新型コロナウイルスの影響で生活が大きく変わり、SNSがきっかけの罪や新型コロナに乗じた特殊詐欺など、子どもや高齢者を狙う新たな犯罪が増加中。
でも慌てないで!
デジタルがちょっと苦手な人でも、今すぐ簡単にできる防犯対策があるんです!
前編では高齢者が狙われやすい「特殊詐欺」と、子どもも巻き込まれやすくなっている「SNS犯罪」について、防犯ジャーナリストの河合成樹さんに教えていただきます。
教えてくれたのは▷防犯ジャーナリストの河合成樹さん
(公社)日本防犯設備協会認定防犯設備士。
女性向け防犯メディア「Moly.jp」の運営をはじめ、講演会やテレビ出演などを通じて防犯対策の啓もう活動を行なう。2児の父。
■\時代に合った防犯対策で大切な家族を守る!/
夏は、ただでさえ子どもを狙った犯罪が増える季節。
それに加え、ことしは新型コロナウイルス感染拡大の影響で生活様式が一変。
新たな手口の犯罪が増えています。
「コロナ禍で屋外に遊びに行く機会が減り、子どもたちの在宅時間が増加。
それに伴い、ゲーム機やスマートフォンを介した犯罪が増えているんです」(河合さん)
子どもに加えて心配なのは、離れて暮らす親たち。
実は今、高齢者を狙った新型コロナにまつわる特殊詐欺も増加しているそう。
「こういった犯罪から大切な家族を守るためには、設備面を充実させることに加え、家族間のコミュニケーションを密にすることが大切です。
ハードとソフトの両面から、犯罪を防ぐ仕組みをつくっていきましょう」(河合さん)
■\問題なのはズバリ心の距離/
危険度1位の【特殊詐欺】から親を守るには…「親とのコミュニケーションを密にせよ!」
オレオレ詐欺や還付金詐欺といった特殊詐欺の被害に遭う高齢者は後を絶たず、被害額は年々増加する一方。
いったいなぜ、高齢者はだまされてしまうのでしょうか?
「特殊詐欺の手口が年々巧妙化していることも原因の一つですが、実は家族とのコミュニケーションが密に取れていないことが、最も大きな原因。
詐欺電話がかかってきたときに息子や娘に相談できず、判断を誤ってしまう……というのが特殊詐欺被害の典型的なパターンなんです。
まずは、詐欺の入り口となる家の固定電話に対策を施すこと。
そして何より、家族間の会話を増やし、いつでも連絡できる関係性を築くことを心がけて」(河合さん)
最近の特殊詐欺ってこんな感じ
■1▷話題の時事ネタをうまく絡めてくる
だます側は、最新の時事ネタに絡めたうその話を持ちかけてきます。
なぜなら、そのトピックスについての情報が広く世に出回る前であれば、情報の真偽の判断がつきにくく、簡単に相手をだますことができるから。
最近なら、新型コロナやオリンピックにまつわる詐欺がまさにそれ。
■2▷演技・演出が凝っている
近年増えているのは、複数人で警察官や弁護士、区役所職員などの役を演じたり、サイレンの音などの効果音まで用いながら被害者をだます〝劇場型〟の詐欺。
「私はだまされない」と思っている人でも簡単にストーリーの中に取り込まれてしまうほど、手口は巧妙化しています。
■3▷「先生と生徒」の関係を巧みにつくる
詐欺師側は専門的な知識が必要な分野の話題を被害者側に持ちかけ、教える側と教わる側=先生と生徒の関係を巧みに築きます。
時間をかけてコミュニケーションを図るため、被害者は無意識のうちに「専門家がいっているから」と相手を信用。
だまされてしまうというわけです。
なぜだまされる? 何ができる?
巧妙化する一方の特殊詐欺の手口ですが、実はその防止策はとてもシンプル。
犯罪の入り口となる固定電話への対策と家族間のコミュニケーションで、充分防ぐことができるんです!
