Acerから、自社初となる携帯ゲーミングPCとして登場した「Nitro Blaze 7」。AMDのRyzen 7 8840HSを搭載し、2TBの容量を積んだこのマシンの性能はいかに。細かくチェックしていきましょう。
レーシングカーを思わせるデザイン。実際に手に取ってみると予想以上に手馴染みが良い。グリップが手にフィットして、丸みのおかげでマシンの熱を感じません。
ジョイスティックはLenovo Legion Goや初代Asus ROG Allyよりも頑丈な感じがします。重みもあり、Steam Deck OLEDやROG Ally Xに似ている気も。トリガーは指のカーブに沿うようにデザインされ、ホールエフェクトセンサーを採用。ただし、スティックにはホールエフェクトセンサーを採用していません。
携帯ゲーミングPCに必要なものは一通りそろっている印象です。ただ1つ、背面ボタンがないことだけ要注意。Acerに理由を尋ねても、明確な回答は得られませんでした。背面ボタンを使っているユーザーからすると、ちょっと悩ましい作りかも。
内蔵されたソフトウェア、Acer Game Spaceも見ていきましょう。
コントロールパネルを呼び出して、VRR(可変リフレッシュレート)を60Hzから144Hzの間で変更したり、フレームレートを高めるAMD FSRを設定したり、簡易パフォーマンスモニターをオンにしたりすることができます。
TDP(熱設計電力)やファンスピードを即時に制御するためのオプションはありません。ランチャーメニューには現在、ゲームとランチャーの2つのタブだけが用意されています。
Photo: Kyle BarrAsusやLenovoが使用しているAMD Ryzen Z1 Extremeモバイルプロセッサの代わりに、AcerはAMD Ryzen 7 8840HSを搭載しています。ただ、スペック的にはほぼ互角の両者。なぜこのチップを選んだのか、Acerに問い合わせても明確な回答は得られませんでした。
Photo: Kyle Barrデモ機では、負荷が高めの2つのゲームが用意されていました。
『Horizon Forbidden West』では、画質「低」設定で30~40FPSをわずかに超えるくらい。『Shadow of the Tomb Raider』では、エリアによって45から最高50FPSの間を行き来していました。もちろん、何時間も連続で動作している環境下での検証です。
平均以上のリフレッシュレートであるにもかかわらず、ディスプレイのクオリティは一般的です。最大輝度では暗い部屋で十分な明るさになりますが、採用されているIPS液晶は、ValveのOLEDのビジュアルクオリティや、より広い色域を持つLegion Goの大画面にはおよびません。
バッテリーは50Whで、Ally Xの80 Whバッテリーと比較すると少なめです。Steam Deck OLEDと同等ですが、エネルギー効率では劣るようです。
Photo: Kyle Barrリリース日、価格は未定です。ただ、2TBの容量を持つため高額になる可能性が高いでしょう。
AYANEOのような少しニッチなマシンは1,000ドル以上の価格帯ですが、Ally XやMSI Clawのもっとも高価な製品なら、メーカー希望小売価格は800ドルです。
なかなか競合の多い市場で、Acerがこのマシンで戦えるのかは、疑問が残るところです。