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vol.20 若者よ!破格生活をエンジョイせよ!!

  • 2009年4月16日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 前回は、ぼんやり学会的新生活の受け入れ方みたいな話をしたわけですが、僕自身のことを振り返って、親から離れて暮らすようになって決定的に変わったことは何だったか考えてみました。答えは、叱る人がいなくなったということです(笑)。親元にいると、叱られたことに反発を感じながらも、それに従うことになるから、結果として生活はちゃんと回っていくわけで、だから叱られた本当の意味もあまり考えないでやり過ごしてしまうわけですが、叱られなくなると“あの時、こうしろ!と言ってたのは、このことだったのか…”みたいな感じで、その本当の意味を初めて知ることになるわけです。で、僕の場合は叱られなくなって、見事に部屋が散らかりました(笑)。

 特に僕の場合は、今でもそういう傾向はありますが、“これをやりたい!”と思ったら、それ以外のことは一切見えない、というタイプの子どもでしたから、放っておくとどんどん散らかっていくんです。良く言えば集中力があったということになるかもしれませんが(笑)、何かに向かっているときの僕に何かを伝えようとすると、呼びかけたくらいではまったく気づかないんですから、肩をたたくとか腕を引っ張るとかそれくらいしないと駄目なんです。そういう人間だったので、何かをやっていて、途中で別のことに気持ちが向くと、最初にやっていたことは完全に忘れてしまいます。おかげで、学校でもサイフや教科書を無くしまくっていました。結局、家にいるときには、母親から「〜を出し放しだったよ」「〜を開け放しだったよ」みたいなことを言われるときには母親がそれを始末してくれているわけで、そのことを言われている僕はすでに他のことをやっているから、返事するだけで母親が注意した内容なんて聞いてないんですよね(笑)。そういうことを繰り返しながら生きてきたということに、初めて気づかされたわけです。

 それから、親元を離れていちばん困ったのは体調管理です。なにせ、食事するのを忘れてしまう人間でしたから。例えばコンピュータでプログラムのコーディングを始めると平気で20時間とか、肉体が悲鳴をあげるまで続けてしまうんです。そんな調子だったので、もし僕がゴスペラーズになってなかったら、こんなに自分の体に興味を持つことはなかったと思います。例えば僕の父親は若い頃には僕と同じような体型だったんですが、今の僕の年齢の頃には体重がもう80キロ代後半でしたから、僕も同じような体型になってたんじゃないかと思います(笑)。

 ところで、大学時代には、僕自身そんな調子でしたし、大学には届け出さえ出しておけば24時間ずっと作業ができる場所があったので、1週間分の衣類をバッグに詰めてその部屋に持ち込み、寝るのも机の上に突っ伏して眠るという生活を続けていました。つまり、人間としての生活をほぼ放棄したような生活を送っていたわけです。人間らしい生活を送るのがエコだとすれば、最もエコから遠いところにいたとも言えるでしょう(笑)。ただ、若い頃のそういう突破力というのは本当に大事だなと思うんです。大学の4年間というのは、そういう破格な生活を送る最後のチャンスです。一度、社会に出てしまうと守らなければいけない常識はたくさんありますが、そういう規範から外れてしまうことが決してマイナスにはならない貴重な時間だと思います。だから、その4年間については、このエコの時代に背を向けることさえアリだと思います。僕らの世代、僕らより上の世代が一生懸命エコに取り組むのは、その20歳前後の世代が気兼ねなくエネルギーを消費しながら次の時代に向けての突破力を磨くためと言い切ってしまってもいいかもしれません。この春から大学生になったみなさんは、人に迷惑をかけない範囲で、というのも線引きがむずかしいですが、人のことを思いやる気持ちは忘れずに、でも常識は簡単に信じ込まずに、好きなことに思い切りはまり込んでほしいと思います。


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