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Vol.23 “カタリバ”から妄想する新しい地域コミュニティの広がり その2

  • 2009年5月21日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 7月の特集に向けて続々と質問が寄せられています。まだの方はぜひ、これまでの連載を再読して、「これってどういうこと?」とか「これって、おかしくない?」とか率直な意見を送ってください。

 さて、前回は大学の後輩が展開している“カタリバ・プロジェクト”の概要をご紹介したわけですが、僕はその話を聞いて大いに妄想が広がり、「このプロジェクトをさらに進めて、幼稚園までを対象にシフトしていけばいいんじゃないか」という提案をしました。
“カタリバ”を幼稚園の頃から体験している人が大学生になって高校に出かけて行ったときにどんな話をするんだろう?なんて考えていくと、すごく楽しみですよね。僕らが想像もつかないような感覚で、いいコミュニケーションをとれるような気がするんです。だから、このプロジェクトがずっと持続していくような、またもっと広がりをもてるような形を作れるといいなと思うんですが、個人的にはこのプロジェクトのなかにアカペラを混ぜ込みたいなという気持ちもあります。ただ、アカペラに限定してしまうと規模が縮小することになる可能性もあるので、大学生も高校生もお互いにいま興味を持っていることを発表し合うみたいな形がいいのかなと思います。そこにアカペラをやってる人間が入っていって、「みんなで一緒にアカペラ歌おうよ」みたいなことになるとアカペラの普及にもつながるしっていう企みなわけですが(笑)。

 去年、メンバーの安岡優と二人で八戸の中学校の校歌を書かせてもらったんですが、学年ごとに違うパートを歌う曲を作ったんです。ということは、2年生、3年生だけでは成立しない歌を作ってしまったということなので、新入生が校歌をまだ知らない入学式は大いに不安になります。そこで、安岡のアイデアで、中学生が小学校の授業に出張して校歌を教えてあげるということを提案したんです。小学校の先生が教えてもいいんだけれど、できれば中学校の生徒が出かけてほしい、と。そうすると、そのときには歌うだけじゃなくて、“中学校ってどんなところ?”みたいな話も出るだろうし、そういうことがあると俄然つながりが深まると思ったわけです。「アカペラinカタリバ・プロジェクト」はこの校歌での試みの発展形になるんじゃないかと思うのですが、みなさんいかがでしょうか?(笑)

 こういう形で、近い世代間のシャッフルが必然化するようなプログラムを作って展開していくと、最近ではすっかり分裂してしまった印象がある世代ごとの意識がグラデーション化し、地域の文化や暮らしの知恵が伝えられる土壌も整えられていくことになると思います。問題は「世代間のシャッフルが必然化するような」というところでしょうが、それもテーマ付けひとつだと思うんです。“カタリバ”は、大学進学という、高校生にとって最も切実な問題をテーマに場を設けるというところがミソなわけですが、そういうテーマがそれぞれの世代や地域にあるはずで、そういうテーマづけをうまく考える人間がいれば、きっとこうしたプロジェクトは進んでいくと思います。現実的に考えれば、それぞれの地域や学校ですでに活動をしているNPOや団体との連携も不可欠だと思いますが、個人的にはそうした既存の活動を別の角度から見てみたり、“あれとこれを組み合わせたらどうかな?”と考えたりするのが僕は得意なので、そういうこともやれたらいいのかなと思っています。

 ちなみに、“カタリバ”を紹介してくれた後輩は四国の出身なので“四国カタリバ・プロジェクト”という企画も進めていて、そういう話も聞くと、八戸大使である僕としては自分の地元でもぜひこのプロジェクトを展開したいなと思ってしまい、今いろいろと調べているところです。

 そもそも、この“カタリバ”を紹介したのは、新年度が始まったタイミングで何か新しいエコの取り組みを始めるとすれば?という話からで、つまり新しい自分の環境のなかで地域のコミュニティに目を向けてみるというのも面白いんじゃないかと思ったからです。ぜひ、みなさんも新しいコミュニケーションの場を広げてみてください。

 

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