このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。
カンボジアでのコミュニティの炭素計測トレーニングの様子
世界の陸地面積の30%を占める森林は6,500億t以上の炭素を貯留する巨大な炭素吸収源としての役割を果たしている。しかし、世界の森林の減少は続いており、毎年520万haの森林が失われている。森林減少と劣化に伴う二酸化炭素(CO2)排出は世界の人為的なCO2排出量の約20%を占め、化石燃料の使用に次ぐ主要な排出源となっている。とくに、インドネシアのような森林大国では、全体の排出量の約40%が森林減少・劣化に由来しており、さらに泥炭湿地開発からの排出も考慮に入れると国全体の80%にも達する。森林の保全は地球温暖化防止問題を議論する上で、無視できない重要な分野と認識されている。
森林の減少や劣化は、森林を伐採して材を販売したり、農地に転用して利用する方が森林を保全するよりも利益をもたらすという現在の経済的な構造によって引き起こされている。そこで、気候変動枠組条約では市場メカニズムを活用して森林に炭素クレジットという新しい価値を付加し、森林保全をすることに利益を生むような仕組みの構築が議論されてきた。京都議定書第一約束期間においては炭素吸収源を新たに拡大する植林活動がクリーン開発メカニズム(CDM)として実施されている。
現在は、ポスト京都議定書の森林分野の温暖化防止対策として「REDD+(レッドプラス)」が議論され、森林保全の新しい大きな原動力として期待されている。REDDとは、途上国における森林減少・劣化からの排出削減(Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation in developing countries)である。しかし、森林減少と劣化の防止のみに対象を限定すると森林減少が進行中の国のみが対象となり、森林減少を抑制することにすでに成功しているインド、中国、タイなどが参加できなくなってしまうことから、森林炭素ストックの保全、持続可能な森林管理、森林炭素ストックの増進という活動も対象とすることになり、REDD+と呼ばれている。