被災した富山・舟橋北町の常夜灯、県が修復へ 江戸後期の史跡、市が文化財指定の可能性

  • 2025年2月13日
  • 北陸新幹線で行こう! 北陸・信越観光ナビ

被災した常夜灯=昨年8月、富山市舟橋北町【北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ】
 能登半島地震で損壊した富山市舟橋北町に立つ江戸時代の常夜灯について、富山県が2025年度に修復を目指す方針であることが12日、分かった。修復されれば富山市が文化財指定に動く可能性もあり、保存を求めてきた地域住民からは安堵(あんど)の声が上がっている。

 常夜灯は江戸時代後期の1799年、当時の神通川に木舟64艘をつなげた「舟橋」を渡る人の安全のため、左右両岸に立てられた。舟橋は明治時代に廃止され、神通川も河川改修により川筋が変わったため、常夜灯は江戸時代の様子を伝える数少ない史跡となっている。

 2024年1月の能登半島地震では、現在の県森林水産会館前に立つ左岸側の常夜灯が被災。倒壊を免れたものの、胴体部分が割れるなどした。

 同会館を管理する県農林水産企画課は、常夜灯が歩道に近く、崩れると歩行者に危険が及ぶと判断。分解し、地面に安置した。建立から220年以上が経過し所有者が分からなかったことから、市と対応を協議。歴史的な価値を考慮し、修復を目指す方針を固めた。同課は「25年度の着手を目指して検討を進めている」と説明する。

 これまで所有者が分からず、管理の主体も曖昧だったが、富山市が保存に取り組む可能性が出ている。市生涯学習課は取材に対し、修復されれば市文化財調査審議会に諮問する考えを示し、「審議会が『文化財に指定すべき』との意見で一致すれば、文化財指定の方向に進む可能性はある」とする。

 地元からは歓迎の声が上がる。住民らは昨年8月、「舟橋常夜灯を守る会」を結成。神通川や舟橋にまつわる歴史を解説する講演会を開くなど、常夜灯の価値を発信する活動を続けてきた。

 栗林正昭会長(76)は「常夜灯がこのまま修復されないのではないかと不安だった。修復の方針を聞き本当に安心した」と喜ぶ。「地域の宝を安定的に守っていくためにも、文化財指定を目指して活動を続けたい」と話している。
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