屋外で密にならず楽しめるアクティビティとして、今注目を集めているアウトドア。しかも自然体験は家族でエンジョイできるだけでなく、子どもの感性や生きる力を育む効果もあるのだとか。
そこで今人気の「キャンプ」「釣り」「登山」について、アウトドア好きの暮らしニスタさん7名が楽しみ方のコツから子どもの成長エピソードまでを大公開!
さらに「アウトドア体験は子どもの脳の発達にとって、いいことずくめ」と話す、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生に、家族でアウトドアを楽しむ際の心得を教えていただきました。
まずは、「第3次ブーム」とも言われるほど人気が高まっているキャンプから。ベテランキャンパーさんたちのキャンプスタイルには、子どもの成長をサポートできる楽しみ方のヒントが満載です♡
奥田家のお気に入りのキャンプ場は埼玉県の長瀞や秩父。
「昼は川遊び・夜は焚き火とバーベキューでワイワイ楽しみます。安いお肉でも炭火で焼くと絶品♡我が家はアメリカ産ステーキ肉をしっかり筋切りして常温に戻してから焼いています。キノコやホタテも◎!非日常がよりおいしく感じさせてくれるのかも」
「おすすめ料理グッズはカセットコンロのホットプレート。料理が俄然ラクになる上にワクワク感を楽しめる、一石二鳥のスグレモノです」
食器は100均で手軽に揃えてハードルを下げよう!「キャンプで使う食器におすすめなのが100均のアルミ食器。軽いし、スタッキングできて重ねてもコンパクト、落としても割れない、と、持ち運びしやすい条件が揃っているんです。まずは手軽に100均の食器で揃えるのも手ですよ」
子どもが設営や火起こしに興味を持つように!「設営するのも楽しみの一つ。初めの頃はテント設営時につまらなそうにしていた息子が、近頃は興味が出てきたようでペグ打ちをやりたがるようになりました。小さい薪をナイフで割ったり朝早くから1人で火起こししたり、自分なりの楽しみを見つけてくれたようです」
モットーは、「子どもも働き、大人は子ども以上に遊ぶ」こと。
「キャンプ場にチェックインしたら、設営は大人の、お昼ごはんは子どもの担当。子どもにもしっかり役割を持ってもらいます!逆に、遊ぶときは夫が率先して遊ぶんです。初めての場所では特に、『ここは危険じゃないよ!』『こうやって遊ぼう!』と親が見せてあげるようにしています」
お風呂も「遊び」に変換!?「日中は川遊びやバドミントンなど、夜は焚き火をしたり、流れ星を見たり、ガスランタンの灯りでゆっくり語り合ったりしています。
面白かったのは、“2分間200円のシャワーで4人洗えるかチャレンジ”。ポジショニングなどの打ち合わせを真剣にして挑み、すっごく盛り上がりました(笑)」
アイデア次第で遊びのバリエーションが広がるのもアウトドアのいいところですね♪
マストアイテムとおすすめグッズはこれ!「必ず持って行くのは、焚火台にもなるファイヤーグリルや日差しや雨を避けられるタープなど。さらにダッチオーブンや七輪があると料理の幅が広がっておすすめです。あとはロープ!洗濯物を干したり、長縄跳びを楽しんだりできますよ♪」
計画性が身につきました!「子どもたちは、持ち物リストを作ったりすることで計画性が身につき、自分で準備ができるように!キャンプ後に振り返りを行うので、自分の意見を言うトレーニングにも」
家族で“心地よいキャンプ”をするため、道具にもこだわっているというkaoliさん。
「愛用グッズは、アメリカから個人輸入した中で火が焚けるティピーテント、ヘリノックスの座り心地のいい椅子やコールマンの大きなクーラーボックス、挽き立てコーヒーが飲めるセットなどなど!
