結婚22年。妻には殴られ罵られ、2人の子どもたちに翻弄され、他人の成功に嫉妬する日々──それでも、夫として父として男として生きていかねばならない!
『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、『喜劇 愛妻物語』で東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。2023年のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本も担当。いま、監督・脚本家として大注目の足立 紳の哀しくもおかしい日常。
【過去の日記はコチラ】
朝の10時から妻と共に打ち合わせに向かう。打ち合わせ後、私は予約していた歯医者へ。私は歯医者が大の苦手で、水をあてる超音波のクリーニングに毎度のこと発狂しそうになる。
その後、息子の習い事のお迎えに行き、そのまま同じ施設内にあるプールに行く。近ごろ毎週月曜日は習い事のあとに一緒にプールに行くことがルーティンになっている。
200メートル以上泳げたらマンガを1冊買ってあげることにしているのだ。物で釣るようなことはよくないのかもしれないと思いつつも、私はすぐにそうしてしまう。ちなみに自分は子どものころにご褒美で釣られていたというわけではないのだが……。
それにしても息子はとにかく水が好きで、海やプールに何時間でもいる。今日、息子がプールでプカリと浮いていたら、係のお兄さんが突然声をかけてきた。その浮き方のバランスがハンパなく素晴らしいとのこと。「こんな浮き方ができるのは100人に1人ですよ!」「スイミングやってないなんてもったいない!」と言われた。が、息子はスイミングはやっていた。なかなかのスピードでクラスをあげていき、やはり向いているのかと思ったが、一度きつめに叱られて、絶対に行かないとなってしまった。
息子は大きな声が極度に苦手だ。どんなに説得しても、もうスイミング教室には行ってくれなかった。もしかしたら、息子が自信が持てるものになったのかもしれないと思うとつくづく残念だ。しかし、もぐることも大好きなので海女さんとか向いているのではないかと私は思っている。
朝からひたすらに台本を書きまくる。一応、今月いっぱいを目処になかなかな分量の台本を書かねばならないのだが、今月は地方行きも何度かあるから不安だ。おまけにバーチャル高校野球で地方大会の観戦にもかなり時間をとられるだろう。こう見えても私は『野球小僧(現・野球太郎)』という雑誌で鳥取県のページを数年間書き続けていたことがあるくらいには高校野球が好きなのだ。
妻と息子は午後からI医院で40分ほどの療育。これがどのくらいの効果があるのかまったくわからないが、何もしないよりはマシだと思っている。すでに何もしていないわけではないが。
音楽の授業でリコーダーのテストのある息子が朝からグズグズしている。私も歌や楽器のテストが死ぬほど苦手だった。白紙で出そうが座っていればいい4教科のテストと違い、実技は晒し者になってしまう辛さがある。結局「逃げていてもいいことはない」などという、自分でもよくわからない言葉でどうにか息子を送り出す。が、行ったとてテストを受けたかどうかはわからない。
今日もひたすらに台本を書く。
夜、シナリオ講座の講師。以前は生徒さんとよく飲み会などしていたが、コロナもあり、また講師から飲み会に誘うことはハラスメントになっていく可能性もあり、そういうことはまったくなくなった。せっかく出会ったので教室という空間でなく、もう少しくだけた空間で皆さんと無駄話でもしたいなあと思う気持ちもあるのが正直なところではあるが。
息子、今日は学校を休むというので池袋に『ルックバック』(監督:押山清高)を一緒に観に行く。その後、安い寿司屋でランチをして帰り、私は台本書き。息子はゲーム。夜、妻がいなかったので、娘と息子と総菜祭りをした。妻にバレるとまずいちょっとばかり高いスーパーで。
