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月の地下に洞窟を発見。将来の活動拠点として期待できそう

  • 2024年7月21日
  • Gizmodo Japan

月の地下に洞窟を発見。将来の活動拠点として期待できそう
© NASA/Goddard/Arizona State University 静かの海にある縦孔

イタリアの研究チームが月面のレーダー画像を分析し、月の地下に洞窟を発見しました。この洞窟は、今後人類の月での恒久的な活動拠点の候補地になる可能性があります。

この洞窟の位置、大きさは?

この洞窟は、月で最も深いピット(縦孔)として知られる静かの海(Mare Tranquillitatis)の縦孔にあります(静かの海は1969年にアポロ11号が着陸した場所)。縦孔は溶岩チューブの天井部分が崩れることで形成されています。

研究者たちは縦孔から広がる洞窟を探すにあたって、月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」の観測機器Mini-RFが2010年に斜め観測で取得したレーダー画像を分析。縦孔付近のレーダー画像に基づく3次元シミュレーションを実施し、縦孔の西側でレーダーの輝度が増加しているのは、地下の地形によるものだと結論付けました。

チームはこの洞窟が長さ30〜80m、幅およそ45mで、平坦もしくは最大で45度傾いていると推定しています。

彼らの研究成果はNature Astronomyに掲載されました。

地下洞窟がもたらすメリット

「未来のロボットミッションによる月の洞窟の探索は、月の地表下についての新鮮な視点を提供し、月の火山活動の進化に関する新しい知見をもたらす可能性があります」

と、チームは論文に書いています。

「その上直接探査でなら、将来の有人利用に最適な温度条件を有し、放射線から守られ安定した地表下の環境があると確認できるかもしれません」

とのこと。

以前ギズモードで報じたように、月の縦孔内で太陽の光の届かない領域は、比較的穏やかな温度に保たれています。2022年にはLROからのデータから、そういった縦孔内部の日陰部分は、温度が17.2℃前後だと示されました。

研究の共著者で共にイタリアのトレント大学の研究者であるLeonardo Carrer氏とLorenzo Bruzzone氏は、洞窟内への月面基地の建設は月の表面に建てる場合と比べ、以下のような“大きな利点”があると米ギズモードに教えてくれました。

絶えず月面に降り注ぐ、人類には有害な宇宙線と太陽放射からの保護。 月表面の気温は劇的に変化するのに対し、洞窟内部は定常な温度を保持することによる熱安定性。 洞窟の岩石が衝突に対する天然の盾になるという、微小隕石からの保護。 洞窟は水氷や他の鉱物の源に近いかもしれないため、資源を入手できる可能性。

月の歴史への理解を深められる可能性も

月上の半永久的な拠点は、月面での研究ミッションのためだけでなく、太陽系内のさらに遠方へのミッションの発着場としても役立つでしょう。

洞窟が月面基地の候補地になる可能性以外にも、Carrer氏とBruzzone氏はこのような洞窟には、月の歴史が保存されているかもしれないと述べていました。

洞窟内の岩石は月面の過酷な環境による変化がないため、月の火山活動と内部組成についての疑問への「重要な知見を提供する可能性がある」ようです。

TOOGE 間接照明 月ライト 2,399円 Amazonで見るPR 月を目指すも、失敗に終わったミッションの歴史 失敗を重ねながら進歩してきた。人類は何千年にもわたって月を永遠に手の届かない場所として見ていましたが、20世紀のテクノロジーによって探査機や着陸船、さらには人類までもようやく月に降り立つことができるようになりました。それにもかかわらず、歴史に刻まれた出来事から最近の民間ミッションに至るまで、月へのミッションは依然として難易度が高いままです。月探査の幕開けアメリカ初の人工衛星の打ち上げから6カ月経 https://www.gizmodo.jp/2024/07/fieldmoon-mission.html

Source: Nature Astronomy

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