Vol.148　ポイントは、自分の生活にとって何が大切か考えるということ

　みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

　前回紹介したマイファームの農園での農業体験以来、時間があると“農作業のある生活”について考えるのですが、この間のイベントでやった耕耘機で土地を耕して苗を植えるという作業は30分くらいでやってしまえることなので、ちょっと早起きして出かければ、仕事に行く前に済ませてしまえます。サーフィンをやる人のなかにはまだ暗いうちに海に行って日の出から波に乗り、それから出勤、なんてことをやっている人もけっこういますから、それを思えば仕事前の30分の農作業などずいぶん楽なものですよね。個人的には、農作業場と仕事場の間に24時間営業の銭湯があれば完璧！という感じがしますが（笑）、そういうふうに考えていくと住む場所を選ぶ基準も変わってきます。住む場所を選ぶということは結局のところ、どういう生活をするのか、自分の生活にとって何が大切かということを考えるということですから、生活の有り様や大切なものが変わってくれば、住む場所が変わるのも当然の流れでしょう。特に若い時期には、「仕事」や「遊び」と生きる上での基本的な「暮らし」とが混ぜこぜになってしまうもので、だからこそ楽しいということもありますが、年齢を重ねていくなかでそうした要素をうまく整理して分けるべきは分けていくことも必要でしょう。僕自身、現在の住まいは「音楽制作のためのスタジオ兼AWS等のための事務所」というようなものになっていって、僕の個人的な「暮らし」のスペースは別のところに構えるようになっていくのかなあと感じているところです。

　ところで、こういうことを考えていくと、現実的にはつねにお金の問題が付いてまわります。というか、いちばん中心的な問題と言うべきなのかもしれません。例えば農作業のための土地を借りたり、そのための道具を買ったりする場合にも、そうしたものを提供してくれる相手は基本的には商売でやっているはずですから、お金の部分で折り合えないというケースもあると思います。それでも、根気よくちゃんとした知識を積み重ねて調べていけば、お金のかからない方法、お金をセーブできる方法にたどり着けるのがこのインターネット時代の良いところだと僕は思っています。そこに、自分なりの工夫をさらに凝らせば、お金の問題というのはきっとクリアできると思いますよ。

　僕は楽観的過ぎるでしょうか。あるいはそうなのかもしれませんが、「お金が無い」という理由で“農作業のある暮らし”を諦める人に敢えて問いかけたいのは、「それは、何に対して、無いのか？」ということです。先に「住む場所を選ぶということは自分の生活にとって何が大切かということを考えるということ」と書きましたが、お金の使い方も同じなんじゃないかなあと思ったりします。今使っているお金が、健康への投資、または自分の健康に対する意識への投資よりも重要なところに使われているのかの検証は、少なくとも無意味ではないと思います。

　さて、繰り返しますが、僕は農業伝導師ではありません（笑）。相変わらず電力の自給自足生活という野望は捨てていないし、ゴミの分別についても以前ゴミ処理場を見学した頃と比べるといろんな状況が変化しているんだろうなと思っています。というわけで、土から離れたところにもどんどん出かけていって、それぞれの現場を直接見ていくつもりです。自分の住まいの改造計画なんてものも進めようと思っていますので、そのあたりも随時紹介していきます。

　それから、来月にはゴスペラーズのニュー・シングルもリリースされます。20周年を迎えるゴスペラーズにもご期待ください。

　というわけで、やりたいことをやりきるにはどう考えても時間があまりにも足りない北山でした。