※妻より
ゴミでバレてます。いうなれば江古田の成城石井です。高い。
午前中から自宅で編集作業。5月に大分で撮影していた作品だが、タイトルの入れどころがなかなか決まらない。
妻と息子、午前中から中学の学校見学へ。私は午前中は台本を書き、午後は娘と『フェラーリ』(監督:マイケル・マン)へ。映画を観る前から日常生活のいろんな不安事が浮かんできてしまい、ほとんど映画に集中できず。
午前中、ひたすらに台本を書く。午後、別企画のシナリオライターと打ち合わせ。普段は自分がライターとして打ち合わせに参加することが多いのだが、そのときの私はほとんど受け身の体勢だ。監督としてライターと打ち合わせをするときは、監督の自分が引っ張らなければいけないのかもしれないという変な先入観もあるのだが、元来、人を引っ張ることは苦手なのでそうはなっていない。ただ、シナリオライターは待ってもらう人、監督は待つ人だから、怠け者の私は脚本作りに関しては監督のほうが向いているかもしれないと言うと、監督の方々に怒られそうだ。
ひたすら台本を書き、合間に近所の銭湯でサウナ。台本を書く合間に行く銭湯・サウナは今の私にとって本当に至福の時間だ。夜、出版社の方々とオンラインで打ち合わせ。来年に出版することになりそうな書籍のこと。
朝から自宅で編集作業。昼飯はインドカレーを食し、途中、編集作業を抜けて15時半からスクールカウンセラーに行き、息子の話をする。スクールカウンセラーの方とはいつも笑いながら息子の話をしているので、前向きな気分で話し終われる。
帰宅したら息子も学校から帰っていた。が、なんだか少し様子がおかしい。いつも編集のHさんにまとわりついているのに、今日は自室から出てこない。しかし、編集の続きもあるのでやっていると、妻の携帯に息子の担任の先生から電話。どうやら修学旅行の班決めで少しトラブルがあった模様。
息子の学校は基本的に生徒に決めさせるという自主的な体制をとっているからトラブルは起こる(これは娘の時代も大いに揉めていた)。班が決まらない子も当然出て来る。クジで決めてくんねえかな……と思ったりするが、それはそれでトラブルも起きたりするのかもしれない。
※妻より
ママ友の学校は子どもたちに「友達になってみたい人、一緒の班になりたい人を2人書く」というアンケートを事前に取り、それを踏まえて担任が班を決めるという方法らしいのです。担任はクラスの状況もわかっているし、先生が決めた班だとあぶれる子が出ないのでそれがよいなと思って、去年も今年も年度初めの校長と担任との面談でその旨を伝えていましたが、結局去年も今年も生徒が班決めをする形になってしまい大いに揉めました。自主性を重んじるのも素晴らしいですが、傷つく生徒もいます。時に傷つくことも人生にとっては悪くない気もしますが、不必要な傷つくのはなるべく減らしたいのですが、難しいです。
結局、脳調を崩した息子は塾にも行けなかった。あまりに脳調が悪いので、妻と外に出る。こういうとき距離をとったほうが息子にも親にもいいのだ。近くにいれば根掘り葉掘り聞きたくなってしまい、さらに息子の脳調を悪くしてしまいかねないのだ。
帰宅後、少し落ち着いた息子と話す。負の感情をうまく吐き出せるようになって欲しいと思うが、大人でもそれは難しい。私もうまく吐き出せず、吐き出し方で妻を怒らせてしまうことがある。
本日は台本まったく進まず。これは7月いっぱいは無理な気がしてきた……。
朝、品川駅で武 正晴監督と合流して名古屋へ。『百元の恋』のトークイベントが名古屋のミッドランドスクエアであるのだ。名古屋駅で企画してくださった松岡ひとみさんと合流。
武監督とはいろんな作品でいろんな場所に一緒に行ったが、名古屋は初めてだ。武監督の地元である。いろんな場所の思い出話など聞きながら劇場へ。
