突然ふくらはぎがつる「こむら返り」。更年期の女性のなかには、こむら返りが起こりやすくなる人がいます。実は汗をかきやすい夏は、こむら返りになりやすいそう。そこで今回は「こむら返り」の原因や対処法、予防法を解説します。
「こむら返り」とは、脚、とくにふくらはぎの筋肉がけいれんして強い痛みが出ることです。「脚がつる」ということもあります。
こむら返りの原因には、次のようなものがあります。
【こむら返りの主な原因】
・筋肉疲労、準備運動不足
・ミネラル(電解質)バランスの乱れ
・脱水
・冷えによる血流不良
・更年期
・下肢静脈瘤、糖尿病などの病気
・利尿薬などの薬の服用
筋肉疲労や脱水だけでなく、更年期も原因のひとつとして挙げられます。
日中や就寝中などに突然強い痛みが出て、脚の筋肉が痙攣するのがこむら返りの症状です。こむら返りのときにしびれを感じる人もいるようです。
通常、こむら返りの痛みは長く続かず、しばらく安静にしていると治まります。また、寝ているときのこむら返りは、年齢が上がるにつれて起こりやすくなるといわれています。
また、更年期の女性はこむら返りが起こりやすいといわれています。これは、更年期により女性ホルモンの分泌が乱れて冷えやすくなったり、年齢に伴って筋肉量が減ったりすることが影響していると考えられています。
さらに汗をかきやすい夏は、就寝中の水分不足に加え、エアコンによる冷えによる血流不足でこむら返りになりやすい季節のため、十分に注意が必要です。
こむら返りが起こったときは、次の手順で筋肉を伸ばしましょう。
① こむら返りが起きた脚をゆっくり伸ばす
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② ひざを伸ばした状態で、足の甲を手前に曲げてつま先を起こす
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③ 脚の裏側の筋肉を伸ばす
あわてずゆっくりと筋肉を伸ばしていくことが重要です。痛みが治まった後に蒸しタオルなどで温めると、血流がよくなるのでおすすめです。
こむら返りを予防するためには、日ごろから次の4つを習慣づけるとよいでしょう。
就寝中のこむら返りを防ぐためには、寝る前にストレッチをして血流をよくしておくといいでしょう。
つま先を寝かせたり起こしたりして足首を動かすことや、ふくらはぎを優しくマッサージすることがおすすめです。
全身の血流を促進するためには、入浴も効果的です。忙しいとついついシャワーだけで済ませてしまうという方もいるかもしれませんが、しっかりお湯につかることは、全身の血流をよくすることにつながります。
レッグウォーマーなどで脚を温めるのもひとつです。
汗をかくと水分だけでなくミネラルも失われるため、体内のミネラルバランスが崩れてこむら返りを起こしやすくなります。
運動後や暑い季節はもちろん、水分補給を忘れがちな冬も、スポーツドリンクなどで積極的に水分とミネラルを補給しましょう。
運動中のこむら返りは、準備運動が足りないときによく起こります。そのため、ジョギングなどをする方は、ふくらはぎをしっかり伸ばして筋肉をほぐしてから始めましょう。
運動後のクールダウンも、疲労物質を筋肉にためないために大切です。
こむら返りをくり返す方には、医師による治療でも使われている漢方薬がおすすめです。
漢方薬は効果と安全性が認められている自然由来のお薬です。自然の素材がからだにやさしく働くため、一般的には西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また、漢方薬は、現在生じている不調を抑えるだけではありません。漢方薬はからだ全体に作用し、ホルモンバランスや自律神経の乱れを根本から整えていくことを目指しています。
こむら返りや筋肉のつりにおすすめの漢方薬がこちら。
・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):急激に起こる筋肉のけいれんを伴う疼痛などがある人に。筋肉の緊張をゆるめて、筋肉のけいれんや、けいれんに伴う痛みを抑えます。芍薬と甘草の組み合わせが作用して、漢方薬のなかでも比較的すみやかに効果を発揮するお薬です。
*漢方薬は、今のからだの状態や体質に合っているものを選ぶ、ということが大切です。うまく合っていないと効果を得られず、場合によっては副作用が生じることもあります。
監修・文/薬剤師・越智屋(おちや)ノマ ※記事を再編集して配信しています。