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池袋のガチ中華、神奈川の東南アジアごはん、日本にいながら楽しむ異国飯〜注目の新書紹介〜

  • 2022年5月22日
  • GetNavi web

こんにちは、書評家の卯月 鮎です。私は横浜に用事があると、コロナ前は遠回りしてでもご飯は中華街に食べに行くことが多かったです。一番のオススメは中華粥。体も温まって幸せな気分になるし、満腹になっても胃もたれせずにヘルシー。なかなか中華街以外のところで食べられる機会が少ないので、隙あらば行ってしまいます(笑)。

日本人がまだ知らない異国飯の魅力

 

さて、今回紹介する新書は『移民時代の異国飯』(山谷 剛史・著/星海社新書)。世界各地から日本に移住してきた外国人が、主に同じ国の出身者に向けて開いている料理店や食材店の探訪記です。

 

著者の山谷 剛史さんは中国やアジアを専門とするITライター。バックパッカーとして各国を巡り歩いた経験を持ち、2002年から中国の雲南省昆明市を拠点にベトナム、タイ、インドなどを取材してきました。現在は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い日本に帰国中。著書に『中国のインターネット史』(星海社新書)、『新しい中国人』(ソフトバンク新書)などがあります。

山谷さんが、“異国飯”のとりこになったのは、東京・小岩を散歩していたとき。強烈なスパイスの香りを放つ南インド料理&食材店で、それまで見たことも聞いたこともない「カジャセット」という料理を食べてから。

 

カジャセットは柿の種と豆菓子とベビースターのようなものを混ぜ、きゅうりとニンジンスティックと肉をのせて、カレー風味にしたもの。とにかく歯ごたえがあり、満腹感とともにアゴが疲労でノックダウンしたとか。

 

知られざる異国街で飯を食う!

第2章は、私も水族館やナンジャタウンへ何度も遊びにいったことのある池袋です。ここ10年で一気に新興中華街としての色を強め、今では中国人も唸る本場の異国飯が食べられるそうです。

 

池袋駅西口・北を出て少し歩くとたくさんの中国料理店がひしめき、さながら中国の省都クラスの繁華街。迷ったら中国料理の店だけが集まるフードコートを選ぶ手もあると山谷さん。

 

日本の中国料理店は東北三省(遼寧省・吉林省・黒竜江省)の出身者が開いているケースが多く、本格料理を食べたいなら、ジャガイモ、ピーマン、ナスを炒めた「地三鮮(ディーサンシュン)」が定番メニューとのこと。まだまだ知らない中国料理があり、そうした一品に出会ったら旅行気分になれますよね。

 

異国の旅情感が出ているのは第3章。この章では、タイ人街でタイ料理が食べたくなった山谷さんが、情報を収集するべくまずは横浜・若葉町にある老舗タイマッサージ店へ向かいます。そこで、ベテランの高齢女性に「私についてきなさい。今日は祭りの日なんです。いろいろ食べられますよ」と言われ、「隠れたタイ寺院」に案内される……。神奈川県の愛川町には、中国料理、ベトナム料理をはじめ、タイ料理、スリランカ料理、ペルー料理、ブラジル料理などのエスニック料理店が多数並ぶというから驚きです。

 

そのほか、パブを改装した小岩の各国料理店、中古車ビジネスを手がけるパキスタン人のための大阪・西淀川のレストラン、庶民料理が食べられる愛知のブラジル料理店……。初心者向けの異国飯ガイドとして役立つ章もあれば、好奇心を刺激する潜入ルポのような章もあり、飽きさせない一冊となっています。

 

食がテーマですが、街の雰囲気や多様な国からきた人々とのコミュニケーションにも焦点が当たっていて、国内の話ながらワクワクする海外の旅行ガイドといった趣。

 

ちなみに池袋出身の山谷さんとしては、「池袋のチャイナタウン化に対しては、地元の人間として複雑な感情があるというのが本音」だそう。いろいろと難しい問題を抱えつつも、食の交流はお互いを知るための入口といえそうです。

 

 

【書籍紹介】

移民時代の異国飯

著者:山谷 剛史
発行:星海社

移民大国・日本でいま最も熱いグルメ「異国飯」を徹底ガイド!

今や世界4位の移民大国となった日本の、知る人ぞ知る最新の絶品グルメーーそれが「異国飯」。世界各国から日本に移住した外国人が、彼らの故郷の料理を日本各地で作っているのです。そんな外国料理屋で、見たことも聞いたこともない未知の絶品料理を驚きとともに味わうのは、これまでにないエキサイティングな食体験です。店にいる現地出身者との異文化コミュニケーションも刺激的で、日本にいながら海外旅行気分です。本書ではディープ中国、東南アジア、中東、南米とさまざまな国の料理を訪ね歩き、おいしいお店の探し方からオススメ料理、歴史や文化の背景までガイドしました。この本を手に、ぜひ異国飯をご堪能ください。

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【プロフィール】
卯月 鮎
書評家、ゲームコラムニスト。「S-Fマガジン」でファンタジー時評を連載中。文庫本の巻末解説なども手がける。ファンタジーを中心にSF、ミステリー、ノンフィクションなどジャンルを問わない本好き。

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