アウトドア専用グッズだけではなく、ゴミ箱としてIKEAのランドリーグッズも活用しています。お気に入りのグッズを使えば、外で過ごしていても自宅のように快適ですよ♡」
「 “現地で買った食材”をうまく活用することに目覚めました。牧場の近くならおいしいチーズやソーセージがあるのでバゲットと一緒にストーブで焼いたり、地元の道の駅でソバ粉を買って朝食にガレットを焼いたり。場所によっては“鹿肉のソーセージ”“猪肉のおやき”などもあって、とても楽しいです」
あえてシーズンを外すのも一つの手「なるべく静かにゆったりと過ごすため、他グループとの距離が近い区画サイトよりも車で乗り入れができるフリーサイトで、混雑を避けて秋冬~春先に行くことが多いです。冬はもちろん寒いですが、相応の装備をそろえておけば問題なし。むしろあの“寒さ”が思い出になります」
マナーも学べるのがキャンプのいいところ「息子は、キャンプを通してゴミは分別、夜は静かに、よその人のテントのまわりで騒がないなどのマナーを学びました。今は調理や設営の腕も上がって頼もしい!」
オートキャンプ場に4~5泊することが多いというiie designさん。
「家族と向き合う時間がたっぷりあるので、普段なかなか一緒にできない料理も、子どもと一緒に作ろうという気持ちになれますよね。好評なのはアメリカンドッグやドーナツ、ノンアルコールのサングリア。子どもの好物、しかも家では作らないものだと、興味を持って手伝ってくれます。釣り堀でニジマスを釣って焼いたり、ダッチオーブンでパンを焼いたりするのも楽しいです」
自然との触れ合いが子どもの興味を引き出す「メダカのような小さな稚魚を捕まえて、観察して楽しみます。生き物が好きだったら、水中スコープ・網・透明のバケツや虫かごを用意すると、よく見ることができて大喜びしてくれますよ。野鳥図鑑と双眼鏡も持っていくので、この鳥はなんだろう?と本で探しながらバードウォッチングもするようになり、自然が大好きになりました」
「キャンプ、釣り、登山などのアウトドア体験全般が、子どもの知的好奇心や感性、幸福感を育て、脳を成長させるのに効果があります」と瀧先生。
そのうえで特にキャンプで言えば、次の2つがポイントになるのだとか。
「キャンプでは、家族で過ごす時間が長く、皆で協力する機会も増えることで“共感性”が身につきます。これは、相手の気持ちを理解し適切な行動をとるための力。学習、仕事、すべてにおいて重要です。家族で協力してキャンプを楽しむのはこの力を伸ばすのに役立つと思います」
②計画してやりとげる“実行機能”「テントの設営などを行うことで“実行機能”が養われます。これは、計画して行動する力で学業にも大きく影響します。みなさんが実践しているように親子で料理をするのは実行機能を伸ばすのにとても効果的。また、くりくりくりさんのように持ち物リストを使って親子で一緒に準備をするのもいいですね」
「本当にみなさん豊かな時間を過ごしていますね。奥田さんのように100均の食器で揃えるなど無理をしない工夫も大切ですよね。また、火起こしやペグ打ちを子どもにやってもらうことで、いい意味で生きる力が育まれます。新しい遊びを考えたり、自然観察をするのも、子どもの知的好奇心や五感を刺激するいい体験です」
最近では女性のファンも増えている「釣り」。「買った魚よりおいしい!」と、主婦層にも人気が出始めています。暮らしニスタの「釣りニスタ」さんたちが、子どもと一緒に釣りを楽しむ方法を教えてくれました!
お子さんが小さいころから一緒に海釣りを楽しんでいる栄養士まみさん。
「子どもはすぐに飽きてしまうので最初は苦戦しました。買って良かったのは、子ども用の針のついていない釣り竿!おままごとのように『釣れたよー!』と遊んでくれるように。あとは、100均の子ども用のサングラスもおすすめです。海にいる魚が見えるようになるのでテンションが上がっています」
海での釣りは事前リサーチや用意も大事!「瀬戸内海は潮の満ち引きが大きいので、潮の良い時間帯に短時間勝負します。なので、事前に潮の良い時間帯のリサーチも欠かせません!
また、海辺だと寒いことがあるので、上着や帽子は必須。子供はすぐに汚すので、着替えやタオルは多めに持って行くといいと思います」
「8歳の娘は、初めは魚を触るのも怖がっていましたが、今では一緒に捌いてくれるまでに。身を壊さないように捌くのは大人でも難しいですが、上手になってきています。
また、テレビの生き物番組を見ながら色々質問してくるようになりました。わからないことは一緒に検索して調べています。命をいただくことの大切さを感じているようで食卓に魚が並んだときも、できるだけきれいに食べようとしてくれるのが嬉しいです」
azuazuさんは、場所選びや時間管理を子どもファーストで考えているそう。
「魚が全然釣れないと、やっぱり子どもにとっては面白くないようで…。まずは釣りを楽しんでほしいので、初心者でも釣れそうなポイントを毎回リサーチしています。釣れると飛び上がって喜んでくれますよ♪
また、1日海釣りだと子どもが飽きてしまうことも多いため、近くに遊べる公園や牧場などレジャー施設がある海を選ぶのも手。おすすめは伊豆と三浦です!」