トークイベントは大勢のお客様が来てくださり、時間も45分、松岡さんの愉快な司会ぶりもあって大変盛り上がるものだった。夜は武監督と松岡さんとで、武監督の同級生の方が営んでらっしゃる「おばんざい La Vie」へ。武監督の同級生の方々も大勢いらしていた。
武監督が名古屋でイベントがあるとこうして同級生が集まるようで、その方々とのふざけた会話の中で見せる幸せそうな表情というのは、やはり小中高の同級生というものは特別だよなあと思わせるものだった。
そして、お店の料理はなにもかも驚くほど美味しく、私は食べすぎた上にお土産にまでしていただいた。同級生の方の中にはプロ級の手品をできる方もいらして、手品好きの私としてはとても楽しい時間だった。そのまま宿泊したかったが、明日の朝から子どもの行事があるために最終の新幹線で帰京した。
雨のため子どもの行事が中止。なので、娘と神宮球場へ高校野球を観に行く。第1試合の帝京対淑徳巣鴨、第2試合の堀越対都立城東の2試合。堀越対都立城東は6対9で城東が勝ったが激戦で面白かった。その間に娘はうどんとカレーを食った。
私は暑さと湿気で熱中症気味になり、フラフラしながらの観戦。そのままフラフラしながら大江戸線国立競技場駅へと向かったが、ボーっとして道に迷い、娘からは「迷わないでよ」と言われた。家に戻って熱中症気味の頭で台本を書く。明日から鳥取に行くので少しでも進めねば。
※妻より
そんなにフラフラになるならこの暑い中に球場行くなよ、とも思いますし、そんなに仕事が終わっていないなら朝からバーチャル甲子園見るなよ、まず仕事しろよ、そして夜は寝ろよ、と思いますが、絶対に助言は聞かないので、勝手にくたびれてなさい、と思います。
もう52歳なんだし、毎日「疲れた疲れた」と言ってマッサージで散財してくるなら、少しは自分で体調管理して欲しいです!! そのうちぶっ倒れるよ!
朝イチで鳥取へ。鳥取県知事と市区町村の方々とフィルムコミッションなどの打合せ。鳥取県もこれからロケ誘致にもっと積極的になろうという趣旨で、担当の方々の熱い気持ちを感じる。私もいつか鳥取で映画を撮りたい気持ちがあるから、この動きに乗せてもらえたらとの思いもある。もしかしたら数年後には、ロケ誘致で鳥取が盛り上がっているかもしれない。
夜、両親と飯を食い、その後いつもの同級生たちと合流して飲んだ。家に戻って少しだけ台本を書く。とにかく毎日書くことが大切と『鬼の筆』(春日太一・著)にも書いてあったので、意地で書く。
鳥取から戻る飛行機の道中で、いろいろと立て込み始めた仕事のことでテンパってしまい、妻に愚痴を吐くが、気づいたら口論になっていた。飛行機を降り、山手線に乗り、地下鉄に乗り、赤坂見附の鳥取県東京本部を目前にするまで口論は続き、本部に入ったとたんに2人とも何事もなかったかのように笑顔で行動する。
人間なんてそんなもんだろうと思っていたが、どうやらそうでもないらしく、もっと皆さん立派なようで、これからの世の中、大いに期待できるのではないかと思った。
本部の方々と少し話して、本部を出たとたんに私と妻は距離を置き帰路に着く。帰宅後、バーチャル高校野球にて私の推しの倉吉北高校対境港総合高校の試合を観る。ケンカしたおかげで2階にこもってゆっくり観ることができた。ケンカしていなかったら家事をしなければならない。ほんとに私はロクでもない。ウヒヒ。
※妻より
足立は愚痴があまりに多い! そしてしつこい! 自分の心配事、選択ミスによる雑務は全て私に丸投げして、人のせいにするから質が悪くて仕方ないのです。そして明らかに、高校野球の見過ぎで寝不足&仕事が捗らないイラつきをぶつけています。終わってます。
足立と異なり、どんなにムカついても、仕事に追われていても、私は不潔で、ものに溢れた我が家の家事と、情緒不安定な子どもたちのケアをしなければなりません。酒を飲まずにはおられません!
