サイト内
ウェブ

ニコンのZ 30は最初のミラーレスカメラとして良い選択肢だ

  • 2023年2月2日
  • Gizmodo Japan

ニコンのZ 30は最初のミラーレスカメラとして良い選択肢だ
Image: John Bogna – Gizmodo US

欠点らしい欠点がない。

Nikon(ニコン)から、Vlog撮影を強く意識したミラーレスカメラ・Z 30が発売されました。

僕は初めてのデジタル一眼レフカメラ(エントリーモデルのD3300)を買って以来、Nikonユーザーです。

そして今回のNikonのミラーレスカメラ・Z 30は、コンパクトでクロップセンサーで、往年のD3300がバージョンアップしたような存在に感じました。

これからコンテンツを作り始める人向け

最初に買った理由は結局値段で、そのときCanon(キャノン)とNikonの静止画の画質は同じくらいだったんですが、D3300のほうが相対的に安かったです。

でもメニューシステムの使いやすさとか写真の撮れ具合も気に入ったので、Nikonを使い続けてました。その後数年前にD750にアップグレードしてからも、ずっと気に入ってます。

Z 30のターゲット層はそのサイズやアクセサリの品揃えからも明白で、比較的安価でYouTuberとかTikTokの世界に飛び込みたい、駆け出しのコンテンツクリエイターに照準を合わせてます。

僕自身もずっと前、同じような意気込みでSonyの800万画素くらいのコンデジを買ったなぁ…と懐かしみつつ、Z 30がそんな自分の心をつかんでくれるのか、試してみたくなりました。

ニコン Z30

これは何?:ラン・アンド・ガン(動きながら素早く撮る)に最適なミラーレスカメラ

価格:レンズ1本付きが850ドル(日本向け価格11万9900円)レンズ2本付きが1,085ドル(同15万700円)

良いところ:値段のわりに高画質、内蔵ステレオマイクも驚くほど良質、ビデオモードのアイトラッキングAFもすごい

良くないところ:ビューファインダーがない、メモリカードスロットが1個だけ

今回のテストでは、街撮りから自然まで複数のシナリオをいろんなライティング条件で試してみました。

ほとんどの場合、設定はマニュアルでISOをオートにしていたので、露出やシャッター速度は自分でコントロールし、カメラがISO設定を決める感じです。何かしら作りたい写真の仕上がりがある場合は、ISO感度も自分で操作しました。

静止画は最高画質でRAWファイルに収め、動画もこのカメラの中で最高の設定である4K・30FPSで撮りましたが、どちらもなかなかの出来栄えでした。

Z 30は、コンテンツ制作初心者が必要とするものをしっかり備えてると思います。価格はレンズ2本と本体のセットで1,000ドルちょっと(日本向け価格15万700円)、Sony ZV-E10とかCanon R 10のレンズ1本のキットより若干高い程度です。

でもボディとキットレンズのセットなら、この手のカメラの価格はみんな同じくらい、だいたい800ドル(約10万5000円)前後です。

ニコンらしいデザイン

Image: John Bogna – Gizmodo US

Z 30の作りは、典型的なNikonのカメラです。グリップが深くしっかりとホールドでき、シャッターボタンも電源スイッチも想定通りの配置で、ボタンやダイヤルも親指と人差し指が届く範囲内にあります。

コンパクトなサイズのわりに、Z 30は大きく感じられます。

手の中でしっかりした重みがあり、付属のネックストラップは持ち歩きにちょうどいいです。撮影のときにストラップが邪魔ってことはありませんでしたが、僕自身もし長時間使うなら、リストストラップを買うと思います。

このカメラに関して評価できない点があるとしたら、ビューファインダーがないことでしょうか。

代わりに使うのは背面の液晶画面。ミラーレスでは普通なんですけど、今までデジタル一眼しか使ったことがない人は、つねにライブビューを使えるのが当たり前になっていたと思います。

僕としては多少の慣れが必要でしたが、Z 30では個人で使う写真とかソーシャルメディア用の動画とかくらいしか撮らない想定だったので、そんなに問題ありませんでした。

背面モニターはいい感じ

背面モニターはいわゆるバリアングル。上下左右に角度を変えられて、逆向きにもでき、Vlogにも最適です。デフォルトでは、液晶を逆向きにすると「セルフポートレートモード」になるよう設定されていて、自分が映る姿を見ながら撮影できます。

瞳AFで被写体を認識し、シャッターを押すか画面をタップすると、3秒タイマーで静止画が撮れます。このモードで僕が撮ったセルフィーはほぼ全てしっかりフォーカスが合ったシャープな仕上がりで、失敗は2、3枚程度でした。

僕がデジタル一眼レフを使いだした頃は十字キーでメニューを操作してましたが、タッチスクリーン操作にもだんだん慣れてきて、最近は両方使ってました。

Z 30ではオートフォーカスをオフにしたり、タップでフォーカスさせたり、フォーカスして撮ったり、全部液晶タップで可能です。

露出やISOもタッチで変更できます。クリックホイールの方が早くて効率的だとは思いますが、Z 30を使っていくうちに、マニュアルボタンとタッチ画面をバランス良く使えるようになり、それでまったく問題ありませんでした。

