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気候変動さえなければこんなことには…。ニューメキシコ州最大の山火事の原因が判明

  • 2022年6月26日
  • Gizmodo Japan

野焼きの様子
Image: Nathan A Shepard / Shutterstock

前代未聞の状況の中でも、野焼きを続けないと被害はひどくなるから難しいよね…。

ニューメキシコ州史上最大の山火事は、まだ終わりが見えません。4月に発生したHermits Peak/Calf Canyon Fireの延焼面積は、1,382平方キロ以上に及んでいます。この火災によって、数百棟の家屋と重要な文化財や施設が焼失し、数千人が避難を余儀なくされました。現在も避難勧告が出されている状況です。

山火事は野焼きからはじまった

6月23日現在で72%まで鎮火していますが、山火事の原因が米国フォレストサービス(U.S. Forest Service)の計画的な野焼きだったことが明らかになり、失った市民の信頼はまだ回復できていません。フォレストサービスは21日、過失の原因や再発防止に関する内部調査をまとめた報告書を公表しました。報告書は、火災発生時の気象予測やコンピュータモデル、燃料のリスク評価、当局と野焼きを行なった作業員のミスコミュニケーションなどの問題が、悲劇的な結果につながったと分析しています。

気候変動で安全な野焼きが困難に

フォレストサービスは報告書の中で、今回の野焼きで起こったミスを教訓にすると述べていますが、気候変動が進む状況下での安全な野焼きが難しくなってきており、いまのところ適応できるシステムではないそうです。同時に、気候変動の影響によって激甚化する山火事を緩和するには、山火事の発生を防ぎ、延焼面積を最小限に抑える野焼きが重要であることも指摘しています。

フォレストサービス局長のRandy Moore氏は、気候変動下における計画的な野焼きの難しさについて報告書でこう述べています。

気候変動は、かつてない状況をもたらしています。気候変動によって火災はより頻繁に発生し、より激しくなることもわかっています。干ばつや異常気象、風、予測不能な天候の変化は、壊滅的な火災を防ぐために野焼きを続ける能力が我々にあるかどうかを試しています。火災の深刻さがコンピュータモデルの予測を上回る中で、我々はメガ干ばつと気候変動が現場での作業にどのような影響を及ぼすかについてより深く理解する必要があります。

多くの研究によると、野焼きは景観の管理や山火事の抑制に役立つだけでなく、生態系のバランスを保つためにも重要なのだそうです。ところが、ここ数十年にわたって火を用いる森林管理に国が消極的だったことで状況が悪化してきたこともあり、フォレストサービスは近年、積極的に野焼きを行なうことで火災をコントロールしようとしてきました。

しかし、火は諸刃の剣です。今回のように野焼きが裏目に出てしまう可能性もあるんですよね。今回の件を受けて、フォレストサービスは5月20日から90日間、計画されていた野焼きをすべて中断すると発表しています。

気候変動以外にも重なったミス

すべてが気候変動のせいだったわけではありません。野焼きのリーダーが強風を甘く見ていたことや、測候所が整備されていなかったために正確な気象状況を把握できなかったことなど、人為的なミスも重なったとのこと。

また、野焼きを制御できずに火災が拡大した際に危険にさらされる住宅や飲料水の供給、歴史的遺産、絶滅危惧種の生息地、農地などへの影響を過小評価していたことを認めています。

不十分な復興援助

バイデン大統領は6月11日、被災者に対し、米連邦緊急事態管理局(FEMA)が火災発生から90日間の仮設住宅と復旧費用を100%負担すると発表しましたが、被災者の多くは保険金の上限などの問題によって、経済的に厳しい状況が続いているそうです。

火災が発生したニューメキシコ州北部から選出されているTeresa Leger Fernandez連邦下院議員は、当局がコミュニティーや人々、歴史、文化を軽視していたことに憤りを表明し、今回の失敗から100年以上にわたる誤った森林管理を改め、人々が安心できる安全な野焼きの方法を学ぶ必要があると指摘しています。

フォレストサービスによると、野焼きは年間に平均4,500件、延べ5,600平方キロに及ぶそうです。今回のように火災に発展してしまうのはごくわずかで、99.84%は計画通りに何事もなく終わるとのこと(野焼きが原因の火災は年平均7件)。

もちろん万が一があってはいけないのですが、気候変動の影響で森林火災がより一層深刻化していく中で、野焼きは欠かせません。気候変動を緩和するために一刻も早く化石燃料から撤退して排出量を削減しなきゃいけないのは当たり前として、数千年にわたって野焼きによって森林を守ってきた先住民の知恵を借りるのも悪くない考えだと思うのですが…。

Reference: National Park Service

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