Uber(ウーバー)といえば、サービスにとんでもなくばらつきのあったアメリカのタクシー業界をイノベーションでひっくりかえし、空港やホテルに「Uber乗り場」という専用スペースができあがるほど普及したサービス。
現在、Uberは70カ国以上でサービスを展開。日本でもフードデリバリーのUber Eatsはおなじみで、最近はタクシーのサービスとしても広がりつつあります。
そのUberの初代CEOを務めたのが、ライアン・グレイブス(Ryan Graves)氏。氏はUberの最初の社員でもあり、さまざまな課題やトラブルを乗り越え、2019年にはUberを上場まで導きました。
ライアン氏は現在Uberを離れていますが、いままでUberでの経験はほとんど語られていません。それが、2025年2月4日(火)〜6日(木)にわたって名古屋で開催中のスタートアップ・イベント「TechGALA Japan(テックガラジャパン)」のキーノートに登壇し、Uber時代の経験を振り返りました。
ギズモードではライアン氏にインタビューの機会をいただき、未来のモビリティについて話をうかがいました。
Photo: Business Insider Japan──Uberが広めた「ライドシェア」の未来は「自動運転技術」と密接な関係にあると思います。大企業が投資をして実証実験がすすめられている分野ですが、これをどのように見ますか?
自動運転車を使った「自動運転ライドシェア」は、基本的に今のAIシステムと同じように、常にデータを収集し続けることで性能があがっていきます。言語モデルも問い合わせが増えれば増えるほど賢くなっていきますよね。それと同じで、乗車回数が増えれば増えるほど、安全性も向上していきます。
とくに、東京のような非常に人口の密集した大都市は、収集できるデータが多いわけで「自動運転ライドシェア」が実現した場合、もっとも大きな影響を受ける場所になると思います。
──よりよい公共交通機関を作り上げるうえで何が必要でしょうか。
よく整備された公共交通機関ほど素晴らしいものはありませんよね。アメリカでは十分に投資されていないことが問題になっています。
重要なのは、単一の解決策ではなく、さまざまな方法を組み合わせた「パッチワーク的な解決策」を提供することが、人々のライフスタイルや通勤の仕方が異なる現代で最適な手段だと思います。
たとえばUberが日本に参入したとき、東京のタクシー料金はすでに安価で、ドライバーの質も高く、新しいサービスを提供する魅力はあまりありませんでした。そのため、Uberは日本ではタクシー業界と協力する形で展開されています。
TechGALAのキーノートでは、ライアン氏が航空大手のゼネラル・エレクトリックをやめたきっかけが「生産性アップのために導入したツールを上司に禁止されたこと」であったり(めっちゃ気持ちわかります)、Uber立ち上げ当初、当局から圧力として刑事罰をチラつかされたことなどが語られました。
イノベーションを進めることのハードさが伝わるスピーチです。
ライアン氏のスピーチについては、兄弟メディア「ライフハッカー・ジャパン」でもレポートしています。
元Uber CEOに聞く、AI時代のリーダーシップとキャリアの築き方【#TechGALA 速報レポート】 | ライフハッカー・ジャパン 2010年代のスタートアップブームを牽引した一人であり、Uberの元CEOとして知られるライアン・グレイブス氏がキーノートに登場しました。現在は創業したSaltwaterで投資家として、活躍をしています。そんなライアン氏から、AIとの付き合い方、リーダーシップ、キャリアについてのアドバイスを伺いました。 https://www.lifehacker.jp/article/2502-tecgala-ryan-interview/TechGALA Japanは2025年2月4日(火)〜6日(木)にわたって名古屋の栄地区を中心に開催される、テクノロジーの祭典です。街中の複数の施設で開催され、移動時は名古屋の市内を動き回れる、国内のテックイベントとしてはかなり珍しい形式。海外のCESやSXSWに近い雰囲気ですね。
そのうえで海外イベントとの違いを感じたのは、「裾野の広さ」。
TechGALAのメインイベントだけでなく、協賛企業や市政によるさまざまな「サイドイベント」が開催されています。その内容は、いかにも「ビジネス」なイベントに限らず、子どもも参加できる電子工作や、フリーマーケットやコミケのような展示会(ソニーやスズキが出展してて驚きます)もあり、名古屋市全体を使ってテクノロジーに楽しく触れる場をつくろう、という意思を感じました。
名古屋といえば、自動車や造船、化学の大手企業が近辺に拠点を構える日本有数のテック都市。そんな名古屋にぴったりの雰囲気を、TechGALAに感じました。
TechGALA Japan | 地球の未来を拓くテクノロジーの祭典
ギズモード・ジャパンのテック教室 1,760円 Amazonで見るPR