Canon 5D Mark IVとかD850といった今の一眼レフもタッチスクリーンを搭載しているので(ここまで多用はしてなかったかもしれないけど)、今の流れは自然な進化だと思われます。

ハード面は十分

本体上部には外部アクセサリーを付けられるホットシューがあり、フラッシュやハイエンドなマイクを付けられます。APS-Cサイズのカメラとしては珍しいですね。

Z 30本体にもステレオマイクが内蔵されてて、こちらの音も驚くほど良いし、周囲の雑音を排除して声だけ拾う設定もいくつか選べます。

高級なスタジオマイクには及ばなくても、Vlog初心者がデフォルト設定のまますぐ使える道具としては十分以上です。Z 30の内蔵マイクの各設定ごとの音声の聞こえ方は、Noel Guevara氏の動画でチェックしてみてください。

サイドには標準のマイクジャックと、HDMIポートに充電用USB-Cポートも付いてます。バッテリー格納部にはメモリカードスロットもあり、SDカードを1枚入れられます。

本体前面には動画撮影中を示すライトもあり、自撮り中には必須ですね。

静止画カメラとしてちゃんと優秀

Z 30はミラーレスのAPS-Cカメラなので、センサーは高価なZ6IIとかZ7II、Z9よりも小さいです。でもそれは写真の質が悪いことを意味しません。

2100万画素のセンサーは僕の今使ってるフルフレームカメラ、D750(2460万画素)より少しだけ低解像度です。でもオートフォーカスは間違いなく、2014年発売のD750より優秀です。

画質はシャープかつ精細で、ダイナミックレンジも(しかも暗めの環境でも)D750より若干広くなっていました。僕がレビュー用に受け取ったのはZ 30本体にNikonの一番ベーシックな15-50mmのキットレンズが付いたものでしたが、それでも僕が撮った写真のクオリティはD750と同等でした。

ただ、キットレンズのF値が広角側(15mm)で3.5、望遠側(50mm)で6.3だったので、明るいレンズを使ってるときよりはISOが高めになりました。とはいえ、ISO 1000くらいまでは全然使える画質で、とくにLightroomでノイズを減らせばまったく問題なしです。

ノイズは多少残りましたけど、デジタルなノイズというよりフィルムの粒子みたいに見えました。もし、たとえばNikkor 35mm 1.8 ZをZ 30に付けて使ったら、最高の写真が撮れると思います。下の画像はISO 1000で撮って、後処理できれいにしたものです。

Image: John Bogna – Gizmodo US

Z 30での撮影はすべて、僕が愛用したD3300のアップグレード版を思わせました。色再現も良く、シャープネスもキットレンズに期待するものを超えてます。

タイムラプス撮影のオプションもあり、僕自身は試せなかったんですが、滝とか星の動きとか撮ったらきっと楽しいはずです。

レンズを変えればまた別の体験ができそう

被写体トラッキングはまあまあでしたが、スポーツなどの高速な動きに使うのはおすすめしません。

セルフィーはだいたいはシャープで、風の中の植物を連写したときも、そこに止まったハチへのフォーカスをほぼキープできました。

静音撮影も街で撮るときはすごく良かったですが、やっぱりもっと明るいレンズのほうがシャッター速度を上げて人の動きを止められるなぁと感じました。

キットレンズの広角側は建築写真にぴったりなんですが、ヒューストンの街中を歩いたときも良い写真が撮れました。Z 30はバッテリー持ちもすごく良く、フル充電から1時間くらい撮り続けてもほとんど減ってませんでした。

Image: John Bogna – Gizmodo US

全体に静止画カメラとしてはすごく優秀で、価格を考えるとなおさらです。より良質なレンズと組み合わせれば、価格帯以上のパフォーマンスを出せるはずです。

動画も文句なし

Z 30では、動画もすごくきれいに撮れました。屋外で4K動画をたくさん撮りましたが、みんなくっきりして色も良く出てます。

スローモーションは4Kだと撮れませんが、1080pでちゃんと撮れてます。個人的に動画は得意じゃないので、撮影はみんなオートモードのままでしたが、それでもソーシャルメディアに上げた動画はすごく良かったです。

夜の屋内で、ISO設定が高くなると多少のノイズが出始めましたが、それはどっちかっていうとレンズのせいです。F値が1.8以上のレンズを使っていれば、暗い環境でもそんなに難しくなかったと思います。

Nikonの標準の35mm F/1.8レンズ(699ドル≒9万2000円)でも、サードパーティのたとえばViltrox 14mm 1.4(329ドル≒4万3000円)でもいいんですが、そのあたりを使うと良さげです。

