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入魂の欄間「原点」井波に 首里城手掛けた彫刻家

  • 2020年7月26日
  • 北陸新幹線で行こう! 北陸・信越観光ナビ

 昨年10月末に焼失した世界遺産首里城(那覇市)正殿の木彫を手掛けた金沢市の彫刻家、今(いま)英男さん(1937〜2014)の自宅に残っていた欄間が、妻良子さん(73)の意向で、若き日に腕を磨いた南砺市谷の社会福祉法人マーシ園に寄贈された。井波彫刻の伝統を受け継ぐダイナミックな表現が特徴の作品で、園側は展示などの活用を図る。
 今さんは勤務先の事故で脊椎を損傷し、66〜70年にマーシ園に入所した。同園は授産施設として井波彫刻の技術指導に力を入れており、今さんは後に井波彫刻伝統士会長を務めた山口助次(紅雲)氏の指導を受けた。
 山口氏は井波彫刻の中興の祖で明治期の万博などで活躍した、初代大島五雲の孫弟子。日本工芸史を専門とし、生前の今さんを知る石川県立美術館の鶴野俊哉学芸担当課長は「今さんはマーシ園で彫刻家として才能を開花させ、五雲系と呼ばれる正統な井波彫刻の技を受け継いだのだろう」とみる。
 今さんが手掛けた2対の欄間は金沢市光が丘2丁目の自宅兼仕事場に残されていた。制作の経緯は明らかでないが、良子さんによると、約30年前の作品で、1990〜92年に今さんが関わった首里城正殿復元工事と前後する時期だったとみられる。
 1対は柿とビワの木に止まる数羽のスズメを表現している。もう1対は松と鶴が題材で、輪郭まで彫られた未完成作となっている。良子さんが「木彫の指導などに役に立ててもらいたい」と考えてマーシ園に相談し、寄贈の運びとなった。
 今月上旬、マーシ園の豊川覚事務局長と職員の出合実さんが今さん方を訪れて作品を確認した。井波彫刻協同組合に所属する出合さんは「卓越した空間表現や生命感あふれる鳥の姿に五雲らしさを感じる」と評した。
 マーシ園は今後、職員らで未完の1対を仕上げ、施設内に展示スペースを設けることも検討する。良子さんは「彫刻家としての原点となった場所で夫の作品を多くの人に見てもらえればうれしい」と感慨深げな表情を浮かべた。
【北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ】

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