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ダーレン・アロノフスキーに聞く、「クリス・ヘムズワースを北極海で泳がせたり断食させたりしたのはなんで?」

  • 2022年12月6日
  • Gizmodo Japan

ダーレン・アロノフスキーに聞く、「クリス・ヘムズワースを北極海で泳がせたり断食させたりしたのはなんで?」
プロフリーダイバーのターニャ・ストリーターとマーベルのスターのクリス・ヘムズワースがウミガメと泳ぎます。 Image : National Geographic for Disney+/Craig Perry

銀幕の「雷神」の役といえばクリス・ヘムズワース、と言われるほどのマーベルの大スターは実生活でも超人的です。『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督が手がけたDisney+(ディズニープラス)の新シリーズ『リミットレス with クリス・ヘムズワース(以下、リミットレス)』では、人間の体をアンチエイジングするための極限に挑む彼の姿がみられます。

この極限への挑戦は次の6つ。

・凍てつく北極の海を泳ぐ「衝撃」編
・危険をともなう登山をする「強さ」編
・危険なクレーン歩行をする「ストレス耐性」編
・荒野でのサバイバルを描いた「記憶」編
・ヘムズワースが専門家の管理のもとで絶食する「断食」編(絶食中なのに子どものために料理を作り続けたり、ピザを食べる友人にも冷静でいられた彼はとても印象的!)
・テクノロジーや実体験設定で、現在30代のヘムズワースが80代のお年寄りの身体的な変化を体験する「受容」編

私たちio9は、Disney+での配信に先駆けてアロノフスキー監督に、『リミットレス』の制作と俳優ヘムズワースとの秘話についてお聞きしました。

6つの試練で「長寿の科学」の核心に迫る

「断食」編でイマイチな食事を用意するクリス・ヘムズワースと長寿の専門家ピーター・アティア博士。 Image : National Geographic for Disney+/Craig Perry

シェリル・エディ(以下、io9):『ブラック・スワン』や『レクイエム・フォー・ドリーム』などの長編映画や新作『クジラ』で監督のことをよく存じ上げています。今回このドキュメンタリーシリーズに取り組もうと思ったのはどうしてでしょうか?

ダーレン・アロノフスキー監督(以下、監督):私は7、8年前から「サイエンス・ドキュメンタリー」のジャンルをうろうろしているんです。

父が科学の教師だったので、私は野外生物学者の手ほどきを受けていました。ずっと科学に注目して生きてきたわけです。

かなり前にナショナルジオグラフィック(以下、ナショジオ)から『宇宙の奇石』を担当するように言われたとき、夢が叶ったように思ったものです。それ以来、自分のキャリアの中でサイエンス・ドキュメンタリーに関わり続けることにワクワクしていますね。

io9:『リミットレス』でクリス・ヘムズワースが挑戦する課題は、どうやって決めましたか?

監督:6つのエピソードを作ると決まっていたので、長寿の6つの柱──よりよく、より長く生きるために自分でできる、簡単に達成できる目標を中心にすえました。さらに、それぞれのエピソードの異なるテーマに沿いつつ視聴者に分かるように、科学の核心に迫るエキサイティングな課題を考えていきました。

io9:クリス・ヘムズワースにとって、いちばん過酷な撮影だったのはどのエピソードでしょう?

監督:4日間も絶食したことでしょうか。当時彼は『マイティ・ソー』を撮っていました。摂取カロリーがかなり多いことを知っていたので、厳しいのではと。

北極圏で泳いだことは、本当に途方もない快挙でした。私はそのとき現場にいましたが、氷のように冷たい水の中を海水パンツだけで、向かい風に吹かれながら200ヤード(約183メートル)泳ぐのは、ゾッとしましたね。私だったらきっと、20フィート(約6メートル)ですら泳げないでしょうから。

過酷な課題はすべて、やり遂げられるかどうかわからないギリギリの状態に彼を追い込こむよう、うまく作りこめました。

「長生きするヒント」が隠されている

io9:クリス・ヘムズワースは、言うまでもなく、ふつうの人にはない強い精神力を持つ、超人的な体力のある映画スターです。課題を次々とクリアする彼の姿から『リミットレス』を観た観客、つまり一般の人に何を感じ取ってほしいのですか?

監督:地球上の誰もがどこにいても日常生活で実践できるよう、本当に注意深く、慎重にその点を考えました。挑戦は、エンターテインメント性を高めるため、極端なものばかりです。でも、どれにも、世界中の誰もが日常生活で使えるようなヒントが隠されているんです。

「受容」編で、お年寄り体験用スーツを着用するヘムズワース。 Image : National Geographic for Disney+/Craig Perry

io9:ほとんどのエピソードが、超人的な強さと大胆なとりくみに焦点を当てていますね。でも、私にとっては「受容」編がいちばん理解に苦しみました。長生きしようとするドキュメンタリーの中で、なぜ終活の問題を取り上げたのでしょうか?

監督:現代科学では、人生の終わりを穏やかに受け入れることで長生きできることが分かっています。そのため、「受容」編は外せませんでした。このドキュメンタリーを撮る理由として当初からあったのです。長寿をテーマにしたドキュメンタリーを撮るからには、死について語らなければならないと思っていたんです。

スタジオでは、これがいい案かどうか、あまりはっきりしていませんでした。でも、私がその企画をナショジオに「なぁ、絶対に撮らないとダメな作品だよ」と言い続けて、実現するとわかったスタジオはますます興奮したんです。

io9:「受容」編でクリス・ヘムズワースが滞在する部屋は、どのように構想しましたか? 面白いところもありますが、とても切ないところもありますね。

監督:高齢者施設を再現して、彼をそこに入れ、そしてもちろん、個人的なものにしたい、と思いました。あの部屋で何が起こっているのか、あまり多くを明かしたくはないですが。どうやったらうまくいくか、何度も話し合いました。

io9:いわゆる「イースターエッグ」とでもいうべきメッセージがいくつも隠されているわけですね。

監督:その通りです。

io9:なぜDisney+をこのシリーズの配給先に決めたんですか? クリス・ヘムズワースがマーベルのスターであること以上の理由があったのでしょうか?

監督:そうですね、ナショジオとの関係でしょう。私にとっては本当に信じられないほど個人的なこと。私は小さい頃からナショジオの大ファンでしたから、彼らとは長いつきあいです。そして、ナショジオがディズニーとDisney+のサポートを受けて、多くの視聴者にこのドキュメンタリーを提供できるようになったことは素晴らしいことです。コンテンツ制作者として、世界規模の視聴者にアクセスできるのはとても刺激的ですね。

io9: 長編映画の監督と『リミットレス』のようなプロジェクトとのスケジュールは、監督ご自身どのように調整していましたか?

監督:すべて同時進行です。『リミットレス』の制作には3年かかりました。そしてその間に『クジラ』も作りました。さらに、Netflix映画の『グッド・ナース』も制作しました。12月には『キンドレッド』も公開されます。私の会社であるプロトゾアでは、素晴らしい若手プロデューサーたちと一緒に仕事をしていて、常にさまざまなプロジェクトを進めています。

『リミットレス with クリス・ヘムズワース』全6話は、Disney+で独占配信中です。

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