乾燥肌対策として、セラミド配合化粧品をよく見かけますが、そもそもセラミドとはどのような働きをするのでしょうか?
セラミドの種類や働き、セラミド配合化粧品の特徴や選び方についてご紹介します。
■目次
1.セラミドとは?
(1)セラミドはどこにある?
(2)セラミドの種類は?
(3)セラミドの働きは?
2.肌のセラミドが不足する原因
(1)加齢
(2)過度な洗顔
(3)ターンオーバーの乱れ
3.セラミド配合化粧品の特徴
セラミドの種類は?
(i)天然セラミドとは?
(ii)植物性セラミドとは?
(iii)合成セラミドとは?
(iv)ヒト型セラミドとは?
4.セラミド配合化粧品の選び方
(1)目的に合わせて選ぶ
(2)セラミドの配合量で選ぶ
(3)価格で選ぶ
5.セラミド配合化粧品の正しい使い方
(1)丁寧な洗顔を
(2)潤いを与える
そもそも、セラミドとは身体の中のどこにあり、どのような働きをするのでしょうか? セラミドについて見ていきましょう。
(1)セラミドはどこにある?
セラミドは、人間の皮膚の中にもともと存在している成分です。
肌は、表皮、真皮、皮下組織の主に3層に分かれており、セラミドは、皮膚の表皮の一番上にある角質層にあります。
角質層はレンガのように角質細胞と呼ばれる細胞が規則正しく並んでおり、細胞と細胞の間を埋める細胞間脂質の中にセラミドが含まれているのです。セラミドの割合は50%以上を占め、細胞間脂質の主成分となっています。
(2)セラミドの種類は?
人間の肌に存在するセラミドは、大きく7種類に分類することができます。働きもそれぞれ異なり、セラミド1からセラミド7まで名前があります。
(3)セラミドの働きは?
セラミド1
セラミド1は、紫外線などの外部刺激から肌を守り、バリア機能をサポートします。
セラミド2
セラミド2は、皮膚の保湿機能をサポートする働きを持ち、毛髪にも存在します。
セラミド3
セラミド3は、保湿して肌の水分を保持し、小じわができるのを抑制し改善します。
セラミド4、5
セラミド4、5は正常な角質層を維持し、外的刺激から肌を守る働きを持ちます。
セラミド6
セラミド6は正常なターンオーバーを維持し、水分を保持し、小じわを抑制、減少させる働きがあります。
セラミド7
セラミド7は、角質層や肌のバランスを整えるのに効果的です。
セラミドは誰でも肌に備わっていますが、保有量は個人差があり、年齢によっても異なります。7種類のセラミドの中で多くの割合を占めるのが、セラミド2です。とくに高い保湿力を誇るため、セラミド2の量が肌の状態を左右するといっても過言ではありません。
肌の状態を左右するセラミドは、なぜ不足してしまうのでしょうか? 原因は大きく3つあります。
(1)加齢
人間の肌は、保湿に欠かすことのできないセラミドを、自ら作り出すことでハリや潤いを育んでいます。赤ちゃんの肌がふんわり柔らかなのは、角質にセラミドがたっぷりあるためです。
一方年齢を重ねると、肌にあったセラミドは徐々に減少します。肌の潤いを保つことができず、かさかさの乾燥しやすい肌へと変化します。セラミドは20代をピークに、年齢を重ねるごとに減少していきます。50代では20代の頃の半分にまで減ります。
そのことから、加齢は肌のセラミドが不足する主な原因として考えられているのです。
(2)過度な洗顔
日常生活にもセラミド不足を引き起こす原因が潜んでいます。
それは洗顔です。きれいな肌を目指して行われる洗顔も、やり方を間違えると汚れとともに大切なうるおい成分であるセラミドを洗い流しているかもしれません。
特に洗浄剤をたっぷりと使った洗いすぎには注意が必要です。汚れ以外に角質の間からセラミドが流れ出し、保水力が低下して、セラミド本来の機能が発揮されず、肌が乾燥に傾いてしまうことがあります。
洗浄力の強すぎる洗顔料は控え、量や回数も肌の状態に合わせて調節しながら、やさしく洗いましょう。
(3)ターンオーバーの乱れ
そのほか、肌の生まれ変わりのサイクルであるターンオーバーの乱れにより、セラミドが上手く作られないことも原因のひとつです。ターンオーバーは紫外線や外的刺激によって乱れやすくなるほか、睡眠不足やストレス、ホルモンバランスも影響しています。
セラミドが作られる肌づくりのためには、日ごろの生活習慣を見直すことも大切です。
セラミド配合化粧品には、細胞間脂質であるセラミドが、さまざまな方法で作り出されて配合されています。
セラミドの種類は?
配合されている主なものは、大きくは天然由来と合成由来とに分類されます。
さらに原料によって4種類に分けられ、それぞれに特徴があります。
(i)天然セラミドとは?
