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あなたの生きづらさ 「複雑性PTSD」かも

  • 2019年12月11日
  • ケータイ家庭の医学SP

虐待やいじめ、DVでも深刻な心的外傷に

災害や戦争、大事故などの苛酷な体験が精神に影響して起こるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、ようやく知られてきました。しかし、日常的に繰り返される暴力やいじめ、虐待などがトラウマとなって起こる「複雑性PTSD」のことをご存知でしょうか。どのような症状で、どんな治療が行われるのでしょうか。

◆災害などによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の原因は、いわば単回の限定的なものですが、複雑性PTSDの場合、長期性、潜伏性、頻回性をもつ、つらい体験が原因になるとされています。

◆おもに人間関係におけるトラウマ(心的外傷)の影響が強く、たとえば幼少時の虐待・暴力被害(目撃も含む)、いじめ、ネグレクト(育児放棄)、家庭での面前DV(両親のDV目撃)、兄弟姉妹間の確執、厳しすぎるしつけ、深刻な裏切りやさまざまなハラスメントなどが、長い間続いたり、何度も繰り返されたり、またいくつもの原因が重なったりすることが発症の原因となります。

◆複雑性PTSDの主な症状はPTSDと共通しています。すなわち、以下の3つに分けられます。
(1)再体験症状
(2)回避・精神麻痺症状
(3)過覚醒症状(覚醒亢進状態)

◆(1)再体験症状では、つらい体験の記憶が突然よみがえってきます(フラッシュバック)。また、その体験にまつわる悪夢を繰り返し見ることもあります。記憶がよみがえると、動悸や発汗、過呼吸、体の震えなどの身体症状をあらわします。

◆(2)回避・精神麻痺症状では、つらい体験について話したり考えたりすることを避ける、思い出させる物事や場所、状況を避ける、その出来事の重要な部分を思い出せないなど、外傷に関係する様々なことを日常的に回避するようになります。つらい体験のせいで時間が止まったように感じ、自分の感情がわからない、何事にも興味がわかない、周囲との疎外感を感じるなどの感情の鈍化や意欲の低下などがあらわれることもあります。解離症状をきたす場合もあり、一種の自己防衛反応と考えられています。

▽▼▽ 次ページでは 過覚醒症状について など▽▼▽

(監修:東急病院 健康管理センター所長兼心療内科医長 伊藤克人)◆(3)過覚醒症状では、睡眠障害やイライラ、怒りやすい、集中力の低下などがみられ、ちょっとした音などに反応する過剰な警戒心、感情の浮き沈みが激しいなど、過敏な状態がみられます。そのほか、身体症状として、下痢や不整脈、頭痛、めまいなどが起きやすい、パニック症状、不安・抑うつ症状、薬物やアルコール依存などに陥りやすいといった場合もあります。

◆治療は信頼できる医師とのあいだで、心理療法や薬物療法を年単位で続けることが大切です。心身の症状を緩和する薬物療法をしながら、トラウマ反応を徐々にコントロールするための認知行動療法、エクスポージャー(曝露)療法やEMDR(眼球運動による脱感作及び再処理法)といった方法を行うことになります。

◆1対1の面接による治療が中心ですが、場合によっては自助的なグループ療法がおこなわれる場合もあります。

◆複雑性PTSDは、幼少期から青年期の経験によって発症する場合が多く、その後の社会的な自立を果たそうとするときに、「生きづらさ」を生む要因ともされています。複雑性PTSDを抱える人は、職場でもプライベートでも心の奥深くで人間関係におびえ、緊張し、感情を抑えて毎日を送っているといいます。しかし、個人的な深刻な事柄が原因することが多いため、気軽に人に話せず、トラウマの影響を受けていないように自分自身を偽って頑張るものの、関係性をうまく築けない悩みを抱えることが多いようです。

◆つらい過去の体験によって現在の日々がさいなまれ、生きづらさを何度も感じる、心身の調子や周囲との関係がいつも不安定のようなら、複雑性PTSDが原因かもしれません。このような時には、周囲の人々は体験したことについての話に耳を傾け、共感して、本人が安心できる居場所を作ってあげることが大切です。また、適切な治療を受ければ回復できる病気ですので、ひとりで悩まずメンタルクリニックや精神保健相談などを受けてみましょう。

(監修:東急病院 健康管理センター所長兼心療内科医長 伊藤克人)

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