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カニの甲羅からつくった生分解性バッテリーが再エネ普及の決め手になるかも

  • 2022年9月12日
  • Gizmodo Japan

Image: shutterstock

食後のカニやロブスターの殻、捨てなくてもよくなりますね。

これまでちょっと考えられなかったような材料から、より持続可能なバッテリーをつくれる可能性が出てきたようですよ。Matter誌に掲載された論文で、カニやロブスターに含まれる物質を用いた生分解性バッテリーの開発に成功したことが発表されました。

既存のバッテリーには調達やリサイクルなどの問題が

バッテリーの構造上で重要なパーツのひとつに、極板があります。正極板(プラス)と負極板(マイナス)の端子間をイオンが行き来することで、充電と放電をします。極板に鉛やリチウムを使用しているバッテリー(鉛酸蓄電池やリチウムイオンバッテリーなど)が主流ですが、課題も多いのだそうです。

脱化石燃料のためには、とんでもなく膨大な量のバッテリーが必要になります。しかし、従来の鉛やリチウムを用いたバッテリーはリサイクルが複雑すぎてとても難しかったり、生分解できなかったり、爆発や火災を起こす危険性があったりと問題が山積みなのだとか。また、今後予想されるエネルギー需要を満たす量のリチウム供給には、世界が破壊的な採掘を行なう必要があると思われ、こちらも問題なんですよね。

カニからできたバッテリーはリサイクル可能

そこで代替案があるんですけど、カニなんてどうですか?カニやエビなど甲殻類には、甲羅を丈夫に保つ役割を果たすキチンという物質が含まれているんですね。で、キチンはキトサンと呼ばれる物質に加工できます。今回、研究者たちはこのキトサンと亜鉛を結合させた新しい電解質物質をつくって、400時間使用してもエネルギー効率がほとんど変わらないバッテリーを開発しました。研究者たちは、そしてさらに、このカニの成分からつくった電解質物質は5カ月あれば土の中で生分解されるうえに、そこに残される亜鉛もリサイクル可能なんだそうですよ。研究者たちは、エネルギー貯蔵システムの環境負荷を小さくするための持続可能なバイオ材料にできると考えています。

研究論文の筆頭執筆者であり、米メリーランド大学のCenter for Materials Innovationでディレクターを務めるLiangbing Hu氏は、プレスリリースで次のように述べています。

将来的には、バッテリー本体だけでなく、バイオ材料の製造工程まで含めてすべての部品を生分解性にできればと考えています。

また、キチンは甲殻類の殻により多く含まれていますが、菌類の細胞壁や一部のイカにもキチンが見られるそうです。

課題は実用性と拡張性

生分解性カニさんバッテリーパックの実験がラボレベルで成功したからといって、リサイクルを含むバッテリーのさまざまな問題が解決したわけではありません。ノッティンガム大学で材料科学を教える、この研究には参加していないGraham Newton氏は、バッテリー技術の新素材開発では、実験室でよい結果が出ても、実用性と拡張性のある技術と呼ぶにはまだ程遠い傾向があると指摘します。

それでもNewton氏は、今回の研究結果は将来に希望を与えるものだとし、こう述べました。

亜鉛イオンバッテリーの開発にはまだ多くの課題がありますが、このような基礎研究は非常に重要なのです。

捨てられるはずのカニやロブスターの殻からつくった生分解性のバッテリーが、家庭やもっと大きなスケールの再生可能エネルギーの蓄電、電気自動車のバッテリーとして使われるようになれば、持続可能性がより高くなるだけじゃなく、採掘による自然破壊や人権侵害もなくなりますよね。さらに研究を重ねて、実用化、そしてスケールアップと、カニのような横歩きではなく、前進してほしいですね。

横歩きで大自然に迫る。カニ型ロボットにカメラを仕込み4千万匹の大移動を撮影 かにかにどこかに? 動物に擬態したカメラで、野生動物の生態観察をしてきたBBCの番組『The Islands’ of Spy in the Wild 2』。今度はクリスマス島を大移動する、4千万匹のクリスマスアカガニを観察するべく、ガニ股で横歩きするカニ型のロボット・カメラを開発しました。狙うは土の中から現れ、産卵するべく海へ向かうカニたち。途中で共食いされそうになりながら、カニ目線で貴重な記録 https://www.gizmodo.jp/2022/01/spy-in-the-wild-crabcam.html

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