一生かけて飲むナノプラスチック粒子は、兆単位で済まない気が…。
毎日何気なく飲んでいるティーバッグのお茶に、思いもよらない事実が。
最新の研究によると、市販のティーバッグから、信じられない量のマイクロプラスチックとナノプラスチックが放出されていることが明らかになりました。地球上と体内のあらゆる場所からマイクロプラが見つかっているとはいえ、ティータイムに手を出さないでって感じです。
こんなところにも? 私たちのまわりにあるマイクロプラスチック こんな意外なところからも発見されているマイクロプラスチック。 https://www.gizmodo.jp/2024/06/microplastics-are-found.htmlスペインのバルセロナ自治大学(UAB)生物科学部遺伝学・微生物学科変異誘発グループが、科学誌『Chemosphere』に発表した研究結果は、正直なところ衝撃的でした。
ナイロン6、ポリプロピレン、セルロースで作られた市販のティーバッグを使用した実験で、最も多くの微粒子が検出されたポリプロピレン製からは、なんと1ミリリットルあたり約12億個(平均サイズ136.7ナノメートル)のナノプラスチックが検出されました。
セルロース製からは約1億3500万個(平均サイズ244ナノメートル)、ナイロン6製からも約818万個(平均サイズ138.4ナノメートル)の微粒子が検出されています。
ティーカップ1杯200mlとしましょう。ポリプロピレン製のティーバッグの紅茶(緑茶でもなんでもいいですが)だと、ナノプラ12億個×200なので、合計2400億個のナノプラスチックを紅茶と一緒にたしなむことに…。
ナイロン6製のティーバッグを使った商品を探した方がいいのかどうかも、もうよくわからなくなってきた。とりあえずティータイムが少し不安になりました。
研究チームは、走査電子顕微鏡法(SEM)、透過電子顕微鏡法(TEM)、赤外分光法(ATR-FTIR)、ナノ粒子トラッキング解析(NTA)など、複数の先進的な分析技術を用いて微粒子の特性を詳しく調べました。
UABの研究者であるアルバ・ガルシ氏は、今回の研究について以下のように述べています。
「私たちは、一連の最先端技術を用いて、汚染物質を斬新な方法で特定することに成功しました。
これらの汚染物質が人間の健康に影響を及ぼす可能性に関する研究を進める上で非常に重要なツールになります」
さらに気になるのが、これらのプラスチック粒子の行方です。研究チームは、ティーバッグから放出されたプラスチック粒子に特殊な染料で色を付けて、3種類のヒト腸管細胞に24時間接触させる実験を行ないました。
その結果、粘液を多く分泌する細胞(HT29-MTX)で、ポリプロピレン由来のナノプラスチックが最も多く取り込まれたといいます。セルロース由来の粒子はHT29とHT29-MTX細胞で同程度の吸収が見られ、ナイロン6由来の粒子はCaco-2細胞で優先的に取り込まれることが判明しました。
つまり、これらの粒子は、私たちの体内に入り込む可能性があるということです。
研究チームは、ティーバッグを通じて腸の粘液がマイクロプラとナノプラを体内に取り込む可能性があるという結果を受けて、慢性的な暴露による健康への影響を懸念して次のように指摘しています。
「食品包装におけるプラスチックの使用が増加する中、食品の安全性と公衆衛生を守るためには、食品接触材料から放出されるマイクロプラスチックとナノプラスチックの汚染を評価する標準的な試験方法を開発して、汚染を最小限に抑えるための効果的な規制策を講じることが重要です」
なお、ポリプロピレン、セルロース、ナイロン6のマイクロプラやナノプラを、人間が体内に取り込んでしまった場合の長期的な健康への影響についてはまだわかっていません。ただ、マウスにポリプロピレンのマイクロプラを経口摂取させた実験によると、酸化ストレスや炎症を介して、大腸細胞のアポトーシス(細胞死)や腸管バリアの損傷が確認されています。
手軽さと安さから、つい数十個入りのティーバッグの紅茶や緑茶を買ってしまいます。また、茶葉から入れるにしても、ティーバッグを使ってしまいがち。ティーポットや急須を使ったほうがいいんでしょうね。
ちなみに、気になってうちにある紅茶と緑茶のティーバッグの素材をチェックしたら、どこにも記載されていませんでした…。
アーマッドティー イングリッシュブレックファースト リーフ (茶葉) 200g 缶 1,753円 Amazonで見るPRSource: Banaei et al. 2024 / Chemosphere, Universitat Autònoma de Barcelona
Reference: Jia et al. 2023 / Toxics