと朝6時にでも電話してきて、今すぐなんとかしろと言います。
そうやって頼るくせに、とうとうお金のことでわたしを疑い始めました。
短期入所施設はとても高価です。二人がもらう年金額では足りず、そのことを伝えると「おまえは信用できん。僕の友だちは足りると言っている」と…。
こんなひどい扱いを受けながら面倒を見続けるのが苦しくてたまりません。
夏が終わった後の入所先がみつかっていませんが、こんな親子関係なので、私が同居して面倒を見るというのは現実的ではありません。どうしたらいいでしょうか。
介護は義務ではありません。自分の生活を最優先しましょう
以前からお父様から理不尽なことを言われているにもかかわらず、施設の短期入所の手続きをされる等のご対応、頭が下がります。
私自身、介護福祉士としてこれまでさまざまなケースを見てきましたが、親が高齢になった時、今後の生活に大きく影響してくるのがこれまでの家族関係です。
がーこさんご自身が心穏やかに暮らすためには、夏以降も施設入所を継続された方がいいでしょう。今後あなたが一切の関わりを断つことになったとしても、社会資源を活用していくことで医療・福祉におけるさまざまな支援を受けることが可能です。
2025年には、75歳以上の高齢者の人口が2,000万人を超えると予測されています。それに伴い、厚生労働省は医療・介護・支援等のさまざまなサポートをしながら、高齢者が安心して生活を送っていけるように「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。
各市町村に設置されている地域包括支援センターでは、保健師(看護師)・社会福祉士・主任ケアマネージャーが連携してそれぞれの専門性を活かした支援を担っています。
現時点で既にお父様には担当のケアマネージャーがいらっしゃるようなので、ケアマネージャーを通じて地域包括支援センターに相談してもらいましょう。
入所可能な施設の情報や必要な手続き等、福祉における専門的なアドバイスを受けることができます。
その際にあなたの思いをケアマネージャーに伝えて、今後、父親の生活にはかかわらない意向をはっきりと伝えておいてください。
介護は義務ではありません。がーこさんご自身の生活を大切にしてくださいね。
■回答者プロフィール
彩織
介護福祉士・メンタル心理インストラクター・音楽療法講師。さまざまな自治体や福祉施設で講師として活躍中。