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vol.19 ぼんやり学会的ひとり暮らしのススメ

  • 2009年4月2日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 今月は、スタッフからエコに気持ちを向けるきっかけとしていちばん多いのが「ひとり暮らしを始めた」ということだと聞いたので、僕自身が親元を離れて暮らし始めた頃のことを思い出しながら、新生活を始めるみなさんにいくつか提案をしてみたいと思います。

 親と一緒に暮らしているときには、散らかっていたものがいつの間にか片付いていたり、何も言わなくてもご飯が出てきたりするというような生活を僕も送っていました。そういう生活が親元を離れたことで根本から崩れ、僕は小さくないショックを受けたわけですが、多くの「ひとり暮らし始めました」さんたちも、程度の差こそあれ、きっとショックを受けることになると思います。そこで、親のありがたみを実感することはやはり大切なことでしょうし、寂しさを感じるのも決して悪くないと思うんですが、ぼんやり学会的な発想から言うとその状況を決してネガティブに捉えずに、生活のなかで自分がコントロールできることが増えたと思えばいいと思うんです。「親の世話になってるんだから、親の言うことは聞きなさい」なんて、いまの親御さんたちは言っていないかもしれないですが、少なくとも僕はそういうふうに言われて育ったので、それを自分でやってみるとどれだけ大変かということが身にしみてわかる一方で、それを自分でやれるという喜びもあったんですよね。

 実際、ゴミの分別とか掃除、洗濯…と、自分でやらなければいけないことは増えるはずです。しかし、そういうことを“やらなきゃいけないこと”というふうに考えるからうっとうしく感じたりもするんでしょうが、自分で計画した通りにできると考えると、けっこう気持ちいいことなんじゃないかと思うんです。その考え方をネガティブ方向に広げていくと、“どんなにゴミを溜めても自分が平気ならそれもアリ”みたいな話にもなってしまうわけですが…(笑)。

 それに、そうした生活の細々としたことをきっちりこなすことが、仕事や勉強の助けになる場合もあるように思います。というのは、どんなことでも本質的なところでつながっている部分があって、できないことができるようになっていく過程や何か壁にぶち当たったときのその乗り越え方、わからないことの探し方とか問題の発見の仕方、そういうことはどんな分野でも同じだと思うからです。だから、例えば掃除や料理を何かが行き詰まったときの逃げ道として使うという手がありますよね。

 仕事でも勉強でも何かで行き詰まるということがあると思うんですが。押せども押せども岩が動かないという場面に行き当たる、と。それで、動かないということにめげそうになるわけですよね。そういう場合に、ちょっと野菜を刻んで炒めてみるとか、そういう小さなことでもいままでやってなかったことをやってみたらできたとか、そういうことがあるとそこには喜びがあるし、発見もあるから、それがエネルギーになってまた岩を押し続けることができるんです。生活の細々としたことが増えて大変だなあと思っているみなさん、じつはそうしたディテールはそういうエネルギー源になるかも、なんて思いながら新生活と向き合ってみるといいんじゃないでしょうか。

 次回は新生活を始めた頃の僕の話をもう少し紹介しようと思いますが、現在の僕は4月17日から始まる全国ツアーの準備で大忙しです。今回のツアーはすごく楽しみにしていて、というのもただツアーでいろいろなところに出かけるだけじゃなくて、その出かけた先でこの連載とリンクするようなところも見てみようと思っているからです。これまでは、コンディション作りでいっぱいいっぱいだったので、ツアー先ではホテルにこもっていることが多かったんですが、今回は付近の名所などいろいろ調べて出かけようと思っています。そういう報告もこの連載でできればやりたいと思っていますが、まずはツアーの会場でみなさんとお会いできればと思っています。今回のツアーでは、秋の後半戦まで含め、できるだけみなさんの近くに出かけていくというのがテーマのひとつなんです。どうぞ、みなさんも楽しみにしていてください。


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