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大気中の二酸化炭素回収、従来の3倍効率アップできるかも

  • 2023年3月22日
  • Gizmodo Japan

大気中の二酸化炭素回収、従来の3倍効率アップできるかも
Image: shutterstock

出したものは回収するしかない。

大気中の二酸化炭素を吸収する。気候変動対策のひとつとして、前からたびたび耳にしているこの方法。吸収した二酸化炭素で人工ダイヤモンド作っちゃう企業もありますね。

いいね! 最高! ジャンジャンバリバリ吸っちゃってと思いますが、コストや技術の問題でなかなか難しいのが現実。

一方で研究も進んでおり、アメリカはペンシルバニアのリーハイ大学が、二酸化炭素吸収効率を従来の3倍アップする方法を論文にまとめ、ネタ元のScience Advancesに発表しています。

大気から二酸化炭素を直接吸収する技術は、DAC(Direct Air Capture)と呼ばれています。

吸収マシンは単純と言えば単純で、大気からゴゴゴォォォォっと空気を吸い、熱した吸着フィルターにかけて二酸化炭素をより分け、集めた二酸化炭素は地下に保存するか、それこそダイヤモンドなど製品として生まれ変わるかです。

より効率的な二酸化炭素吸収方法を求めて

工場や発電所など大量の二酸化炭素が一箇所から排出される場合、二酸化炭素の吸収・フィルタリングは比較的用意です。

施設のインフラ設備のひとつとして吸着フィルターを設置しちゃえばいいですからね。

一方で、街の空気から日常の二酸化炭素を吸収・フィルタリングしようと思うと、二酸化炭素が希薄されているため多くのエネルギーとコストがかかってしまい、これが二酸化炭素吸収業界のネックとなっています。

現在、世界にはすでに稼働しているDAC施設があり、莫大なコストで年間何千トンという二酸化炭素を回収しています。

が、このままでは焼き石に水。より効率的に二酸化炭素を吸収する方法が求められています。

アミン+銅で性能アップ

リーハイ大学の研究は、吸収マシンの内部構造を変えることによって、既存の施設も大きく生産性をアップできる可能性があります。

現在のDACマシンの多くは、フィルタリングの素材にアンモニアから作られたアミンが使用されています。

研究では、これに銅を加えることでフィルタリング素材としての性能があがるといいます。

リーハイ大学の工学教授で論文共同執筆者の一人であるArup Sengupta氏は、銅とアミンについて「アミンには窒素原子があり、窒素と銅は違いに愛しあう関係です」と、その相性のよさを解説。

吸着フィルター素材に銅を加えることで、現在市場にあるフィルターの3倍もの二酸化炭素を濾過することができるといいます。

「超低濃度(の二酸化炭素)は、もはや(吸収)プロセスの障害にはなりません」というほどの自信で、DAC施設のゲームジェンジャーとなる可能性があります。

海にCO2が保存できるかも

フィルタリングの効率はもちろん、銅を利用することで、地下だけでなく海洋に二酸化炭素を保存できる可能性もでてくるのだとか。

二酸化炭素飽和銅アミン素材を研究室で海水に接触させたところ、回収した二酸化炭素を重曹へと変化させることができました。

重曹=無害な弱アルカリ性物質なら、理論上は海洋に保存したって大丈夫なはず。現在、二酸化炭素回収施設は、地下に大きな保存場所があることが設置の条件になっていますが、海洋での保存が可能であれば、施設の建設場所自体の選択肢も増えることになります。

研究室での話なので、あくまでも理論上はということ。実現には、今後さらなる研究やテストが必要になるのでしょうけれどね。Sengupta氏自身も「研究室ではうまくいったが、外に出せばまた別の話」と気持ちを引き締めています。

DACの技術効率があがれば地球は安泰というのはこれまた安易な話で、出したものを吸収するだけでなく、出す量そのものを減らす努力は引き続き必要です。

それでも、気候変動対策としてやっぱり期待せずにはいられませんね。

Source: Science Advances

アメリカでCO2排出量最大の州、自然エネルギー発電量も最大 ダーティーでもクリーンでも最大を目指す州、それがテキサス。アメリカの気候研究機関であるClimate Central(クライメート・セントラル)の新たな研究によると、同国では2022年に風力と太陽光の発電容量が激伸びしたそうです。再生可能エネルギーとは遠いイメージがある保守的な赤い州(アメリカでは共和党が強い保守的な州を「赤い州」と呼ぶ)の代表でもあり、二酸化炭素排出量が全米トップのテキサス州。 https://www.gizmodo.jp/2023/03/texas-red-states-wind-solar-renewable-energy.html

3月22日19:30ごろ 一部表現に誤りがあったため修正しています。

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