■親がダマされる訳1▷気軽に相談できる人がいない
家族とのコミュニケーションがきちんと取れていない人は、いざというときに家族に気軽に相談できないもの。
その弱みにつけ込み、詐欺師側は息子や娘のように親身なふりをして近づいてくるため、つい信用してしまうそう。
■子どもができること▷相談しやすい関係性をつくる
親子のコミュニケーションをいかに密にできるかが、被害を防ぐ一番のカギ。
ふだんから「最近変な電話がかかってこなかった?」「何かあったらすぐ電話してね」などとやさしく伝え、相談しやすい関係性をつくりましょう。
■親がダマされる訳2▷真偽を確かめるすべがない
親世代はスマートフォンで電話はかけられても、インターネットの操作には不慣れ。
そのため、警察や金融機関を装った怪しい電話がかかってきても、真偽を確かめるすべがなく、詐欺師のいうことをうのみにしてしまうのです。
■子どもができること▷親の代わりに子が情報の真偽を確認
まずは、家に怪しい電話がかかってきたらすぐ家族に連絡するよう、親としっかり約束を交わしましょう。
親から連絡があったら、家族が代わりに情報にアクセスし、真偽を確認する……という態勢を整えておくことが大切です。
■親がダマされる訳3▷電子機器がよく分からない
現在の通信機器の主流はスマホ。
固定電話を設置している家庭は減少していますが、多くの高齢者の家庭ではいまだ現役です。
そこを狙って詐欺グループは固定電話にかけてくるのですが、「電子機器に弱くて……」と何の対策もしていない家庭がほとんど。
■子どもができること▷帰省するときにハード面を整える
録音していることを事前に警告する音声が自動で流れる電話機など、詐欺被害を未然に防ぐための機能を搭載した電話機が各社から発売中。
価格も1万円台からと手ごろ。
帰省時に設置から使い方のレクチャーまで行なえば安心です。
■\実はこれが大事!/
「家の電話が鳴っても、知らない番号なら出ない」
「特殊詐欺の入り口の約9割は、家庭の固定電話。
その入り口を遮断してしまうのが最も確実な防犯方法なので、知らない人からの電話には出ないこと。
ナンバーディスプレイ非対応の電話機なら、これを機に迷惑電話防止機能のついた電話機に買い替えても」(河合さん)
■お役立ちグッズ▷ネット回線いらずのコミュニケーション&安否確認ツール
スマホから実家のテレビに動画や写真を直接送信できるサービス。
親が動画や写真を見ると、スマホに通知が届く。
インターネット環境は不要。設置は受信ボックスをテレビに接続するだけ。
▷「まごチャンネル」 受信ボックス一式¥18,000、利用料(月額)¥1,480/チカク
■\親が介入しないから危険度UP…/
我が子を「SNS犯罪」から守るには、「不明なフォロワーをチェックせよ!」
犯罪者たちが、子どもとつながるツールとして悪用しているのがSNSです。
「最初はやさしいお兄さん、お姉さんのふりをしてメッセージを送り、信頼関係を築くのが手口。実際に会ったり、頼まれて裸の写真を送ってしまうケースも」(河合さん)
今やゲーム機でもSNSができる時代。
子どもたちが見知らぬ大人と知り合う機会はあちこちに……。
「ネットに疎い、面倒だからと、子どものSNSの利用状況を把握していない親が多すぎます。
SNSは便利で楽しいものだけど危険もある、ということを子どもに伝えるとともに、親も一緒に勉強していくことが大切です」(河合さん)
SNSを入り口にこんな犯罪が起こる
■1▷誘拐
親身に相談に乗り、信頼関係を築いたうえで会う約束をし、そこから誘拐に発展……というケースが多発。
金品目的ではなく、相手がやさしかったから会いに行ったという子が多いそう。
■2▷自撮り被害
相手に嫌われたくない、スタンプを買ってもらったなどの理由で裸の写真を送ってしまう自撮り被害。
スマホやゲーム機利用者の低年齢化により、小学生の被害が増えています。
■3▷性犯罪
昨年1年間に、SNSを通じて性行為を強制されたり、児童買春の被害に遭った18歳未満の青少年は約500人。
中高生が多いものの、小学生の被害者も報告されています。中には男児の被害も。
子どもを守るお助けテク
■◆◆◆相談できる環境づくり◆◆◆
いちばん怖いのは、誰にも相談できないこと。
事態の悪化を防ぐためにも、ささいなことでも必ず親に相談するという約束を子どもと交わしましょう。
子どもとはふだんからコミュニケーションを取り、相談しやすい環境づくりを意識して。
■◆◆◆フィルタリング◆◆◆
フィルタリングは、有害なウェブサイトや利用させたくないアプリをブロックする機能。
スマートフォンを利用する際には、親が必ず設定を。
SNSを通じて犯罪被害に遭った子どもの9割は、フィルタリングを使用していなかったという調査結果も。
■◆◆◆ルールづくり◆◆◆
SNSやゲーム機の利用について親子で話し合い、納得のうえでルールを決めましょう。
最低限のルールとして、次のことは必ず伝えて。
「ネットだけの知り合いは信用しない」「個人情報を教えない」。
ルールは子どもの成長に合わせて見直しを。
■◆◆◆フォロワーチェック◆◆◆
子どもとルールを決めた上で、子どものツイートに「いいね」をつけているアカウント、インスタグラムのフォロワー、ゲーム機のフレンドリスト。
その中に、子どもの写真を大量にアップしていたり、性的なコンテンツばかりフォローしている人がいないかチェック。
見つけたら削除を。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
今年は思うように帰省できないけど、そのかわり実家の親とは密に連絡を取り合おう!…と心に決めました!!
次回、後編では在宅でも入ってくる窃盗犯=「不法侵入」と、「子どもの誘拐」対策について、引き続き河合さんにおうかがいします!
【レタスクラブ編集部】