CMでよく見かける帯状疱疹。その痛みに悩まされる方も多いですよね。帯状疱疹の基礎知識や痛みへの対策を薬剤師の山形ゆかりさんに教えてもらいました。
帯状疱疹とは、からだの左右どちらかに生じる、痛みやかゆみを伴う発疹です。水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因のため、水ぼうそうになったことがある方が発症する病気です。症状の経過や発症する部位、発症しやすい時期を解説します。
帯状疱疹の初期は、からだの左右どちらかの神経に沿って、皮膚の痛みや違和感、かゆみが引き起こされます。この痛みは神経の炎症によるもので、皮膚症状の数日前から1週間前に生じることが多いようです。
また、皮膚症状があらわれる前後には、発熱やリンパ節の腫れが生じることもあります。その後、皮膚の痛みや違和感、かゆみが起きた場所に発疹があらわれます。
発疹は次第に水ぶくれに変化し、1週間ほどでやぶれてかさぶたになるでしょう。このような皮膚症状は3週間前後で治まりますが、色素沈着や傷跡が残る場合もあります。
帯状疱疹のほとんどは上半身に発症します。上肢~胸背部が約30%、腹背部が約20%だといわれています。顔面にあらわれる場合は、目の周りに発症することが多いようです。
帯状疱疹は免疫機能が低下することで体内の水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化して生じる病気です。
そのため、加齢や疲労、ストレスによって免疫機能が低下する時期に、帯状疱疹の患者数が増えるといわれています。決算期や年末など、忙しい時期は注意しましょう。
また、50歳以上の方は帯状疱疹の予防接種を受けることができます。水ぼうそうにかかったことがある方や、免疫機能が低下しやすい病気にかかっている方は、主治医と相談してみてくださいね。
帯状疱疹が発症した場合の主な治療法を3つ紹介します。
帯状疱疹の治療には、主に抗ウイルス薬が使われます。水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化している段階で、ウイルスの増殖を抑える働きをします。
症状が軽い場合や、中程度の場合は、内服薬で治療するのが一般的です。
一方、症状が重い場合や免疫機能が低下している場合は、入院したうえで抗ウイルス薬の点滴によって治療することもあります。
前述の通り、帯状疱疹は発疹よりも痛みが先に出ることが多い病気です。この帯状疱疹の痛みに対しては、鎮痛薬が用いられることがあります。内服薬、あるいは塗り薬が処方されることが一般的です。
ただし、眠れないほど強い痛みが続く場合は、局所麻酔薬で痛みを抑える「神経ブロック」という治療が行われることもあります。
鎮痛薬による治療は、あくまで痛みを抑えるだけで、帯状疱疹そのものを治すわけではありません。発疹が出てきたら、速やかに皮膚科を受診しましょう。
帯状疱疹の痛みの対策として、漢方薬が処方されることもあります。漢方薬は、帯状疱疹の原因にアプローチして心身をより健康な状態に導きます。
そのため、帯状疱疹による痛みの緩和だけでなく、体質の改善にも役立つのです。
帯状疱疹の対策には、「神経痛や炎症を和らげて痛みを改善する」「消化・吸収機能を高めて全身に栄養を届け、免疫力を高める」といった漢方薬を選びましょう。
・越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう):炎症や痛みを落ち着かせ、余分な水を取り除く作用を持つ漢方薬です。帯状疱疹の急性期の症状に用いられることがあります。
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):栄養やエネルギーを補い、胃腸の機能をよくして全身に栄養を行きわたらせることで、疲労倦怠や病気による衰弱に用いられる漢方薬です。
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*漢方薬は比較的安全だといわれていますが、きちんと合ったものでないと十分な効果を得られないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。どの漢方薬が適切か見極めるには、専門家のアドバイスに従いましょう。
山形ゆかり●薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。症状・体質に合った漢方をスマホで相談、症状緩和と根本改善を目指す。