9/11に東京・汐留アーキテクトカフェで行われた「ごちそうとぼうさい」というイベントに、ミニライブという形でQuinka,with a Yawnとともに参加してきました。このイベントはVol.31「エネルギー問題に効くデザイン」でも取り上げた博報堂のアートディレクター・吉田裕美さんが中心となって企画されたものです。
「無事にいられる毎日に感謝して、防災食でつくった料理をおいしく食べる」という主旨のもと、立食パーティ形式の会場に次々といろんな料理が運ばれてきます。フードを手掛けるのはシェフでFoodist Link代表の高田大雅さん。またトータルフードプロデューサーの平井巧さんが、フードプロデュースという形で関わっていました。
写真撮影(すべて):小野貴之さん
メニューは缶詰のパンを使ったカナッペ、レトルトの惣菜のサラダ2種(麩のサラダ/高野豆腐)、水を入れるだけで食べられる防災用のお米で作ったリゾット、さらに極めつけは非常用クッキー「パワースティック」(レスキュープラス)をくずして作ったティラミス。どれも長期保存ができる非常用の食材が元ですが、とてもおいしかったです。
このイベントではこれらの「非常食」を「防災食」と呼びます。吉田さんは「非常食という言い方は緊急時だけというイメージがあるけど、防災食という言葉にすればいつでも気にすることが出来る。」と語ります。そして「5年くらい保存できるものでも、非常時にいざ食べようと思うと期限が切れてしまっていることがあります。そこで古いものからこまめに食べていって、そのたびに補充していく『ローリングストック法』を活用してみましょう。」と呼びかけていました。
ローリングストック法は僕も以前、「きこえる・シンポジウム 2012 夏」に参加してくださったNPO法人プラス・アーツ代表の永田さんから学び、実践するようになりました。つい先日も非常用リュックの中身を確認しがてら、水で作れるお米にレトルトのカレーをかけたり、いろんな製品の味を確かめるために取り出して食べてから、足りなくなった分を補充しておきました。僕はお腹が空いていて家に食材が無いときなど、気ままに不定期間隔で行ってしまうのですが、本来は月に1度、日にちを決めて中身を回していくというのが効果的なのだそうです。
イベントで流されていた、実際に被災された方たちは震災の直後に何を食べていたのかというインタビュー映像も、とてもリアリティがありました。ある程度時間が経てば避難所での配給に頼ることができますが、被災した直後や最初の数日間では、自分で備えていたものが相当の支えになるということが、よく分かります。ちなみに、咄嗟のことだったので何を食べたのかまったく覚えていない、という方も多いそうです。
仙台のわりと中心部に住んでいる僕の知人は、震災後3日間はたまたま家にあった食パン数枚でしのいだと言っていました。水道もガスも電気も止まったうえに、近所の店はどこも商品がなくなっていたそうで、もう少し備えておけばと話していたことを、ふと思い出しました。
この日のミニライブで、僕は震災の年にチャリティとして作った「がれきのれきし」という歌と、Vol.29「南三陸ミシン工房のおかあさんたち展」で紹介させてもらった、南三陸ミシン工房を応援する「南三陸ミシン工房のうた」を、Quinkaは今回のイベントともつながりの深い“東北支援継続ホームページ”「ともす東北」のテーマソングを歌いました。会場を彩っていた「チームともす東北」のたくさんのキャンドル、そのやさしい光に心が和みました。
皆さん真剣に聴いてくれていて、とても嬉しかったです。防災食にプラスして、いつでもみんなでひとつになれる「歌」も、心のなかに備えておきたいと思います。
最後は南三陸ミシン工房のバッグと、「ごちそうとぼうさい」のオリジナルラベルもかわいいパンの缶詰などの防災食が、お土産として配られていました。食の観点から防災を考えた内容の充実したプログラム。音楽とエコのイベントを続ける僕らにとっても、たいへん勉強になった一日でした。
そんな僕とQuinkaが半年に1度開催している「きこえる・シンポジウム」の19回目「2013 冬」版は、11/30に北海道砂川市の会場「砂川市地域交流センターゆう」にて行います。ライブ、トーク、ワークショップ、マルシェと盛りだくさんなイベントになりそうです。この連載でも近々あらためてお知らせしたいと思いますが、まずはこちらをご覧ください。チケット予約はすでに、砂川ゆうの窓口とメールで受付中ですので、気になる方はぜひ〜。