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気候変動下でもタフに増殖して、環境に悪影響を及ぼしている生き物たち(一部閲覧注意)

  • 2022年5月25日
  • Gizmodo Japan

Photo: Frank McClintock / Shutterstock

温暖化への適応能力が高い皆さん。

気候変動は世界中の野生動物たちにとって大惨事だと、直近のIPCCレポートは報じています。少なくとも1万967種が気候変動のせいで絶滅のリスク増加に直面しており、Science誌に掲載された2017年の研究によれば、環境が変わったために生物の半数が生息域を移動しつつあるそう。

しかし、生物すべてが等しく気候変動の悪影響を受けているわけではありません。生物の中には変わりゆく環境に乗じて分布域を広げたり、生息数を増やしたりする種も存在します。かわいい動物から閲覧注意なちょっとグロい虫まで、地球の温暖化が進むに連れて目にする機会が増えそうな生物たちをまとめました。

アルマジロ

Photo: Marcelo Morena / Shutterstock

ココノオビアルマジロは北方への進出を続けています。1850年以前、このウロコ状の皮膚に覆われている哺乳類の生息域は、メキシコ、中央アメリカ、そして南米の一部に限られていました。しかしながらこの小さな生物たちは、1850年代にリオ・グランデ川を越えて合衆国に進出。人間が建設した橋や道路が追い風となったのでしょう。

そこからは気候変動に後押しされて、1年あたり4.3マイル(約7km)のペースで北と東に進出し続けました。1994年には、アルマジロの分布域は米国南東の9つの州を部分的に網羅したと科学者たちは推定。2021年時点では少なくとも15の州に生息しているそうです。

気温が上昇するに連れてさらに北へと移動すると算出されていて、ニューヨークや東海岸の他の大都市にさえ達する可能性もあります。キュートな見た目ですが、彼らの生息域拡大を誰もが喜んでいるわけではありません。アルマジロたちは雑食です。絶滅が危惧されたコリンウズラの卵や、繊細で減少しつつあるサンショウウオなど何でも食べてしまいます。彼らはハンセン病などあらゆる病気の媒介動物でもあり、生物学者らはそういった病が他の野生動物に与え得る影響を懸念しています。

このネッタイシマカ(熱帯縞蚊)は特に厄介
Photo: frank60 / Shutterstock

気候変動によって、各地で蚊が繁殖しています。蚊のシーズンは長期化していて、生息数は急増しており、分布域は広がっています。そして不幸なことに蚊は史上最悪の感染病を運びます。たとえばマラリアは毎年全世界で数十万人の死亡者が出ており、そのほとんどがサハラ以南のアフリカで発生。他にもデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症といった病気も広域でまん延する可能性が高くなり、数百万から数十億もの人々がリスクにさらされます。

増殖する蚊は他の野生動物にも影響を及ぼします。野生動物も蚊が媒介する病気の影響を受ける可能性があるからです。たとえばハワイでは、鳥マラリアによって固有種の鳥が何種類も絶滅。侵略的な蚊の分布域のすぐ外にある生息環境、高地ではさらに数種が危機に瀕しています。しかし、山には頂上があって、温暖化の進む世界では鳥類の逃げる場所が尽きるため、やがて蚊が競争に勝つでしょう。絶滅寸前の鳥類を救う解決策として、遺伝子組み換え蚊を放つことと、鳥類をどこか別の場所へと移住させることが提案されています。

オマケ:毎年繁殖する時間がたっぷりあるということは、気候変動が蚊の進化を加速させているかもしれないということ。蚊の繁殖は、世界で最も命を奪っている生き物がさらに最悪に進化することを意味します。

ダニ

悪夢のような存在
Photo: KPixMining / Shutterstock

蚊ではないけど同じく血を吸う生物、ダニも気候変動のおかげで優位に立っています。ダニも病気を媒介しながら広まっています。ライム病は昆虫やクモ形類が拡散する感染症としては米国で最も報告例が多く、ダニを捕まえられる地域は増えています。

ダニ被害はライム病とそれを介するクロアシマダニだけではありません。何種類もの8本足の寄生虫が、あらゆる病気(数例挙げるとバベシア症、ロッキー山紅斑熱やポワッサンウイルス)を運びます。その上、科学者たちは今もなおダニによる新たな感染症を発見しているのです。

蚊と同じく、ダニの急増も野生動物に害を及ぼしていて、特にヘラジカは冬の間に膨大な数のダニに寄生されてしまうとか。

キクイムシ(木食い虫)

このようなキクイムシは樹木に深刻なダメージを与えます
Photo: Henrik Larsson / Shutterstock

気候変動の恩恵を受ける虫のどれもが、人間と動物の病気を広めているわけではありません。植物に病原菌をまき散らすものもいます。

森林に大打撃を与えるキクイムシは菌類を連れていて、樹皮の下に卵を産むことで樹木にはびこります。菌類病と腹を空かせた幼虫の組み合わせは、弱った樹木、特に干ばつに見舞われた樹木を死に追いやります。より規模の大きいキクイムシの大発生や生息域の拡大は、何十年にもわたって上昇する季節ごとの気温と関連しているのです。

