目元のクマを隠すのに悪戦苦闘して、化粧に手間や時間がかかってしまっている人は多いのではないでしょうか。しかしクマは、化粧で隠すだけでは根本的な解決になりません。
今回は、クマの原因や対処法及び、クマをキレイに隠す方法について、皮膚科医の宇井千穂先生にお聞きしました。
■目次
1.なぜ眼の周りにはクマができやすいの?
(1)細静脈のうっ滞が原因
(2)ヘモグロビンが多いことも原因
(3)クマが青黒く見えるワケ
(4)眼の周りの皮膚はデリケート
2.クマができるデメリットって?
(1)とにかく目立つ
(2)老けて見える
(3)トラブルが起こりやすい
3.クマの種類や特徴は?
(1)大部分のクマは眼の下に
(2)クマの形もさまざま
(3)クマの色は茶色が多い
(4)色によって原因は異なる
4.クマの原因と対処法について
5.クマをきれいにしたいなら?
■プロフィール
宇井千穂 先生
1990年、準ミス日本受賞。
全日空客室乗務員を経て、医学部を卒業し、現在、皮膚科医、美容皮膚科医として勤務。
皮膚科医としては、活性酸素とSODの研究による天然の治療薬を使い、アトピーを中心とした皮膚疾患を診ています。
女医+(じょいぷらす)所属。
女性の眼の周りの悩みの中で、小じわについで多いのが、クマです。クマは、医学的にいうと「下眼瞼の暗紫斑」のことで、眼の周り(上下眼瞼)及び、その一部が黒みがかって見える状態をいいます。
クマは、大まかに分けると、眼の周囲全体に発生するタイプと眼の下に発生するタイプがありますが、ほとんどの場合は眼の下に発生するタイプです。
(1)細静脈のうっ滞が原因
眼の周りには、多くの毛細血管が存在しています。クマが目立つ方は、頬の血流と比較して、眼の周りの血流速度が低下している傾向にあるといえるでしょう。
下眼瞼の結合組織の中に存在している、毛細血管が集合して静脈になる手前に形成される、「細静脈」という細い血管がうっ滞して、血液がそこに溜まることが、クマの原因とされています。
(2)ヘモグロビンが多いことも原因
血液のヘモグロビン量が多くなると、ヘモグロビンの酸素結合度が減少して、青黒く見えることも、クマの原因と考えられています。
(3)クマが青黒く見えるワケ
クマの色は、細静脈の赤血球が増加したり、光の波長の関係で青っぽく見える「青色偏位」という現象を起こしたりしているために、青黒く見られると考えられています。
(4)眼の周りの皮膚はデリケート
眼の周りは、皮膚がとても薄い部分。皮膚が薄いということは、その下にあるたくさんの毛細血管の影響を受けやすく、色が透けて見えるということでもあります。デリケートで、乾燥しやすい部分でもあります。
クマができることによってさまざまなデメリットがあります。ここでは、クマがもたらすデメリットについて、くわしく解説していきましょう。
(1)とにかく目立つ
大半の方は、クマの色が濃く目立ってしまうことが悩みでしょう。前述のとおり眼の周りの皮膚は薄いので、下にたくさん通っている毛細血管がうっ滞すると、表面から目立ちやすくなるのです。
(2)老けて見える
眼の周りのクマは、疲れ顔の象徴といえるかもしれません。眼の周りにクマがあるだけで、一気に年齢よりも老けて見えてしまうことがあります。
(3)トラブルが起こりやすい
眼の周りは乾燥しやすい部分です。手などで強くこすると、色素沈着などのトラブルが起こりやすくなります。
クマといっても、発生する場所や色など、さまざまな種類があります。ここでは、クマの種類や特徴を解説していきましょう。
(1)大部分のクマは眼の下に
前述したように、クマは眼のまわり全体に発生する場合と、眼の下のみに発生する場合の2パターンです。そして、大部分のクマは眼の下に発生します。
(2)クマの形もさまざま
眼の下のクマを形によって分類すると、3つのタイプに分けられます。一番多くみられるのが、眼の下に綿状に発生するタイプです。次に多いのが、眼元から眼のくぼみに沿って線状に発生するタイプ。残りはこの2つが混在しているタイプです。
(3)クマの色は茶色が多い
クマの色調で分類すると、一番多く認められるのが茶色タイプのクマです。次に青系が多く、残りは茶色と青系が混在している混合タイプに分けられます。
(4)色によって原因は異なる
一般的に茶色のクマは色素沈着が原因、青系は血流のうっ滞、黒はたるみなど老化が原因であると認識されています。