アイトラッキングAFは、動画モードでもきっちり効いてました。僕の目にしっかりロックオンして、不規則な動きとか、キットレンズでのズームイン・アウトをしても、フォーカスが外れませんでした。

Z 30にはボディ手ぶれ補正がなく、スマホカメラと同じようなデジタル手ぶれ補正のみです。でも今回一緒に使ったキットレンズに振動低減機能があったので、組み合わせると非常に滑らかな映像になりました。

撮れた動画を後処理でカラーグレーディングする場合に合わせて、録画メニューの中でカラープロファイルを「フラット」に設定できるようになってます。

でも高級カメラにあるような細かな撮影プロファイルは、この価格帯では手に入りません。といってもZ 30はオートモードでもたいてい問題ないので、YouTube動画などで使えるお手頃屋内スタジオカメラとしても使えるはずです。

Z 30を撮影用にフルカスタムしたら

このZ 30に、良いレンズとプロ級ライティング、より良質なマイクを組み合わせたらどんな動画が撮れるか、YouTuberのJared Polin氏によるこちらを見てみてください。Z 30のプリプロダクション版をスタジオでテストした結果が見られます。

僕は動画撮影のときは4K・30FPSでずっと撮ってましたが、25FPS、24FPSの設定も可能です。

スローモーションは1080p・120FPSでも撮れて、InstagramやTikTok、YouTubeに上げたらすごく良さそうです。より良いレンズで撮るほど動画もシャープになりますが、キットレンズもかなり健闘してましたよ。

決定的じゃないけど欠点も

最初の方にも書きましたが、やっぱりEVFがあったほうが良かったと思います。そのせいで買わないってほどじゃないにしても、やっぱりEVFがない状態に慣れるのはちょっと時間がかかります。

操作部の中に、ややまどろっこしい部分がちょいちょいあります。たとえばISOをオートにしたりマニュアルにしたり切り替えるときは、本体上部のISOボタンを長押ししつつ前面のクリックホイールを回さなきゃいけなくて、やりにくかったです。

あとは本体を取り上げるときにうっかりボタンを押してしまう事案が何回かありましたが、だいたいは電源オフのときだったので事なきを得ました。

充電に関してもちょっとイラッとします。付属してるのはUSBケーブルだけで、電源アダプターは付いてこないので、空いてるアダプターが手元にないときはパソコンか何かにつながなきゃいけなくなります。

そうするとパソコンがスリーブに入ったときに充電も止まってしまい、一晩充電する、とかができません。なので結局、僕はAndroidスマホ用に使ってたアダプター(USB-Cのもの)を流用してしのいでました。

バッテリーといえば、残量表示がパーセンテージじゃなくて液晶画面の3本線だけなので、「だいたいフル」だと思ってたらいきなり「だいたいゼロ」になりがちです。公式の推定では、4K30FPSでの撮影時のバッテリー持ちは75分前後、DPReviewのテストでは65分だそうです。

最初に使ったときは、バッテリーの減りがすごく速かったです。最初はフルだったのに、静止画と動画を撮り出して1時間もしないうちになくなってしまいました。

でもその後あちこちで静止画を撮ったときは、1時間以上経ってもフル充電からほとんど減ってないみたいでした。なので2〜3時間は普通に持つのかな、と思ってます。

Image: John Bogna – Gizmodo US

買うべきなの?

まとめると、Z 30に関して好きになれない部分はほぼ見つかりませんでした。初心者向けではあっても、適切な道具を組み合わせればそれ以上に使い倒せます。

とはいえ、プロカメラマンが仕事で結婚式を撮るときの定番にできるかっていうと、答えはノーです。でもZ 30が目指すもの、つまり「動きながらサクサク撮ることを強みとするカメラ」として使っていれば、がっかりしないはずだし、むしろ良い意味で裏切られるかもしれません。

競合するSonyのZV-E10と比べると、Vlog用カメラとしてはいくつか利点があり、たとえば4K30FPS動画をクロップなしで撮れることとか、後処理でカラーグレーディングしやすい「フラット」なカラープロファイルがあることとかは有利になります。

Z 30の強さは、この価格帯、使いやすいパッケージの中で、高画質を実現してることにあります。

駆け出しYouTuberのVlog用カメラとして、または持ち歩きに適した手頃なカメラとして、はたまたお手軽なミラーレス入門機として、ぜひお勧めしたいです。

小さくて軽いVlog向けミラーレス一眼「Nikon Z 30」は、日常でも旅行でも使えるお手軽万能カメラだ! 8月5日に、ニコンからVlogに適したミラーレス一眼「Nikon Z 30」が発売されました。Zシリーズのなかでも最小最軽量となっています。これまでのZシリーズの機能を継承しつつ、Vlog向けとされているZ 30。福島県会津若松市への出張のお供に持っていき、動画はもちろん、静止画の描写や、使い勝手などをテストしてきました。 https://www.gizmodo.jp/2022/09/nikon-z30.html

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
copyright 2023 (C) mediagene, Inc. All Rights Reserved.