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生物学的材料でできた小さなロボット「xenobot」が、ほぼ人工生物

  • 2020年1月22日
  • Gizmodo Japan

Image: Douglas Blackiston, Tufts University

幅およそ1mmという小ささながら、そのポテンシャルは膨大なり。

タフツ大学、バーモント大学、ハーバード大学ヴィース研究所の研究者らによって新たに開発された「xenobot」は、寿命の長さが数日〜数週間あるという生体ロボット。米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)で新たに発表された研究によると、"再構成可能な生物"と言い表されています。人工生体ロボットとは一体どのようなもので、どう作られたのか、そしてどのような分野で役立つのでしょうか?

100%生物学的材料から構成

プレスリリースで「これは最新の生体ロボットです。従来のロボットでも、有名な種類の動物でもありません」と説明するのは、バーモント大学のロボット技術者で、研究の共同リーダーを務めるJoshua Bongard氏。

研究者らは、この生体ロボットを「生命体」や「有機物」というように描写しています。これは、xenobotsが自分で何か食べたり、繁殖したり、外部刺激に対して反応したりすることがないためでしょう。ただ同時に、100%生物学的材料から構成されていること、さらに細胞から供給されるエネルギーを生成したり、意図的に移動したり、怪我を修復したりできることを踏まえると生き物に近い動きができることもわかります。xenobotが真の意味で生きているかどうかについて今ここで議論をすれば長くなりそうですが、人工的に構築された生命体の前駆体であることには間違いないでしょう。

できること

xenobotは、現在の基本的な状態に手を加えずとも非常に役立つことが期待されています。研究者らによれば、最終的には体内に薬物を送達したり、環境修復を支援したり、生物学への理解を向上させることだってできると考えられています。

タフツ大学の研究者で研究の共同著者であるMichael Levin氏は、プレスリリースで「有害な化合物や放射能汚染」を探し出し、海洋でマイクロプラスチックを集め、「プラークを削るために動脈内を移動する」ことができると示しています。

また、スチールやプラスチックを一切含まない生分解性であることから、自然や体内に送り出しやすいことも指摘できます。おそらく分子ナノテクノロジーや生物工学バクテリアなどと組み合わせれば、不必要な物質を不活性で無害な形に変換することもできるでしょう。

カエルの胚から抽出された幹細胞が基本的構成要素に

上:コンピュータ生成デザイン。下:ラボで幹細胞から作られたxenobot mage: UVM

xenobotは当初、バーモント大学にあるスーパーコンピューターによって設計されました。進化的アルゴリズムを用いながら、基本的な物理的要件である単方向の歩行能力を備えた生命体のデザインが数千も考案されました。アルゴリズムは最も実行可能なソリューションが見つかるまで、何百もの細胞を取り出し再構成を行ないました。

その結果、最善と考えられた案がタフツ大学で作られ、テストされました。その際、アフリカのカエルの胚から幹細胞を抽出し、基本的な生物学的構成要素が得られました。使用されたアフリカツメガエル(Xenopus laevis)は、xenobotの名前の由来にもなりました。

左:アルゴリズム生成のxenobotブループリント(緑:皮膚細胞、赤:心筋細胞を表す)。右:コンピュータデザインから着想を得た"生きている"xenobot Image: Sam Kriegman, UVM

次に、コンピューターによって設計されたフォームに一致するように、特殊な細胞を成長させ、細心の注意を払って組み立てました。丈夫な皮膚細胞が基本構造となり、自発的に収縮・拡張する心筋細胞が移動手段の役割を担います。

切断されても自動で自分自身をつなぎあわせる

テストでxenobotは、細胞内の利用可能なエネルギー量に応じて数日〜数週間のあいだ水環境を動き回りました。一方向に移動し、小球を押し出すことも可能であることが観察されました。デザインによっては、薬などの化学物質を送るために保管することができる小袋も装着が可能なことがわかりました。

ほぼ半分に切断されるとどうなるか調べるテストでは、自動的に自分自身をつなぎあわせ、軌道に戻ることまでできました。この種の「自発的な動作は、設計プロセス中にその動作が明示的に選択されない限り、人工材料で作られた機械からは期待できません」と著者は論文で示しています。

秘める可能性は無限大

ユタ大学の助教授で生物学者であるTara Deans氏は、今回の研究が生物の力を借りながら「生きている機械」を作りあげたことから成果が重要なものになったと、研究に関与していない立場で評価しています。

彼女は、指定された時間やボットが劣化する環境を感知したときに、科学者が生物分解する指示をエンコードもできるため、プログラム可能な生物の可能性に特に興奮しているといいます。また、このように「できることのリストは無限に続く」米Gizmodoの取材で明かしました。

いっぽう、人工的に新たな生き物を構築することは恐ろしく感じる部分もあるかもしれません。生物学的発明がより高度になるにつれて、こうした生物学的発明を監視・規制する必要があることは改めて指摘するまでもないでしょう。

Deans氏は「これは概念実証論文であり、主要なアプリケーションに到達するためにはまだやるべきことが多くあります」と述べたほか、この研究については「フランケンシュタインの話とは無関係ですね」とジョークまじりのコメントも残しています。

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