しかし、それらの複数の原因が重なる場合、人それぞれによって原因は異なり、さまざまです。一概に色のみで原因を判断するのは難しいでしょう。
ここでは、クマの原因と対処法についてくわしく解説いたします。
(1)ストレス、過労、睡眠不足は大敵
多くの女性が寝不足の時や疲れている時にクマが濃くなる、と悩んでいます。
いわゆる「ワーキングウーマン」と呼ばれる働く女性は、年々増加傾向にあるようです。それに伴い、ストレス、過労、睡眠不足を訴える女性も増えています。
特に、オフィスなどでパソコンを使用して働くことによって眼を酷使し続け、その結果クマに悩まされるようになった……という女性が多いようです。
(2)ストレス回避が大切
ストレスや過労、睡眠不足によってできるクマは、やはりストレスを溜めない、しっかりと休息を取って疲れを蓄積させない、十分な睡眠を取る、といった日常生活の見直しが大切です。
(3)血行をよくする
血行をよくすることも大切です。日中は適度に運動、夜はしっかり睡眠。お肌のコンディションをよくすることを意識しましょう。
(4)自分なりのリラックス法で
自分なりのリラックス方法を生活に取りいれることも大切です。仕事で眼を酷使している人は、眼元を蒸しタオルでケアしてみるのはいかがでしょう。血行促進とリラックス効果、2つの効果が期待できますよ。
(5)食事にも気をつけて
肌を健康的に保つ食事療法として、ビタミン豊富な野菜や便秘予防のための食物繊維を積極的に摂ることをおすすめします。
しかし、一般的に特定の食べ物だけを摂取していればいい、というものではありません。大切なのはバランスのいい食事を心がけることです。
クマの対処方法として、皆さんが一番に思い浮かべるのが、ファンデーションでカバーする方法ではないでしょうか。色を上に重ねてクマをカバーするために、コンシーラーを使う方も多いでしょう。
しかし、クマを色でカバーするだけではなく、クマの原因を解消することも考えて、日常生活を過ごしていくことが大切です。
(1)血行促進でうっ滞解消
クマの対処法としてオススメなのが眼の周りのマッサージです。暖かい蒸しタオルでケアするのも有効でしょう。
マッサージオイルに、お気に入りの香りのアロマオイルを使用するなどして、リラックス効果を高めるのもオススメです。
(2)色素沈着を予防する
眼の周りの皮膚はとても薄くてデリケート。眼の周りを触ったりこすったりと、過度な刺激は色素沈着を招きます。むやみに眼の周りに触れないようにしましょう。
(3)なるべく刺激を与えないように
なるべく摩擦を避けるためにも、肌にやさしい洗顔料を選んで洗顔してください。少しでも肌に刺激を感じる化粧品の使用はNG。タオルなどでむやみにゴシゴシとこすらないことも大切です。
(4)UVケアはしっかりと
お肌の状態を整えるために、UVケアを行ないましょう。UVケアは、クマ対策だけでなく、お肌のアンチエイジングにもとても大切です。
(5)保湿をしっかり行う
お肌の保湿はクマの予防に大切です。 1日で1番乾きやすいお風呂上りにきちんと保湿する、洗顔後はすぐ保湿して乾燥させないなど、日頃のケアをしっかりと行ないましょう。
(6)バリア機能が大切
肌が潤うと、バリア機能がアップします。
紫外線や乾燥など、さまざまな外的要因から身体の中を守ってくれる働きが「バリア機能」です。 バリア機能は、身体の内部から外へと水分が出て行くのを防ぐ役割も行なってくれます。
バリア機能低下が肌のトラブルに
バリア機能が低下すると、お肌は外部の刺激を受けやすくなります。そうすると、赤みや色素沈着などクマの症状が出やすくなります。それ以外にも、さまざまな肌トラブルの原因となります。
クマのできにくい肌に
眼の周りのデリケートな皮膚のバリア機能を保ち、クマのできにくい肌を目指してみませんか? また、バリア機能をアップさせることが、美肌にも繋がるのです。
クマは、ファンデーションやコンシーラーで隠すだけでは根本的な解決にはなりません。しっかりと肌をケアすること、睡眠時間、食生活などライフスタイルを見直すことが、クマを解消する最善の方法です。クマに悩まされている方は、ぜひご自身のライフスタイルを振り返って、改善してみましょう。
(美容ライター 大中千景)
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