前日にケンカをしていたが、本日は『ふくすけ』を観劇ために妻と歌舞伎町へ。前から決まっていた予定だ。タイミングなんてだいたいこんなものだと思う。
どんなにケンカをしてもこうして観劇やら仕事で妻と一緒になるので、だったらケンカしないほうがマシなのだが、する。人間なんてそんなもんだろうと思っていたが、どうやらそうでもないらしく、もっと皆さん立派なようで、これからの世の中、大いに期待できるのではないかと思った。と、昨日も書いたこととまったく同じことを書きたい気分なのである、最近は。それで察していただきたいが、これで察しろというほうが無理なことは重々にわかっている。
その後妻は、ブルーバード劇場の森田真帆さんと娘がウロウロしている新大久保へ行き、私は息子の習い事を迎えに。夜、台本を書く。
午前中、台本を書く。12時には切り上げて、パソコンの前へ。本日は高校野球鳥取大会の準々決勝を13時から観なければならない。倉吉北高校が優勝候補の米子松陰高校とあたるのだ。だが、本日は15時から打ち合わせもあるからおそらく、というか絶対に最後まで見ることができないだろう。
しかも予定より30分遅れてプレイボール。30分ほど観て妻と家を出るも、スマホを手から離せず電車内でもずっと観ていた。妻にはメールの返信をしている振りをして。
3回を終わって予想に反して倉吉北高校1点リード。私はそのまま打ち合わせに突入。一度トイレに立ち途中経過を確認すると、雨で中断していたがまだリードしていた。
そして、打ち合わせ後にまたスマホを確認すると継続試合となっていた。これで明日の予定も狂うというものだ。といっても台本を書くだけだからその時間配分のことなのだが。打ち合わせ後、妻は学生時代の友人に会いに、私は家に戻って娘と息子に晩飯を作った。
倉吉北高校対米子松陰高校の継続試合をバーチャル高校野球で観戦。開始直後に追加点を入れてリードを広げるが、どうにも試合運びに安定感がなく、いつ追いつかれるか、もしくは大量失点してしまうのではと冷や冷やしながら観ていると、案の定、小刻みに相手に加点されて逆転される。しかし、逆転されたあとも1点差でなんとか食い下がるのが今年のチームは一味違う気がする。
祈るような気持ちで見つめていたが、結局4対5で敗れた。しかし1、2年生主体の若いチームなので秋季大会は期待できるのではないかと思う。
その後、台本を書こうと思ったが激闘の末に敗れたあとだとどうにも力が湧いてこない。以前の私は、スポーツに尋常でない肩入れをする人を心のどこかでバカにしていた。たとえばサッカーの日本代表に熱狂している観客を見ては、「彼らは、他人の人生に感動を求めている」などとブツクサ言っていたものだが、私だって同類であった。
夕方、息子が保育園友達と夏祭りへ。途中、雷豪雨の中、2人は全身ずぶ濡れで帰ってきた。100円でやった射的で、『NARUTO』のフィギュアを3個GETしたらしく、恐ろしいハイテンションだった。でも楽しそうで良かった。
娘も友達と足立区の花火大会に行ったが、雷豪雨で中止になったとのこと。結局いつものファミレスで夜遅くまで喋って帰宅。
朝からずっと家で編集作業。ちょっと外に出ると息苦しいくらい暑い。
朝から台本を書き、午後、近所の銭湯でサウナ。知り合いのプロデューサーにばったりと会う。この方もこの銭湯の常連で、何度目かのばったりだ。
朝から台本を書く。明日から大分県に行くので少しでも進めたい思いはあるが、うまく進まない。夜は18時半から人形町のシナリオ作家協会にてシナリオ講座があるので、気分転換に早めに人形町に行ってシナリオを書こうと思い14時くらいに行く。どれだけ早いのか。
だが、執筆向きの喫茶店を見つけられずドトールへ。あまり集中できず、マッサージにでも行こうと思い、目ぼしいお店をスマホで見つけてドトールを出て電話するもまったくつながらない。直接お店に行ったらすでにお店をたたんでいるようであった。クソ暑い中途方に暮れていると、この暑さの中で60歳くらいの女性の方がマッサージのチラシを配ってらっしゃったので、「今からいいですか?」と聞くと、なぜかかなり驚いた様子で「は、はい!」と言われて、お店について行った。別に普通のマッサージ屋さんだったのだが、今までのマッサージ人生でもっとも力のない方だったので、ほとんど触られただけという印象だった。だからあんなに驚いておられたのかもしれない。
