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Legion Go Sは5月のSteamOS版を待つべきか。Windowsとは相性が…

  • 2025年2月14日
  • Gizmodo Japan

Legion Go Sは5月のSteamOS版を待つべきか。Windowsとは相性が…
Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

初代Legion Goより、エルゴノミクス的にはだいぶ改善したものの。

2月14日、ゲーミングPC「Lenovo(レノボ)Legion Go S」が海外で発売されます。Windows版とSteamOS版があるんですが、今回出るのはWindows版です。米GizmodoのKyle Barr記者が、一足先にレビューしてますので、以下どうぞ!

Lenovo Legion Go Sの持ち心地は、僕の中では今までのハンドヘルドでベストです。僕の手の型を取って作ったように手になじむし、凹凸のあるプラスチックでグリップ感もしっかりしています。重さはあるものの、明るい8インチ画面でベゼルも細めなので、まあいいかと納得できます。トリガーはクリック感が小気味よく、スティックもよくできてます。単に眺めるだけなら、評価は★5つにするところでした。

ただ、このLenovo Legion Go Sは鳴り物入りのSteamOS版じゃなく、Windows 11版なんです。730ドル(約11万2000円)もするのに、パフォーマンスはそれほどでもありません。Windowsの使いにくさや画面のスケーリングの問題で、ハードウェアの心地良さはかすんでしまいます。

Lenovo Legion Go S

これは何?:Lenovoの最新ハンドヘルドゲーム端末のWindows 11搭載版。

価格:730ドル(約11万2000円)

評価:3.5/5

好きなところ:持ちやすくてコントロールもしっかり、大きく明るい画面、最大TDPが40W・リフレッシュレート120Hz

好きじゃないところ:音がチープ、価格のわりにパフォーマンスが普通、バッテリー持ちも良くない

Lenovoのアプリ Legion Spaceは最新版にアプデされてるんですが、それでも初代Legion Goのときより重いです。システム設定がわけもなく変更されたり、TDPも勝手に調整されたり、暗い部屋にずっといるのに輝度が勝手に変わったりして困惑してます。バッテリーライフもイマイチで、まさかこっちのLegion Go Sは、5月リリースのSteamOS版のオマケなの?と勘ぐってしまうくらいです。

Legion Go SはSteam Deckと同様、カスタムAPUのAMD Ryzen Z2 Goが載っています。またTDPを最大40Wに設定できて、パフォーマンスに振り切れるのも魅力の1つですが、実際そこまでするのはドックに入れているときだけじゃないでしょうか。こういう端末はやっぱり、手に持ってプレイしたくなるものですよね。

で、Legion Go Sは、その価格に見合うんでしょうか? レビュー機は730ドル(約11万2000円)で、RAMは32GB積んでますが、800ドル(日本価格10万9800円)のAsus ROG Allyや、750ドル(同13万4800円)の初代Legion Goにベンチマークで負けてます(詳細は後述)。Steam Deck OLEDはストレージ1TBモデルが650ドル(同約9万円)で、コンソールライクな体験もできつつ、Valve用ソフトウェアもいろいろ入ってます。

Legion Go Sを使っていると、むしろこの後予定されてるモデルが楽しみになってきます。まず今年5月、Legion Go S Powered by SteamOSが予定されていて、価格は500ドル(約7万5000円)でRAMが16GB、ストレージ512GBとバランスが取れてます。あとはRyzen Z2 Extreme APU搭載で、エルゴノミクスを改善したLegion Go 2も、今年後半に出てくるはずです。

デザインはぐっと持ちやすく

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

初代Legion Goは持ちにくかったんですが、Legion Go Sは持った途端に手の形にすっとなじみました。重量1.61ポンド(約730g)で軽くはないですが、グリップのおかげで持ちやすく、ソファやベッドに寝転んでゲームするのは最高です。

Legion Goのボタンは平面的でまだ慣れないんですが、クリック感があって安っぽくないです。トリガーのデザインが変わり、バンパーとトリガーが指に合わせて曲線的になったのも良いし、背面のスイッチでボタンを押せる深さを変えられるのも気が利いてます。

