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思ったより発生しやすかった「スーパーフレア」。太陽で起きたら“終わり”では…

  • 2025年1月17日
  • Gizmodo Japan

思ったより発生しやすかった「スーパーフレア」。太陽で起きたら“終わり”では…
Image: Max Planck Institute for Solar System Research (Alexey Chizhik) via Gizmodo US

2024年5月と10月に発生した観測史上最大規模の太陽フレア。

宇宙ではこの何百倍、いや何千倍の規模にもなる「スーパーフレア」が、これまで考えられてきたよりもずっと頻繁に起こっていることが最新の研究から明らかになりました。

太陽フレアって?

太陽フレアとは太陽の表面で発生する大爆発。NASAによれば地球上の火山噴火の1,000万倍の規模に相当し、電波からガンマ線まで電磁スペクトルのほぼ全域を含む放射線と、高エネルギー粒子とを宇宙空間に放出します。

さらに、太陽フレアと同時にコロナ質量放出(CME: coronal mass ejection)が発生すると、そのすさまじい影響力は地球にも到達し、地球の磁場を乱す磁気嵐となって吹き荒びます。

実際に2024年5月3日、5日、8日、そして11日に発生した4回のXクラスの太陽フレアとそれに伴う大規模なCMEは、地球上にさまざまな影響を及ぼしました。世界各地の夜空に美しいオーロラが閃いたのはよしとして、電力網の障害、短波通信の途絶、GPS衛星の障害、ブロードバンド衛星への軌道上の影響、はてには農業機械のトラブルまでもが確認されました。

人体への直接的な影響はないものの(宇宙空間にいない限りは)、どうにも避けることができないのが太陽フレアの厄介なところです。

スーパーフレアって?

ところが、この太陽フレアよりさらにすさまじい威力を誇るスーパーフレアという現象が、宇宙のいたるところで太陽とよく似た恒星において観測されているそうなんです。

マックス・プランク研究所によれば、スーパーフレアが放出するエネルギー量は水素爆弾1兆個分にも相当するそう。

太陽でもスーパーフレアは起こりうるのか

奇しくも我らが太陽の活動周期はおよそ11年で、ただいま極大期に向かってその活動がどんどん活発になってきているとのこと。

気がかりですよね、今後太陽フレアが発生するとしたらいつ、どのくらいの規模のものなのか。ひょっとしたら太陽スーパーフレアが発生する可能性さえあったり?

太陽の振る舞いをつぶさに監視し、具体的な影響を知らせてくれる宇宙天気予報はすでに稼働しています。しかし、今後中長期的にいつフレアが発生するかを予測するためにはデータが不十分なのが現状です。なにしろ人類が太陽を直接観測し始めたのはたかだか60年。もっと長いスパンにおいての観測データが必要なんです。

研究結果:スーパーフレアは思ったより頻繁に起こっていた

そこでマックス・プランク研究所率いる国際研究者チームは、NASAのケプラー宇宙望遠鏡が2009年から2013年の間に集めた膨大な観測データから表面温度と明るさが太陽と類似している恒星56,450個を拾い集めて分析し、過去にどのぐらいの頻度でスーパーフレアが起こったかを算出して学術誌Nature上に発表しました。太陽に似ている星の振る舞いを分析することで、太陽でもスーパーフレアが起こりうるのか、また起こるとしたらどれぐらいの頻度なのかを知る手がかりを得ようとしたわけです。

この研究にはオーストリアのグラーツ大学、フィンランドのオウル大学、日本の国立天文台、アメリカのコロラド大学ボルダー校、そしてフランスのサクレー原子力庁センターとパリ=シテ大学から研究者が参加しました。

結果、2527個の星において2889回のスーパーフレアが起こっていたことがわかったそうです。これをさらに噛み砕くと、太陽とよく似た恒星においてはだいたい100年に1度ぐらいの頻度でスーパーフレアが発生していたという結果になったそうです。

太陽スーパーフレアの可能性は低い?

この結果について、筆頭著者のValeriy Vasilyev博士は「とても驚いている」とプレスリリースで明かしています。これまでは1000年、10000年という間隔をおいて起こると考えられていたからです。

また、スーパーフレアが発生する太陽に似た星は、これまで考えられていたよりも10倍から100倍も多く存在しているらしいこともわかりました。

ただし、これらの研究対象となった星たちと比べると、我らが太陽は明るさの変動が低いのだとか。すなわち、Vasilyev博士いわく「太陽はほかの太陽に似た星よりも活動性が低い」そうです。

ちなみに太陽がこれまでスーパーフレアを発生させた痕跡はこれまで見つかっていません。ということは、これからも起きる可能性は低いのかも…?今回の研究で明らかにされてはいませんが、その答えが「YES」であるほうが人類にとって都合がいいことは明らかですね。

Source: NASA, 国立天文台, 国立研究開発法人 情報通信研究機構, Max Planck Institute for Solar System Research, Nature Asia
Image: Max Planck Institute

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