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陰謀説支持者がよくアルミホイルを頭に巻くの、あれなんで?

  • 2024年6月14日
  • Gizmodo Japan

陰謀説支持者がよくアルミホイルを頭に巻くの、あれなんで?
Screenshot: MIT Media Laboratory

巻いている本人に聞けるチャンスがなかったので、知れてスッキリ。

陰謀論者の象徴として、アルミホイルの帽子があります。アルミホイルの帽子をかぶっている人を見ると、精神的に不安定なのかな?、政府に強い不信感を持っているのかも?とか、宇宙人のことを本当に心配している人なんだろうな…などと感じてしまいがち。政府などの権力から送られる電磁波が脳に入るのをブロックする方法だと言う人もいます。

アルミホイルで電磁波を防ぐという考えはもともとはどこから来たのでしょうか。そして実際に科学的根拠はあるのでしょうか? その謎を紐解いていきましょう。

神話の起源

アルミホイルの帽子の歴史は1927年にさかのぼります。しかし発見されたのは約10年前。Business Insiderがジュリアン・ハックスリーによって書かれた短編小説「The Tissue-Culture King」で初めてアルミホイルの帽子に関する記述を見つけました。ジュリアンの兄弟のオールダス・ハックスリーは『恍惚の世界』の著者として知られる有名な作家です。

その小説では、ハスコームという科学者が密林で迷子になり、現地の部族に捕まってしまいます。結局、ハスコームは集団マインドコントロールを実践し始め、最終的には部族の王を支配下に置いて脱出を手助けさせます。しかし、ハスコームは自分がマインドコントロールされるのをどう避けたのでしょうか。 その理由は次のように書かれています。

私たちは金属が精神的影響を受けにくいことを発見し、実験をおこなう際にスズの説教壇の後ろに立っていました。さらにスズ箔ホイルの帽子をかぶり、私たち自身への影響を大幅に軽減することができました。また私たちは金属の被覆を身に付けていたので、無影響でした。

Viceによると、この小説は陰謀論的な雰囲気でエンディングを迎え、読者に対しては「権力が好きだから労働するのか、それとも物事の仕組みについて真実を探りたいから労働するのか」と問いかけているとのこと。

小説内では「スズ箔ホイルの帽子」という表現ですが、現在ではスズではなく、ほとんどの人がアルミホイルを使用しています。アメリカのFoil Companyが1926年に初めてアルミホイルを導入し、すぐに全国のスーパーマーケットのスズ箔フォイルがアルミホイルに入れ替わりました。アルミホイルはスズ箔より薄く軽く、食品を包むのに最適だったからです。脳を守るためにアルミホイルの方がよかったからかは不明ですが...。

それで、本当にアルミホイルは効くの?

アルミホイルの帽子が実際どんな効果があるかについての検証はほとんどおこなわれていません。科学者にとってはおそらく、その前提自体が突拍子もないものだからでしょうか。しかし、疑問は残っています。金属製の帽子は電磁波が脳に届くのを本当に遮断できるのでしょうか? 金属がファラデーケージ*の役割を果たし、特定の波長を通過させないという考えに基づく考えだと思うのですが...。そんな疑問を2005年、4人のマサチューセッツ工科大学の大学院生がユーモアを交えた研究論文「On the Effectiveness of Aluminium Foil Helmets: An Empirical Study」で解決しようと試みたことがありました。

*:外部の電界を遮蔽する働きがある、金属でできた器やかご。

著者の1人ベンジャミン・レクトさんは、Gizmodoのインタビューで

ある日の午後、私たちはとてもバカげたことを思いついたんです。非常に高価な電子機器がある研究室にいたので、その20万ドル相当の電子機器を使ってアルミホイルの帽子が電波を本当に防げるかどうかをテストしようと思ったのです。

と語っています。

Screenshot: MIT Media Laboratory

当時大学院生だったレクトさんはその後、カリフォルニア大学バークレー校の電気工学・コンピューター科学の教授になりました。 Gizmodoが2005年当時のレクト氏の担当教授に実験について尋ねたところ、「びっくりするほど真剣に受け止めらた冗談だった」とメールで返事がありました。その研究論文の中で、著者たちは次のように述べています。

政府が人工衛星を使って一部の市民の心を読み取り、マインドコントロールしているとの疑いが長い間ある。アルミニウム製の帽子をかぶることは、政府が侵入してくる手口に対する一般的なゲリラ戦術である[1]。