「最初は魚も怖くて、釣り竿も重いと嫌がっていた息子。最近では釣れそうな場所を探したり、どうやったら釣れるのかお父さんに聞いたり、タイムリミットを決めていたのにもっと釣りたいと言ったり、積極的になりました」
素材の味を楽しむのがベスト♡「釣った魚は素材の味を楽しみたいので、凝った料理はしていません!塩で下味をつけたら片栗粉をまぶして素揚げ。小さい魚は揚げれば骨まで食べられるので、子どもも取りあって食べます。また、自分で釣った魚をさばいて、命に感謝していただくということを教えるのも大事です」
AMTAs mamさんは初心者ということで、海釣り公園へ行くことが多いそう。
「まだ海釣りに詳しくないので、勉強用に本を持って行ったり、スタッフさんや上手そうな人に色々聞いて回ったりしています。毒のある魚を釣ったとき、『危ないよ』と声をかけてもらったことも。おすすめは、子どもが質問しに行くこと!より詳しく教えてもらえることも多く、積極性も身についていいことずくめです♪」
自分で釣るからこそ魚にいっそう興味がわきます「釣った魚を帰宅して調理するのですが、まな板の上でもまだ生きていて、命をいただくことを子どもと一緒に実感。一番の食育になると思いました。
また、スーパーの魚では見られない体内の浮袋などを実際に見たことで生物の学習にも興味を持つようになったのはうれしかったですね」
「実は、釣りって非常に頭を使う活動なんです」と瀧先生。釣りでは次のような力が鍛えられるそう。
①論理的に考える“思考力”「『この時期にこの場所だとどんな魚が釣れるんだろう?』『どんな仕掛けでどんな餌だと釣れるかな?』と、論理的に考える力が身につきます。そのためには自分で色々調べることも大事ですが、自分で調べてわからなかったら人に聞くのも大事なこと。詳しい人に聞くというAMTAs mamさんの方針は、好奇心を伸ばすという意味でも◎です」
②計画してやりとげる“実行機能”「場所や時間などの事前リサーチをしたり、釣るためにどうするか考えたことを実践するのは、“実行機能”を伸ばします。また、釣った魚を親子で一緒に捌いて料理するのも、この力を鍛えるのに最適。ぜひやってみてください」
③我慢して待つ“忍耐力”も育つ「栄養士まみさんやazuazuさんの子どもを飽きさせない工夫も大切。子どもはずっと釣れないと飽きてしまいがちですが、一度釣れると嬉しくなり、またその感覚を味わいたくなります。そうしているうちに、釣れなくても我慢する“忍耐力”もつきますよ」
体力や色々な道具が必要なんじゃないの?と思われがちな登山ですが、子連れでもラク~に身軽に楽しむ方法があるんです♪
釣りのほか、登山も楽しんでいるAMTAs mamさんファミリー。
「日帰りが多いので、近さや登りやすさ、混雑具合を考慮して山を選びます。最近行ったのは鋸山や筑波山。きれいな景色を見る楽しみや、登頂時の達成感は登山ならでは。自然の中で開放的になり、家族の会話が増えるのも嬉しいポイントです」
頑張りすぎない&家族で協力を「無理せず、お昼用に巻き寿司やフリーズドライのスープ、休憩用の和菓子を買っていくことが多いです。お湯はマイクロストーブとペットボトルの水があればOK。水筒より軽いですよ。荷物も大人が持つのではなく、“余力のある人”が持つ。頑張ると疲れてしまうので、無理しないことが大事(笑)」
登山のマナー・あいさつがしっかりできるように「登山では行き交う人と「こんにちは」と挨拶する習慣があります。最初は挨拶してもらったら返す感じでしたが、今では自ら大きな声で挨拶し、相手の方から元気がもらえると言っていただいたこともあります。その変化にも成長が感じられました」
「登山は自分の力で登ったという達成感が得られるのが魅力ですね」と瀧先生。次のような力を育むのにぴったりです。
①最後まで“やり抜く力”「登山では、目標を成し遂げる力・やり抜く力が身につきます。これは学業においても非常に重要な能力です。それに、もちろん登山は運動になりますから、体にもとてもいい。脳にも体にもいいことずくめですね」
②あいさつから始まる“コミュニケーション力”「AMTAs mamさんの言う通り、山であいさつをすることで“コミュニケーション力”が養われますね。そして、山の狭い道で人とすれ違うときは譲り合うという文化もあるので、これが身につくと、生きるための力となる“思いやり”や“共感性”が育ちます」
↑くりくりくりさんファミリー。
子どもの好奇心を育み、大人は自然に癒やされるアウトドア体験。
「親が子ども以上にはしゃぐ」「親が楽しむ姿を見せる」など、親子で本気で遊んでいる暮らしニスタさんたちに、瀧先生も「とてもいいと思います」と太鼓判。
「皆さんのおっしゃる通り、まずは親が楽しむのがアウトドアの第一歩です。子どもたちの心身の成長に繋がるのはもちろんなのですが、子どものため、と必死になりすぎてしまうと楽しさも半減。仲良く、楽しく、それぞれのご家庭のペースでやってみてくださいね」とのアドバイスも。
「アウトドア未経験なので、何から始めたらいいのか迷う…」というパパ&ママは、キャンプでも釣りでも登山でも、自分たちが興味を持てるところから始めてみましょう♪
ぜひ、あなたも、達人ママたちの工夫や育脳ポイントを参考にアウトドアに一歩を踏み出してみませんか?
文/暮らしニスタ編集部