お湯でもとろけない片栗粉って想像できない…。
脱使い捨てのプラ製ストローが加速する中、韓国の研究者がジャガイモのデンプンとクエン酸からバイオプラスチック製ストローを開発したそうですよ。ACS Omegaに掲載された論文によると、このストローはプラスチックよりも強く、紙よりも長持ちするのだとか。片栗粉ストロー、万能かよ。
韓国にある仁荷(インハ)大学校のDickens O. Agumba教授らからなる研究チームは、ジャガイモのデンプンとリグニン(植物の細胞壁に含まれる生体高分子)をポリビニルアルコールと結合させてつくったドロッとした液体をガラスの表面に広げて乾燥させ、テフロン棒でストロー状に丸めた後、オーブンで硬化させることで片栗粉ストローをつくりました。
地球規模で深刻化するプラごみ問題。氷山の一角に過ぎないとはいえ、従来のプラ製ストローの代替を開発するのは悪いことではありません。といっても、紙ストローのようにアイスコーヒーに挿したら5分もしないうちに溶けちゃうのは困りものですよね。環境負荷が小さくて溶けにくいストローがあれば、石油や天然ガス由来のストローとおさらばできるってもんです。
Agumba教授は論文で「私たちが開発したストローの機能性は、紙製やプラ製のストローをしのぐものであり、完全自然由来で持続可能なストローの有力候補と言えます」と述べています。
この片栗粉ストローは、95度に達する熱湯の中でも24時間硬さを維持したそうです。また、従来のプラ性ストローと一緒に土壌と木立の中の2カ所に置いて生分解性を調べたところ、2カ月経過しても変化がなかった従来のプラ性ストローに対して片栗粉ストローには分解の兆しが見られたとのこと。自然環境下で生分解するのは素晴らしいですね。
原材料がシート状になっているため、用途に応じて長さや厚みが異なるストローの製造が可能なのだそうです。リグニンとジャガイモ由来のデンプンは、他の生分解性ストローの原材料として使用されるセルロースよりも低コストなので、現在市販されている代替ストローよりも安価になる可能性ありとのこと。
ほぼほぼ石油や天然ガスからつくられているプラスチックだらけの中で、バイオプラスチックが登場すると一瞬ワクワクしますが、それだけで環境にやさしいというわけじゃないんですよね。なんとなく良さげな響きがする「バイオプラスチック」も、実は100%植物由来じゃなくていいんです。たとえば、米コカ・コーラのように植物由来のプラスチックを30%混ぜるだけで「バイオプラ製ボトル」と胸を張れちゃいます。
おまけに、バイオプラスチックには従来のプラスチックと同等、もしくはそれ以上に有害な化学物質が含まれているとする研究結果もあります。さらに、バイオプラスチックだからといって、自然環境の中で生分解するとは限りません。多くのバイオプラスチックは、特定の環境条件を満たす産業用堆肥化施設で処理しなければ生分解不可能だったりします。家庭で堆肥化できずに結局埋め立てごみになるなら意味がないような…。
最終的には、現在プラスチックからできているものを、使い捨てじゃなくてリユースやリサイクルが簡単なプラスチック以外の原材料に置き換えるのが、健康と環境にとってより良い選択なんでしょうね。