天然由来の「天然セラミド」は、馬などの動物由来のセラミドです。そのため人間のセラミドにとても近いという特徴があります。肌への浸透力も高く、継続して使うことで、セラミド自体の生成を促進させることも期待できます。
効果の高さと比例して、セラミド配合化粧品の中でも特に高価です。
(ii)植物性セラミドとは?
天然由来のなかでも、動物性のものより比較的安価であるのが植物由来のセラミドです。
「植物性セラミド」は、小麦や米、大豆のほか、こんにゃく芋などからも抽出されます。低刺激で浸透力が高いものの、なじみにくさがあるのも特徴です。また植物によるアレルギーも懸念されます。
(iii)合成セラミドとは?
セラミドによく似た物質を、原油原料から科学的に作り出したものが「合成セラミド」です。
見た目はセラミドと似ているものの、セラミドとは違う物質であるため、「疑似セラミド」と呼ばれることもあるようです。安価で大量に生産できる特徴があり、化粧品にも数多く使われています。
(iv)ヒト型セラミドとは?
酵母を原料に生成されたのが、「ヒト型セラミド」。人間の皮膚にあるセラミドとほぼ同じ構造を持つセラミドです。
浸透力や保湿力が高く、肌への負担が少ないため、肌と同じような働きをしてくれます。
先ほど紹介したとおり、セラミド配合化粧品は原材料に使われているセラミドの種類によって効果や効能に違いがあります。また、肌につけたときのなじみやすさや、保湿力にも差があるため、セラミドの種類を確かめて選ぶようにしましょう。
(1)目的に合わせて選ぶ
肌への浸透力が高いヒト型セラミドは、肌と同じ構造を持ち、肌が持つ産生力も高めるため、セラミドを作り出す効果を持続することができます。乾燥肌を改善したいという目的の場合には、ヒト型セラミドが配合されたものを選ぶと、肌質改善につながるでしょう。
ヒト型セラミド以外の天然由来のものや合成セラミドも、保湿のみを目的とする場合であれば、安価に手に入るものもあります。
使う目的に合わせて選んでみるのもよいでしょう。
(2)セラミドの配合量で選ぶ
セラミドは水に溶けにくく、油に溶けやすい性質を持つため、化粧品のテクスチャーもとろみのあるものがほとんどです。中にはサラッとしたタイプの化粧水もありますが、セラミドの量が少ない可能性があるかもしれません。
化粧品の成分表記は、配合量の多い順に記載されています。できれば10番目くらいまでに含まれているものがおすすめです。
どれくらいセラミドが含まれているのかを確認してから購入しましょう。
(3)価格で選ぶ
セラミドの量は、価格もある程度の目安となります。あまりに安価なものは、セラミドがわずかしか含まれていない場合もあり、反対に肌への刺激となる成分が多く含まれていることもあるようです。
あくまでも目安ですが、3,000円以上のものを選ぶとよいでしょう。
セラミド配合化粧品をせっかく使うのに、肌にしっかりと浸透しなければ、美容効果は半減してしまいます。
そのためには、肌の土台作りが重要です。
(1)丁寧な洗顔を
まずは、丁寧にクレンジングと洗顔で肌についた汚れを落としましょう。
汚れをとるとき、洗浄力の強すぎるクレンジングや洗顔料は、肌の必要な油分や水分までも奪う原因となります。
また熱すぎるお湯も必要な潤いを取り除く可能性があるので、ぬるま湯を使いましょう。
(2)潤いを与える
洗顔後の肌は、肌内部の潤いが蒸発しやすい状態です。そのままにしておくと、肌の乾燥がより酷くなる場合もあるので、洗顔後はすぐに、セラミド配合化粧水をつけましょう。
ポイント
コットンは繊維の刺激が肌に直接伝わるため、手を使うとよいでしょう。
また手を使うのは、しっかりと浸透させるためにも効果的です。手の温もりを使い、肌の奥まで届けるようになじませましょう。
目元や口元は特に乾燥しやすい部分なので、重ねづけしてしっかり保湿します。
(3)潤いを閉じ込めてふたをする
化粧水で肌の奥に水分を送り込んだら、肌の表面から水分が蒸発するのを防ぐために、ふたをすることが大切です。
乳液やクリーム
ふたの役割をするのが、乳液やクリームです。油に溶けやすい性質を持つセラミドは、乳液やクリームとのなじみもよいので、化粧水、乳液、美容液、クリームなどもセラミド配合のもので揃えることで、相乗効果が期待できます。
セラミドは、加齢や洗顔の方法、ターンオーバーの乱れなどにより減少するため、正しい洗顔方法や、生活習慣を見直すことも大切です。
セラミド配合化粧品は、種類もいくつかあるので、肌状態や目的に合わせて使用してみましょう。
(美容ライター/子育てママライター 杉谷敦子
スキンケアブランドでビューティーアドバイザーをした経験を活かし、美容ライターとして活動する3児のママ。)
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