背面のスライドボタンでトリガーを押せる深さを変えられます
Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

十字キーもリデザインされ、十字の周りを浅いボウルが囲む形になりました。クリック感もしっかりして、2Dゲームや戦闘ゲームで役立ちます。サムスティックにはRGBライトが付いて大きくなり、安定した感触になりました。

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US スティックの下の小さな四角がトラックパッド
Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

でも、変だったのは、異様に小さなトラックパッドです。デフォルトではこの部分を押すと触覚モーターが振動するんですが、僕は手のひらでうっかり押してしまうことがあって、そのたびブルっとするのが気になりました。

美麗なディスプレイと釣り合わない音

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

Legion Go Sの8インチ画面も、初代Legion Goと同じくきれいです。48〜120Hzの可変リフレッシュレートで、解像度は最大1920×1200です。輝度も他社のものより高く設定でき、ベゼルも細いので、スペック以上にディスプレイの存在感があります。ただゲームの中には1920×1200にネイティブ対応してないものがあるので、設定を変える必要があります。

一方スピーカーはイマイチで、全体の足を引っ張ってます。『Wolfenstein: The New Order』をプレイしてるときは、ヘビメタバンドがたまごっちのBGMを演奏してるみたいでした。イヤホン装着でプレイしたほうが、ゲーム体験を楽しめます。

心もとないパフォーマンス

Legion Go Sの最大のネックは、パフォーマンスです。

Windowsハンドヘルド機のほとんどは、AMDやIntelの出来合いAPUを載せてるのに対し、Legion Go Sには専用のAMD Ryzen Z2 Goが入ってます。Zen 3アーキテクチャの4コア/8スレッドで、クロック速度は3.0GHz、ブーストして4.3GHzです。グラフィックスはRDNA 2 AMD Radeonですが、ものすごく強力ってものでもありません。8コア/16スレッドのRyzen Z2 Extremeと比べると、特に心もとなく見えます。

専用CPUのメリットはコストを下げられることのはずですが、そのわりに730ドルという価格はどうなんでしょうか? RAMは32GBのLPDDR5x-6400、SSDは1TBです。メモリ多めでも意味ない…とはいいませんが、この非力なAPUで、メモリを活かすようなゲームをどこまでできるか疑問です。

Geekbench 6では、Legion Go Sはシングルコアで1,690、マルチコアで5,369でした。それに対しROG Ally Xは、シングルコアが1,840、マルチコアが10,343です。つまりCPUに負荷がかかるゲームでは、Legion Go Sは不利ってことです。

さらにLegion Go SをAC電源につないで、TDPを30Wか40Wに設定しても、同価格帯以上のハンドヘルドに並ぶパフォーマンスは出ないようです。この状態でリフレッシュレート120Hz、 『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』でミディアム設定のとき、ROG Ally Xなら38FPSが出たんですが、Legion Go Sでは平均36FPS(TDPが30Wの場合)でした。

あとはLegion Go SをTDP 30W、リフレッシュレート60Hz、解像度1900×1080に設定した場合、『サイバーパンク 2077』でのフレームレートは33FPSでした。それに対しROG Ally Xは、同じ設定で42FPSです。

『Horizon Zero Dawn: Remastered』をミディアム設定で、1900×1080でプレイしたときは、Legion Go Sでのフレームレートは22FPSでした。設定をローにしてもあまり変わらなかったです。同じゲームでも、初代Legion Goでは28FPS近く、ROG Ally Xでも同程度が出ていました。

ACにつないでTDP 15W、解像度1280×800、リフレッシュレート60Hz、Steam Deck設定で『サイバーパンク 2077』をプレイしたときは、Legion Go Sのフレームレートは平均37FPSだったのに対し、Steam Deck OLEDは47FPSでした。TDPを30Wにすると、Legion Go Sも平均50FPS近くなりました。Lenovoからは、レビューのときは解像度を下げて、パフォーマンスに集中させることを勧められたんですが、この明るく大きなディスプレイだと、やっぱり1900×1200でプレイしたくなります。

