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金沢旅。「金継ぎ」と「独服」で無心の非日常を心行くまで愉しむぞよ♡|界 加賀

  • 2023年7月3日
  • 暮らしニスタ

金継ぎや茶道、興味はあるけれどなかなか手を出せない…。それならいっそ、旅と一緒に体験しちゃうのはいかが?石川県・山代温泉にある温泉旅館「界 加賀」では、館内に金継ぎ工房が新しくオープン。茶室もあり、自分で淹れたお茶を楽しめる独服体験もできちゃいます。

館内が九谷焼三昧の宿「界 加賀」

「界 加賀」は金沢駅から特急で約30分、歴史ある静かな温泉街・山代温泉に位置しています。

大浴場や客室の露天風呂で泉質のいい温泉を存分に満喫できるのはもちろん、館内にはゆかりのある文化人である北大路魯山人の器や九谷焼の新鋭作家たちの器がたくさん展示されています。

そして「料理目当てに訪れる」という声もあるくらい評価が高いのは、季節の会席。使用されている九谷焼や山中漆器の器の中には、現地の作家さんによるオリジナル品も。

これらの九谷焼の器を修復しながら長く大事に使うため、宿に「金継ぎ工房」を誕生させたそう。

金継ぎされた器の展示をじっくり拝見

温泉旅館の中で金継ぎの専用施設を持っているのは、日本でここだけ。スタッフが実際に金継ぎ作業を行なっているところを見学することができます。

壁面には修復ずみの器が展示されていて、その美しさにほれぼれ。

これから修復予定の器もあり、どんなふうに金継ぎされていくのか想像するのも楽しい!

金継ぎで使うさまざまな道具も飾られています。

この工房で行われている金継ぎは、高い技術と日数を必要とする天然漆を使ったもの。「金」継ぎとは言うものの、じつはほとんどの工程で「漆」が使われていて、「金」を使うのは最後の仕上げの段階だけ。

漆は京都の老舗漆原材料店「堤淺吉漆店」から、そのほかの道具も金継ぎの専門家や漆の専門家からの助言をもとにそろえたというからかなり本格的!

実際に金継ぎ体験、やってみた!

金継ぎ工房のハイライトは、やっぱり金継ぎ工程の体験。ここでは毎日6名限定(宿泊者のみ、12歳以上)で、工程の一部を体験することができます。

金継ぎをきちんと仕上げるまでには1ヵ月以上かかるため、体験できるのは金継ぎの数ある工程の中から以下の3つのどれか。

・欠けてしまった器を漆のパテで埋める「埋め」
・継いだ部分に金粉を蒔く「粉蒔き」
・蒔いた金粉を漆で固める「固め」

体験できる内容は、その日の作業状況によって変わります。

今回は「埋め」の工程にトライ!漆のパテは、スタッフさんが手際よくその場で作ってくれます。

埋めの行程体験がスタート。出来上がった漆のパテを竹の細いヘラにとり、器の欠けた部分に塗っていきます。

パテをどれぐらい埋めてよいものか、恐る恐るの手つき。でも乾いた後に丁寧に研ぐそうなので、少し盛り上がっていてもOKとのこと。

今回の体験はここまで。作業時間はほんの5分程度ですが、妙に充実感たっぷりです。

工房の表通りに面した部分にも、色とりどりの九谷焼の器が展示されていました。ご近所散策しながらじっくり拝見しました。

ひとりでお茶を楽しむ「独服体験」も

「界 加賀」ではもうひとつ、館内の茶庭にある茶室で、自分で淹れたお茶を静かにいただける独服体験があったのでチャレンジしてみました。

この茶室「思惟庵」は江戸の文政年間に建築されたそうで、フロントのある伝統建築棟とともに、国の有形文化財に登録されています。

そして「独服」とは、お茶をひとりで淹れて自ら飲むこと。界 加賀の独服体験は、この趣ある茶室を20分間貸し切って静かなひとり時間を楽しむことができるという内容になっています。

この体験はひとり1,500円(税・サービス料込み)で、事前予約制。予約した時間に茶室を訪れると、すでにお茶のセッティングは完了していました。

石川県らしく、用意されていたのは加賀棒茶。浅煎りと深煎り、2種類の加賀棒茶を飲み比べです。

貸切時間は、完全にひとりの空間。お茶の淹れ方についての説明書きが用意されていますが、作法はあまり気にせず自由に楽しんでくださいと言われてホッ。

柄杓で釜からお湯をすくい、急須に注いでいきます。サワサワと揺れる庭木の葉音、お湯が注がれる音くらいしか聞こえない。静寂もなんだか新鮮。

砂時計の砂が落ちるまで蒸らし、お抹茶碗に加賀棒茶を注いでいきます。

左手が浅煎り、右手が深煎り。色の濃さがまったく違います。味わいももちろん違う。

それぞれのお茶に合わせた和菓子も用意されています。浅煎りの加賀棒茶に合わせるのは、和菓子屋「落雁 諸江屋」の干菓子、花うさぎ。深煎りの加賀棒茶に合わせるのは、和菓子処「しもつね」の温泉卵最中です。

ちなみに使われている器はすべて九谷焼。欠けた部分が丁寧に金継ぎされているのを見て、なんだかうれしくなりました。

静かなお茶の時間は、日常生活ではなかなか得られない貴重なもの。20分はあっという間でしたが、体感的には1時間くらい茶室で過ごしたような感覚です。

客室にもこんなにかわいいお茶セットが!

これをきっかけに、器にもお茶にも目覚めそうな予感でいっぱいです。旅ついでの日本文化体験、とってもおすすめですよ!

〈補足情報〉

・金継ぎ工房は2023年4月にオープンしたばかり。毎日15:00〜17:30。

・金継ぎの見学や体験は、なんと無料(2023年6月時点)。作業体験「金継ぎいろは」は当日にフロントで予約できるので、チェックイン時に空きを確認しておくのがよさそうです。

金継ぎと独服を体験できるのは…
界 加賀

住所/石川県加賀市山代温泉18-47

撮影/瀬津貴裕(biswa.) 取材・文/佐藤望美

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