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Vol.104 豊かな生活について考えるのがエコだけど、今回はどういう生活が豊かなのかちょっと考えてみた。

  • 2012年8月23日

  みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 みなさんは、夏休みはどんなふうに過ごされたんでしょうか? 夏休みなんてないよ!という方もいらっしゃるかもしれません。かく言う北山も夏休みらしい夏休みはないのですが、それでもこの4月から4ヶ月間にわたって母校で行っていた「うた」の講義が終了し、そのレポートの審査も終えて、ちょっとひと息ついているところです。

 この講義については、正式な講師として教壇に立つことはもちろん初めてでしたし、それ以上に朝9時台から週1回のレギュラー業務を受け持つということ自体、社会人になって初めてのことでしたから、正直けっこうハードな部分もありましたが、その一方で20歳前後の学生諸君と時間を過ごすことはとても貴重な体験でしたし、講義のテーマである「うた」についてなかなかに新鮮な意見を聞かせてもらったことも少なくありませんでした。ただ、教室での反応やレポートの内容を見ると、かなりのもの足りなさを感じたことも事実です。“先生1年生”の北山としては、その結果も自分の課題として受けとめて、次の機会にはもっといい講義にするのだ!(笑)と、あらためて意欲を燃やしています。

 ところで、夏休みに帰省された方もけっこういらっしゃると思いますが、実家で過ごした時間はどんなふうに感じたでしょうか?若い方で、「親がうるさいから帰ったんです」なんていう人はあまり楽しい時間ではないのかもしれませんが、そういう人でも年齢を重ねて、自分の暮らしについて、もっと言えば人生の幸福というようなことについて考えるようになってくると、実家で過ごす時間についての感じ方も変わってくるかもしれません。

都市 先日、ある人と話していて話題になったのですが、みなさんは例えば年収200万円でもちゃんと生活できる地域と、年収1000万円でもまだ足りないと思いながら暮らす大都市(例えば東京)と、どっちのほうが豊かだと思いますか。確かに、東京ではありとあらゆるサービスが24時間用意されています。お金が無尽蔵にあれば、そうしたサービスがいくらでも受けられます。世界でも有数のおいしい食事ができるし、最も安全な食事を楽しめる。これは事実です。

 あるいは、地方都市で暮らしていると年収が200〜300万の人が東京に行くと年収1000万を超えるチャンスがあります、なんていう話も嘘ではないと思います。確かに、そういうチャンスはあるでしょう。だから、野心を持って東京に出てきて自分を試してみるというのも、もちろん悪くない。

 ただ、そこでひとつ気づいてほしいのは、例えばさっきの話で言えば、年収というものが話のポイントというかものさしになっているということ。入ってくるお金はそりゃあ多いほうがいいに決まっているけれど、入ってくるお金のことだけではなく、それを得るために何を支払うかということについても、ぜひ考えたほうがいいと思うんです。自分の体力、知力、そして時間のどれだけをお金を生み出すために使い、それに充てない部分はどんなふうに使うのかということを考える、ということですよね。ひらたく言えば、自分の人生の時間をどんなふうに使うのかということを考えるということです。「入ってくるお金」というものさしでだけで、人生の時間の使い方の善し悪しをはかる考え方があってもいいと思いますが、とりあえず僕はそれとは違うものさしで自分の人生の使い方を考えたいと思っています。

 仮に、お金を得るために仕事をしているとして、そのお金を使いたい何かがあるから、仕事をするわけですよね。でも、インターネット時代の現代においては、東京に住んでいなくても、ひと月のうち1週間くらい東京に来ていろんな人と会ったりすれば、あとはどこにいても仕事はできてしまうというケースもたくさんあります。そういうことを、働く側の人間がもうちょっと真剣に考えたほうがいいと思うんです。要は、 “こういう仕事をしたい”ということと“こういう生活をしたい”ということを分け過ぎないことと、逆にくっつけ過ぎないということ、その両方がすごく重要だと思うんです。

 もし「わたしはこれから夏休みです」という人がいたら、そういうことをぼんやり考えてみるのも悪くないんじゃないでしょうか。


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