もちろんLegion Go Sでは、もっと軽い2Dゲームもプレイできます。『Hades II』とか『Prey』といったゲームではリフレッシュレートを上げて、1080p/8インチの美しさを堪能できました。でも、この価格なので、それくらいは普通かなと思います。

バッテリー持ちも良くない

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

Legion Go Sのバッテリーは一般的なハンドヘルドと同様、午後いっぱいも持ちません。バッテリー容量は55.5Whrと、この価格帯では平均的です。ただ画面の明るさを上げてプレイしたくなるので、その分バッテリーを浪費しがちです。

Steam Deck設定で『サイバーパンク 2077』を立ち上げ、解像度はネイティブより低く、リフレッシュレート120Hzでプレイしたときは、1時間半弱でバッテリーが空になりました。もっと節約したときでも2時間ちょっとです。近くのPCからRazer Cortex経由でゲームをストリーミングしたときは、画面輝度とリフレッシュレートが高かったせいか、省電力モードでも3時間弱で充電が必要になりました。

ただ救いなのは、高速充電に対応してることです。モバイルバッテリーを使ったときは、1時間20分ちょっとで90%近くまで充電できました。

発展途上のLegion Space、そしてWindows問題

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

LenovoのLegion Spaceアプリ登場から1年以上経ちましたが、まだ改善が必要です。Legion Go Sを立ち上げると自動でLegion Spaceを読み込むんですが、そこからゲームを立ち上げる動作はもったりしてます。

立ち上げのときだけじゃなく、Legion Spaceはびっくりするくらい遅くなることがあります。初代Legion Goではあまり遭遇しなかったようなラグで、クイック設定にアクセスすると余計に遅いです。明るさ設定を開くためだけに3、4回ゆっくりと入力が必要で、バックグラウンドでゲームが動いているともっと遅くなります。Legion Spaceでストアページを直接開くのも、やめてほしいです。

問題はLegion Spaceだけじゃなく、Legion Go Sだけでもなく、Windows 11です。Windowsのせいで使い勝手が悪くなっていて、ベータ製品のように感じてしまいます。

何年にもわたってMicrosoftには要望が行ってるはずですが、小さい画面に合ったモードがないからです。デバイスを簡単にスリープさせたり、復旧させたりする方法もありません。システム設定を変更したいときも、小さな画面に太い指でポチポチする必要があります。テキストボックスを何回押しても、キーボードが出てこなかったりします。

Windowsベースのデバイスを選ぶメリットは、好きなランチャーが使えるし、Windows系エミュレーターを入れられるし、非ValveのSteamOS製品を使うときの煩雑さもないことです。それでもWindowsが唐突にMicrosoftにログインして、Dropboxを使ってみて?とか言ってくるのはすごくイラッとします。Legion Go SはWindowsのせいでだいぶ完成度が下がっていて、SteamOSバージョンのほうが魅力的に感じられるんです。

買うべき?

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

このLegion Go Sのスペックで730ドルは、正直高すぎる感じがします。RAMとストレージを減らしていいから、600ドルにしてくれたらもう少し前向きに考えたかもしれませんが、Windowsだし…うーん厳しいです。MSI Claw 8とかROG Ally Xは、パフォーマンスの高さでWindows問題がカバーされてた感じですが、Legion Go SはWindowsを想定せずに作ったようにすら感じます。

そう考えると、SteamOS版Legion Go Sがはるかに魅力的に思えます。5月のリリース時にどこまでブラッシュアップされているのか見極めたいです。骨格的には小さすぎるトラックパッド以外すごく良かったので、SteamOS版に期待してます。または高性能を求めるなら、AMD Ryzen Z1 Extreme搭載のWindows版Legion Go Sのリリースも予定されています。

今回のLegion Go Sと同じデバイスが、OSをSteamOSに、RAMを16GBにすることでどう変わるのかはわかりません。Valveいわく、SteamOS Verified端末は、純正のSteam Deckと同じようにちゃんと動くはずです。SteamOS版の500ドル(約7万6000円)という価格と、Windows版のパフォーマンスを総合すると、SteamOS版はもっともお値打ちなハンドヘルド機の1つになりうると期待できます。

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