結局、台本はほとんど進まず、シナリオ講座が終わって自宅の最寄り駅に戻ってきたら疲れ果てていて、いつものマッサージ屋さんに行った。
※妻より
あまりに計画性がなく不毛な動きに腹が立ちます。今、こんなに時間がなくて仕事が終わってないのに、一体どういう思考でこんな動きをしているのか……あ、思考が停止しているのか。
朝、5時に家を出て成田へ。国内に飛行機で移動するときに羽田でなく成田だった場合、もうそれだけでなぜかクタクタに疲れてしまう。
※妻より
でも、日暮里から特急に乗るから、結局45分位しか変わらないと思います。多分。
8時発の飛行機で大分へ。5月に豊後大野市で撮影していたのだが、そのときお世話になった方々と打ち上げをするためだ。10時前に大分空港着。映画学校時代の友人で、大分の現場でも制作部で参加してくれた太田さんが迎えに来てくれて、車で竹田市へ向かう。
川をそのままプールとしている中島公園に向かう。川で泳ぐ前に近くのラーメン屋で食事。湧き水がハンパなくきれいなようで、ご近所の方々が汲みにきておられる。私もグビグビ飲んでみたが冷たくて美味しい。この水が流れ込んでいる川で泳ぐのだ。
ラーメンを食べたあとにさっそく息子と太田さんと妻とで川に入るが、あまりに冷たくて入っていられない。しかしみんなガンガン泳いで遊んでいるので、私もヤケになって泳いでいたらなんとか慣れた。
ツルツルの石でできた水の滑り台を息子や太田さんと一緒にアホほど滑った。この川のプールは身体を芯から冷やしてくれる。これだけ暑くても、ここにいれば涼しいと感じるくらいだ。素晴らしい。
夕方、撮影地である豊後大野市に移動してホテルで一風呂浴びて、豊後大野市役所の皆さまと会食。なぜか高校野球の話などで盛り上がってしまうも、皆さん撮影がとても楽しかったとおっしゃっていただき感激だ。当たり前だが完成を楽しみにしておられる。面白い映画にせねば。
ホテルでは太田さんが我々の部屋に泊まり、妻が太田さんの部屋で1人ゆっくり寝るという形になった。もちろんそれは妻からの提案。というか、「太田さん、私たちの部屋で寝てください。私、1人で寝たいんで」。
※妻より
だって、足立のいびきが本当にうるさくて眠れないんですもの……。最近、眠りが本当に浅いので、足立のいびきに起こされてその後眠れなくなると、この暑さの中死にそうになるんです……。
本日は別府に移動。ホテルソラージュのプールで遊ぶ。ここでも息子はスライダーを狂ったようにやる。
プールは海にも面していて、途中から海水浴。なんという名前の海なのか知らないが(糸ヶ浜でした。by.妻)、これでもかってくらいの遠浅だ。行けども行けども行けども深さは臍あたりまでにしかならない。息子と一緒にかなり遠くまで行った。このままどこまでも行ってしまいたい気分だった。
浜に戻ると別府の森田真帆さん、ヒロキ君も来ていた。真帆さんと妻はそのままホテルの温泉に行き、私とヒロキ君と太田さんは再びプールへ。息子はヒロキ君のことが大好きでロックオンしてまたもスライダー三昧。その後に私たちも温泉に行った。素晴らしきオーシャンビュー絶景の露天風呂。
夜、ブルーバード劇場に移動して『YOLO 百元の恋』の舞台挨拶。大勢のお客様に来ていただき感謝。
上映中、息子はブルーバード劇場の実紀さんとお祭りに行く予定だったが、ゲリラ豪雨で祭りが中止になってしまい、お散歩へ。人混みと大きな音が苦手で、突然不安スイッチが入ってしまう息子がうまく対応できるだろうかと心配だったが、むしろ我々口うるさい親がいないほうが良かったのか、「ようしゃべってくれたよ」と実紀さんから聞いてホッとした。ちゃっかりゲームを買ってもらっていた。ありがとうございます。息子は少し自信が出たのか、舞台挨拶後、売店で本の即売会も手伝った。
