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Vol.171 いいアイデアを、焦らず気長に実現していく。そういう楽しみもあるんですよね。

  • 2015年5月21日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 新年度が始まって1ヶ月余りが経ちましたが、この春から新生活を始められたみなさんは、うまく馴染めてますでしょうか?僕はと言えば、昨年から続くツアーが絶賛展開中である一方で、母校での授業では4月からまた新しい学生との対話が始まっています。AWSも、基本的には学生の組織ですから、卒業していった人がいる一方、新しく加わった人がいます。まあ、僕の周りは相変わらずかなり慌ただしいわけですが、おかげでいろんな刺激を受けたり情報を得て、そこからやりたいことをどんどん思いつくんだけれど、なかなか手がつけられない、もっと言えば忘れてしまう、ということも少なくありません。なので、AWSでの取り組み関するアイデアを、備忘のために、また公言することで自分の尻を叩くために、ここにいくつか書いておきたいと思います。

アカペラ  まずは、学生アカペラ・プレイヤーのネットワーク化というテーマです。僕が知る限り、首都圏の大学だけで何百という数のアカペラ・サークルがあります。とすると、首都圏でアカペラをやってる大学生が2万人くらいはいると思うんですが、首都圏の大学の学生は全国から集まってきていますから、学生アカペラ・プレイヤーの全体が2万人だとしたときに、彼らを大学の垣根を越えて出身地ごとにグルーピングしていくと、全国の主要な都市がほぼすべてカバーできると思うんです。言い換えると、クルマでグルッとまわれるくらいの範囲の出身者でアカペラのグループが作れるだろう、と。そしたら、夏休みとかに、自分たちの出身校を順番にまわる“アカペラの楽しさ伝道ツアー”がやれるんじゃないか?と。そこで、そのツアーの段取りをつけることと、大学生たちが後輩の高校生、中学生にどういうふうにアカペラを教えるかということの段取りをつけてあげるという事務局的な機能を果たせるといいんじゃないかなと思ったわけです。現状でも、サークル単位では外に出かけていってアカペラの楽しさを伝える取り組みをやってるところはたくさんあるんです。「近くの介護施設に歌いに行きます」とか、「自分の大学の付属高校にアカペラを教えに行きます」とか。それをネットワークしようぜってことですよね。ただ、これを実現するためにはAWSがもう少し組織として大きくならなければいけないだろうし、そういうことをつねに考えるスタッフがいないといけないだろう、と。そう考えると、5年くらいの計画でやるべきことなのかなと思ってるんですけど。

 それから、廃校の建物を宿泊施設として利用している企画が全国で増えていますが、そういうところで合宿して、いろいろなプログラムを組み合わせた夏期講習みたいなこをやれたらいいな、なんてことも思っています。歌やアカペラのワークショップやレッスンはもちろん、身体づくり、料理、アウトドア、キャンプ、サバイバル、アンサンブルとチームビルド等様々な内容を大学の授業一週間分みたいに用意して選んでもらい、強化合宿として楽しんでもらう。今からわくわくします。

 アカペラからは離れますが、同じ音楽切り口ということで言えば、「ブラバン・プロジェクト」(仮)というのもあります。一線で活躍する演奏家の皆さんの中にはブラバン出身の管楽器や打楽器の方も多いので、そういう方に担当中学校や高校を持ってもらい、定期的に指導に通ってもらうプロジェクトです。年に一回、そういう学校が集まる演奏会ができて、そこで集まったお金を更に活動資金に回せたら最高だな、なんて遠くを見つめたりしています。

 というわけで、AWSがやりたいことやアイデアはすごくたくさんあるんですけど、まだ実行力が足りていないので、コツコツとやっていくしかないだろうし、その過程で「アカペラをやる人間として社会とどう関わるのか」、「どんなことができるのか」、「自分がやりたいと思うことをどう実現するのか、それは実現したのか」ということを着実に蓄積していくことが必要だと思っています。2012年からのスタートなので、2年目、あるいは3年目のプロジェクトが多いんですが、そういう蓄積は徐々に進んでいるように思うし、「先輩がやっていたことを引き継げばいい、という感覚ではだめだ」ということを口酸っぱくして言わないと学生は受け身な活動になってしまいがちという課題はあるものの、全体としてはいい方向に進んでいるような感触は持っています。

 というわけで、どれもこれも気長な話ではありますが、その分楽しみも大きいです。いい成果が出れば、この連載でもどんどん紹介していきますので、どうぞお楽しみに。

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