「Mobile World Congress 2025(モバイル・ワールド・コングレス 2025、以下MWC)」。今年はスペイン、バルセロナでの開催です。
会場では、スマートフォンやノートPC、タブレットなどの分野で、多くの興味深い発表がありました。革新的な折りたたみディスプレイや太陽光で動作するPC。各社の魅力的なプロダクトは、モバイル業界への期待感を高めてくれます。
今回は、MWC初日を経ての感想をざっくりまとめてご紹介。
MWCの中でも印象的だったのがSamsung(サムスン)の研究開発部門。
展示されていたのは折りたたみ式の携帯型ゲームデバイス。Steam DeckやNintendo Switchのようなビジュアルの本体を半分に折りたたむことが可能で、ゲーム機本体をよりコンパクトに持ち運べるようになっています。
また、サムスンは、スマートフォンやタブレット、PCなど製品全体を有機ELディスプレイに統一し、常にハイクオリティな画面を堪能できるようにするという計画も発表。どのサムスン製ディスプレイでも同じ発色を体験できるようになるそう。
これらのディスプレイは最大5,000nitの輝度を実現するということですが、この明るさはもはや屋内でもサングラスをつけていいレベルと言えますf。
さらに、サムスンは、Android XRヘッドセット「Project Moohan」も披露。こちらのヘッドセットは2025年4月に発売されるとウワサされています。
サムスンから発売される「Galaxy Aシリーズ」はコスパに優れたミドルレンジモデル。Galaxy A56、A36、A26はグローバル展開が予定されていて、A36とA26はアメリカにて3月末に発売するようです。
いずれも120Hzのリフレッシュレートに対応したディスプレイを備えており、AI機能「Awesome Intelligence」を搭載しています。
「Awesome Intelligence」では、GoogleのGemini AI機能の一部を利用可能で、画面の情報を指で囲うジェスチャーを行なうことで検索できる「かこって検索」や、Galaxy S25シリーズで導入された楽曲識別機能なども使うことができます。
コンセプトデバイスの発表に定評があるLenovo(レノボ)が公開したのは、太陽光で動作する「Yoga Solar PC」の試作機。日光さえあれば長時間使用できるのが特徴。こちらのデバイスは、展示会場に持ち込まれる前に、関係者向けのクローズドイベントでも披露されました。
アメリカでは、リーズナブルなスマートテレビを発売している企業として認知されているTCLがスマホやタブレットの業界にも進出。ここ数年、同社は「NXTPaper」技術に力を入れていました。NXTPaperとは、目にやさしく、彩度もある電子ペーパーのようなテクノロジーです。
TCLはNXTPaper技術を搭載した新型タブレットと3機種のスマートフォンを発表。
発表されたものの内「TCL 60 XE NXTPaper」はアメリカ周辺で入手可能になるようです。ローンチはカナダで行なわれ、約230ドル(約3万4000円)で発売予定。
MWC 2025でもっとも注目されたニュースのひとつが、Nothingの「Nothing Phone (3a)」と「Nothing Phone (3a) Pro」が、β版プログラムに登録することで使用可能になるということ。価格は、それぞれ380ドル(約5万6000円)と460ドル(約6万8000円)。
シースルーなビジュアルが特徴的なNothing Phoneですが、ミドルレンジの「Nothing Phone (3a)」はカメラ性能がやや控えめ。カメラを重要視するユーザーは、「Nothing Phone (3a) Pro」の方がいいかも。どちらのモデルも、着信時にスマホがライトアップされるギミックが搭載されています。
デバイスでGoogle Playストアへのアクセスを提供しなくなったにもかかわらず、ここ数年中国では順調に事業を展開するHuaweiの子会社であるHonor。
米国市場から撤退して久しいHonorですが、MWC 2025では再挑戦の意欲を見せました。同社はAndroidと互換性のある新型スマートウォッチ「Honor Watch 5 Ultra」や、非常にリーズナブルな約250ドル(約3万7000円)のタブレットを発表。10,100 mAhのバッテリーを搭載したこのタブレットは、1回の充電で数日間使用できます。
