夏の風物詩であるセミ。力尽きていると思って近づいたら急に「ジジジ!」と暴れ出す…そんな経験ありませんか?実はこれ「セミファイナル」や「セミ爆弾」と呼ばれる夏の風物詩ならぬ、あるある恐怖体験なんです。
今回は、この「セミファイナル」を回避するための生きているセミと力尽きているセミの見分け方を検証してきました(?)
セミファイナルとは、力尽きているように見えるセミが急に暴れ出す現象のこと。特に子どもにとってはトラウマ級の恐怖体験ですよね。
セミファイナルを回避する一番の方法は近づかないことですが、どうしても確認したい場合は足の状態を見れば見分けられます。
力尽きているセミは、足が閉じた状態になっているはず。逆を言えば、足が開いていると動き出す可能性があるということです。
本当に見分けられるのか、実際に検証してみることにしました!今回訪れたのは、吉祥寺にある井の頭公園。公園に到着すると、さっそくいたるところからセミの鳴き声が聞こえます。
完全にセミ天国!「これはすぐ見つかる」そう思ったものの、探すこと30分、まったく見つかる気配がありません…。
セミの抜け殻は見つかるものの、ひっくり返ったセミどころかまずセミ自体見つけられない。
ただ、下を見ながら歩いていると、ぽつぽつとたくさん穴が空いている場所があることに気が付きました。
おそらくこの穴は、セミの幼虫が地上へと抜け出してきた穴なのでしょう。
実際にこの穴のすぐ近くの木を見上げてみると、たくさんのセミの抜け殻があります。
この地面の穴をヒントに、穴がたくさん空いている場所の周辺をぐるっと回ってみますが、それでも見つからず。さらに蚊に刺されながら、舗装されていない道を散策すること約1時間…。
お昼を超えてさらに暑くなってきたので、一旦休憩です。園内にある『ブルースカイコーヒー』でレモン牛乳ソフトクリームをいただきました!
想像以上にレモン牛乳の味が濃厚で、冷たくて懐かしい甘さが火照った体に染み渡ります。
プチおみやげにねこドーナツも購入。SNSで大人気なのも納得、本当に食べるのがもったいないくらいかわいいです。
元気をチャージしたところで、ひっくり返ったセミの捜索を再開!木の根元周辺を見て歩いていると、ある生き物も筆者と同じように地面を観察しながら歩いていることに気が付きました。
そのある生き物というのがカラスです。カラスもまるでひっくり返ったセミを探しているかのように、地面を眺めながらテクテク歩いているのです。
「もしかしてひっくり返ったセミが見つからないのはカラスが食べているから!?」そう考え、カラスをひっそりとつけてみると、驚きの行動を目の当たりにしました。
① 地面をじっと見つめるカラス。
② 何かを見つけたように、地面をくちばしでつついています。
③ まさかのセミの幼虫を捕獲!
④ そしてそのままパクっと。
※急いで動画撮影したものから切り抜いているので画像が粗いです。
最初に見たときは、たまたま見つけて捕食したのかと思ったのですが、よくカラスを観察してみると、一見何もない地面からピンポイントで探し当てていました。ちなみに、このあと別の場所で2回捕食していることを確認!
音なのか、ニオイなのか、細かな土の動きなのか、一体何で探し当てているのでしょうか。カラスの能力に驚きです。
そしてこんなタイミングで遭遇するのもなんとも言えませんが、初めて生で動いているセミの幼虫を見ました…。
こちらがカラスが掘り出した跡。
地面にポコポコと空いている穴は、下から土が盛り上がっているものと、写真のようにくっきりと穴が見えているものの2種類がありましたが、どうやらこのくっきりとした穴の正体は、カラスがセミの幼虫を掘り出した跡だったようです。
結局、この日は約3時間探しましたが、セミファイナルを検証するどころか、ひっくり返っているセミすら見つけられませんでした。探そうと思うと見つからないものですね…。
ただ後日、1匹だけひっくり返っているセミを筆者の妹が見つけてくれました。
足が閉じているセミだったようで、枝でつついてみても動いたり鳴くことはなかったそう。このセミは、すでに夏を全うされていたのですね。
説を裏付けるには、データ不足ですが、一つ今回の検証でわかったことがあります。それは「セミファイナルに遭遇すること結構珍しいことなのかもしれない」ということ。
考えてみれば、人生でセミファイナルに遭遇したのも数回くらい。むしろ、歩いているときに、セミが思わぬところから突撃してくる“セミアタック”のほうが経験しているかもしれません。
見分け方を覚えておくのも良いですが、セミが苦手な方は、セミアタックを防ぐためにも、ぜひ日傘の使用をおすすめします。日差しも防げて一石二鳥のはず…。
万が一当たったとしても、全力で夏を全うしているセミの活力に触れられたということで、ポジティブに捉えることにしましょう!
文・写真/滝谷遥