厳しい干ばつとキクイムシの急増が同時に発生する気候変動によるダブルパンチは、米国西部で大量枯死を招きました。2015年にはたった1回のとりわけひどい流行で、1200万本以上の樹木がダメになったのです。特定の樹木種はキクイムシの攻撃に対処できるよう進化していると示唆する研究もあるとはいえ、現在進行中の困難な闘いであるのは間違いありません。

クラゲ

ムネミオプシス・レイディ。動物プランクトンを捕食するので生態系に大きな影響を及ぼす
Photo: Shutterstock

昆虫やアルマジロばかりではありません。クラゲ類の中にも増殖している種は存在します。他の海洋生物たち全般とは異なり、何種類かのクラゲはより温暖な海水温と、それに伴う海洋酸素濃度の低下の中でも問題なく生きているようです。それどころか、海の温暖化はクラゲの早い成長を促しているかもしれず、世代時間の短縮と生息数の増加を助長していると示唆した研究もあります。

どのクラゲも同じくらい順調というわけではありませんが、最も恩恵を受けている2種はミズクラゲとムネミオプシス・レイディ。どちらも刺さないクラゲです。とはいえ、刺さないクラゲでさえも人間にとっては問題を引き起こし得る存在で、原子力発電所の冷却水路系を閉塞したこともあります。

学術誌「Hydrobiologia」に掲載された2012年の研究によれば、10年前、世界の海洋生態系の62%がクラゲ類の大量発生を経験していたそう。それ以降、クラゲの群れに関する報告は世界中で挙がり続けています。

しかしながらクラゲの増殖は循環的で、海がやがて“クラゲ類のスープ”になるという懸念はおそらく誇張されているものです。それにもしクラゲたちが本当に増殖しているなら、その唯一の人的要因が気候変動だとは考えにくいかと。その餌となる藻類の成長を促す環境汚染も、クラゲが勢いを増す要因になり得ます。

ウシガエル

保全生物学者らがウンザリするほど、あんぐり開けた口にはたくさん入りそう…
Photo: Tau5 / Shutterstock

ウシガエルは米国東部原産で、大いに侵略的で世界各地で問題になっている種です。このカエルは口に入るものなら基本的に何でも食ってしまう食欲旺盛な捕食者で、他の両生類に致死的な真菌類を広めます。

ウシガエルの世界規模での拡大に寄与した要因はいくつかあります。まず、彼らは人間によって生息場所以外の各地へと運ばれました。かつてペットや学校での解剖用の動物として、それに食用としても人気だったからです。その後、ウシガエルは自力で長距離を移動できると明らかになりました。ずっしりしたハンバーガーよりも体は大きく、一度のジャンプで6フィート(約1.8m)も跳べて、陸地にある離れた水路の間を1マイル(1.6km)以上も移動できるとか。

気候変動によってウシガエルに適した生息環境へと変わってしまったために、分布が拡大している地域もあります。南米では、気候が暖かくなるに連れて新たな地域に移動すると予測されています。韓国では最悪な気候変動のシナリオの場合、ウシガエルは分布域を増やすだろうと推測。カナダ西部でも、気候変動はウシガエルによる乗っ取りを助長していると考えられています。

オポッサム

オポッサムの生態学的な影響はさまざま
Photo: Evelyn D. Harrison / Shutterstock

せめて最初と最後はかわいい生き物を…ということでお口直しのオポッサムです。キタオポッサムはメキシコ北部で見られる唯一の有袋類で、ちっちゃくてキュートな顔が特徴。アルマジロと同じく、オポッサムもさらに北へと広がっています(最近だとミシガン州アッパー半島へ)。そんなオポッサムの増殖は、都市化現象と気候変動によって助長されていると考えられています。そして当然ながら、現在進行中の増殖には生態学的なマイナス面があります。

1900年代初めにオポッサムが広まったオレゴン州では、侵入種だと認識されています。それ以外の場所では、オポッサムが繊細な種を捕食したり疫病を広めたりするかもしれないと懸念する野生動物専門家たちもいます。しかし、アルマジロと違って、オポッサムには良い面もあるようです。

オポッサムはアライグマのような他の野生哺乳類と違って、狂犬病を媒介することは滅多にありません。その上、彼らは環境内の腐った屍肉を片付ける有能な腐食動物です(いくつかの病気拡大の食い止めにつながります)。侵入種とみなしているオレゴン州でさえ、毒を持つガラガラヘビを捕食することには感謝しています。しかし、世間に信じられている説とミームに反して、彼らはダニを退治するわけではなさそうです。

殺虫剤も効かない米国の凶暴アリ、お腹の虫でイチコロに 数年前、日本では毒を持ったヒアリが出没して、ちょっとパニックでしたよね。米国南部でも、最近「黄褐色クレイジーアント(Tawny crazy ant)」っていう凶暴なアリの一種が大繁殖して問題になってるんですが、その天敵が見つかったようです。それも虫とか動物じゃなく、ある種の菌がアリをほとんど根こそぎ駆逐してしまうんだとか。どんな菌なんでしょうか? https://www.gizmodo.jp/2022/03/infectious-fungus-wreaks-havoc-on-crazy-ants-and-scient.html

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