しかし驚くべきことに、アルミニウムの帽子は実際には政府の諜報活動を助ける結果となっていて、政府専用の特定の周波数帯域を増幅する場合がある。さらに、私たちが分析した3つの帽子はほとんどの周波数帯域に対して有意な減衰をもたらさなかった。

レクト教授はこれは信用のある研究として見られるべきではなく、こういった帽子をかぶる人たちを冷やかすジョークのためだったと語っています。それでもレクト教授らは、アルミホイルの帽子がほとんどの波長をブロックする効果がないと、実際に実験した結果を述べています。

「クラシック」「フェズ」「センチュリオン」の3種類の帽子をテストしたそうです。さらに著者たちは、アルミホイルの帽子が政府の通信に使われる特定の波を増幅するという自らの陰謀理論まで提示しています。

Screenshot: MIT Media Laboratory

帽子は米国政府に割り当てられている1.2GHzから1.4GHzの周波数帯域を増幅します。米国連邦通信委員会によると、これらの帯域は「無線測位」(つまりGPS)やその他の衛星通信に確保されています([3]を参照)。ちなみに2.6GHzの帯域は携帯電話技術と一致する帯域です。政府に関係はありませんが、これらの帯域は多国籍企業が所持しています。現在の帽子ブームは政府によって広められた可能性が高く、おそらく米国連邦通信委員会が関与していると想像するのは難しくありません。この報告書が政府の罠に陥らないよう、陰謀理論コミュニティが改良型の帽子設計をすることを願っています。

これがただの冗談だったことはどうやらそんなに明確ではなかったようですが、レクト教授はこの論文が当時ウイルス的に広まったと指摘しています。最初にSlashdot(当時のHacker Newsのような場所)で取り上げられ、数年後にはThe Atlanticが論文を取り上げました。しかし、それ以降もこの論文はさまざまな場所で話題として持ち上がり続けました。

「不思議な独り歩きをした出来事だった」とレクト教授は言います。一部のアルミホイルの帽子を着用する人たちは、この実験論文を真剣に受け止めていたようで、レクト教授は

私たちは変なメールを何通も受け取りました。世の中には強い意見を持って論文に対する考えを送ってくる人がたくさんいたのです。つまり、一般的な陰謀理論は確かに実在していて、信じている人も存在するのです。

と話しています。

レクト教授はこの研究の信憑性は保証できないけれど、スズやアルミホイル製の帽子がファラデーケージとして有効であるとは考えていないようです。ミシェル・ディキンソン博士が指摘するように、ファラデーケージは保護対象を完全に囲む必要があります。アルミホイル帽子は頭の上部しか覆っていないので、下から電磁波が入り込んでしまうのです。頭全体をホイルで包むどころか、理想的な実験環境の研究所でさえファラデーケージを作ることは難しいのです。

どう広まったのか?

1926年以降、陰謀理論はますます増えてきました。5Gの電波塔の出現は、電磁放射線に対する新たな恐怖心を引き起こし、いわゆる「危険」から人々を守るファラデーケージ能力を約束する5Gをブロックするニット帽やハットなどの製品の復活を後押ししました。アルミホイル帽のように防護能力はありつつも、まわりから嘲笑されることがないモダンな製品となっています。価格は5000円〜9000円くらいと、誰の家のキッチンの引き出しにもあるアルミホイルよりはるかに高価な製品となっています。

このような陰謀理論を大きく支えるのがインターネット。メッセージルームやFacebookのグループは、常識を逸した発想の呼び水となっています。アルミホイルの帽子はこの極端な例ですが、こうした動きは常に小さな発作的な形で起こっています。ここ数ヶ月でも、携帯電話の通信障害、ボルチモアの橋の崩壊、日食といった出来事が、インターネット上では新たな陰謀理論と言われています。これは全て、メディアや政府の言うことへの根深い不信に起因しているのです。

しかし真実は、政府の権力が電磁波を使って脳幹に侵入し、脳をコントロールしようとしているという証拠は全くどこにもないということです。本当に中央集権の権力による脳のコントロールから守りたいのなら、デバイスやソーシャルメディアから離れることをおすすめします。陰謀理論のYouTubeチャンネルから放射される電磁波こそが、他の何よりも有害ですからね。

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