その後は今日来ていただいたお客様やブルーバード劇場の実紀さんたちも一緒に20人くらいの人が集まって飲み会。ブルーバード劇場で舞台挨拶をすると、その後にお客様と一緒に飲みながら映画の話やいろんな話ができるのがめっちゃ楽しい。深夜、真帆さんおススメのマッサージに連れて行ってもらいマッサージを受けながら5分で撃沈。
朝、別府の駅前市場で好物の助六弁当ととり天を買っていたら、ヒロキ君とばったり会う。ホラー映画のTシャツを持ってきてくれて、息子大喜び。
太田さんに大分空港まで送ってもらい帰京。大分滞在中も少しでも台本を書けたらと思って一応パソコンも持って行っていたが案の定書かなかった。というか書けなった。14時には住処の駅についたのでそのまま喫茶店に直行して書きまくる。俺、真面目だなと少し思ったが休んだのだから当たり前だった。
朝から夕方までひたすら喫茶店で台本を書く。夕方、息子と『温泉シャーク』(監督:井上森人)を見てハンバーガー食って帰る。
午前中、息子のレンタル先生。受験する中学も絞れてきたので特訓なのだ。それにしても、結局は息子のようなタイプに合いそうな中学でも最終的には学力で判断。受験者が多いから仕方がないが、厳しい戦いになりそうだなあ……。
夜、娘が明日から学校の研修旅行のようなものでオーストラリアに行くのだが、やはり準備が何もできず妻がイライラしながら手伝う。うちの子たちが準備ができないのは私に似たからで、流れ弾がバンバン飛んでくる。
朝から娘と妻の怒声。オーストラリア準備のことで大ゲンカ。準備が苦手な人間とそのフォローに激しいストレスを感じてしまう人間の最悪の取り合わせ。ほっとけという人もいるが、ほっといたことなど数百回はある。行くのに金もかかっているし、さすがにこれのドタキャンはあり得ないので妻と娘はケンカしながらなんとか準備をした。しかも現地で使うグロ−バルWiFi受取があるので、妻は娘を空港まで送らねばならない。どうしてこうなってしまうのか……。
が、私も怠けているわけではなく、夕方から息子の保育園時代の友達が3人泊りにくるのでその接待をせねばならない。
激しい夕立の中、友達たちがやって来て、飯を作り、銭湯に行ったら銭湯が臨時休業で、仕方なく我が家の狭い風呂に入ってから花火。書くと2行だがこの間、3時間はある。
蒲団を敷いてやり、遊んでいる子どもたちを見ていると猛烈に眠くなる。22時ごろ子どもたちよりも先に寝ようと思って寝室に行こうとしたら不機嫌極まりなく帰ってきた妻が「花火の片付け方が悪い!」と言ってくる。ちゃんとバケツに入れておいたのだが、それが汚いとのこと。完全に八つ当たりだと思うが、きっと娘を送る道中にもいろいろあったのだろうと思うからグッと我慢した。
今月締め切りの台本はやはり書けなかった。撮影は9月。頑張らなければ。
【過去の日記はコチラ】
【プロフィール】
1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作『百円の恋』が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。ほか脚本担当作品として第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品『佐知とマユ』(第4回「市川森一脚本賞」受賞)『嘘八百』『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』『こどもしょくどう』など多数。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。監督、原作、脚本を手がける『喜劇 愛妻物語』が東京国際映画祭最優秀脚本賞。最新作は『雑魚どもよ、大志を抱け!』。著書に『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』などがある。最新刊は『春よ来い、マジで来い』(双葉社・刊)。