またHonorは、GoogleおよびQualcommとの共同開発を強化し、Appleのようなインタラクティブなデバイス環境を構築すると宣言。最新デバイスには最大6年間のソフトウェアアップデートを保証すると発表しました。
加えて同社はAIの潮流に参加する意思を表明し、独自のアルゴリズムを使いカメラのパフォーマンスを強化するようです。
「Xiaomi 15」はSnapdragon 8 Eliteのプロセッサ、12GBのRAM、ライカと共同開発した5,000万画素のカメラを搭載したハイエンド機種。バッテリーも5,240mAhと大容量で、フラッグシップモデルにふさわしいスペックです。
Xiaomi 15は「液体シルバー」仕上げの背面デザインを採用。9to5Googleによると、こちらの背面デザインは、非常に指紋が付きやすく、強い日差しの下では反射がかなり眩しいとのこと。しかし、昨今のマンネリ化が進むスマホデザインにおいて、新たなアプローチとして評価できるかもしれません。
また、Xiaomiは、カメラ性能でSamsung Galaxy S25 Ultraと競う「Xiaomi 15 Ultra」も発表しています。
中国のスマホブランドRealme(リアルミー)も新型スマホ「Realme 14 Pro」と「14 Pro+」を発表。6,000mAhの大容量バッテリーに加え、Snapdragon 7s Gen 3のプロセッサと12GBのRAMを搭載。上位モデルには望遠、広角カメラも備わっており、より本格的なカメラ体験が可能です。
また、ITメディアのCNETによると、Realmeは、さまざまなレンズを交換可能なモジュール式カメラレンズシステムも披露したとのこと。フルフレームミラーレスカメラのレンズをスマホに装着できる仕組みを開発しているようです。
中国のスマホメーカーNubiaは、「RedMagic 10 Pro」を650ドル(約9万7000円)で販売中。Snapdragon 8 Eliteプロセッサと、7,050mAhのバッテリーパックを搭載。RAMやストレージのアップグレードオプションに加え、注目したいのが金メッキなどのオプション。
金メッキと銀メッキ、カーボンファイバーボディ、ディスプレイ保護用サファイアガラス、これらのオプションを追加した場合の価格は、約1,500ドル(約22万5000円)まで跳ね上がります。この価格を見ると、改めてこういった素材がいかに高価なのか実感できますね。
温暖化傾向にある現代において、ソーラーパワーを用いたデバイスが台頭していくのは、自然な流れなのかもしれません。
LenovoのPCに加え、若者を対象にしたスマホメーカーであるInfinixも太陽光を利用したデバイスを発表。カラーチェンジに対応したe-InkディスプレイやAI機能についてもアピールしました。
かつてNokiaのブランドを引き継いだ大手企業HMD Globalは、10 代の若者の安全を守るという名目の下、新しいスマホを売り出そうとしています。
「HMD Fusion X1」はペアレンタルコントロールが徹底されたスマートフォンになっており、多くの制限が設けられている端末です。保護者はダウンロードしているアプリや会話相手を確認できる仕様になっています。
優れたカメラや長いバッテリー寿命といった特長もあるものの、監視の厳しいスマホを持つ子供は、少し気の毒かもしれません。
Qualcommは、Appleなど一部のパートナー企業が同社のチップやセルラーモデムを徐々に採用しなくなってきているものの、依然としてスマートフォン市場に向けて多くの技術を提供できることをアピールしたいようです。
同社は、MWC 2025でAndroidデバイス向けの「X85 5G Modem-RF」を発表。このチップを搭載したスマートフォンでは、最大12.5Gbpsのダウンロードと最大3.7Gbpsのアップロードが可能になるようです。前世代のチップは最大10Gbpsの通信だったことを考えると、大幅なアップグレードと言えるでしょう。
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