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乗り甲斐あり!「日本海ひすいライン」郷愁さそう鉄旅を堪能する【前編】

  • 2022年4月16日
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おもしろローカル線の旅81〜〜えちごトキめき鉄道・日本海ひすいライン(新潟県)その1〜〜

 

新幹線網の広がりにより旅が便利になった一方で、平行する在来線がJRの路線網から切り離され、多くが第三セクター鉄道となり大きく様相を変えている。えちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインもそんな路線の1つである。

 

この路線、北陸本線という幹線からローカル線になったものの、注目の「国鉄形観光急行」を走らせていることもあり、休日には多くの観光客で賑わう。

 

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【郷愁さそう鉄旅①】北陸本線として長い歴史を持つ路線

かつて滋賀県の米原駅と新潟県の直江津駅を結んだ北陸本線。日本海沿いを縦断する幹線ルートとして造られた。

 

北陸本線の歴史は古く、湖東地方から徐々に延ばされていく。北陸の敦賀駅までは1882(明治15)年3月10日、福井駅までは1896(明治29)年7月15日、石川県の金沢駅までは1898(明治31)年4月1日、1899(明治32)年3月20日に富山駅まで延ばされている。そこから直江津駅までの全通はかなりの時間がかかり、1913(大正13)年4月1日のこととなった。

↑日本海ひすいラインの有間川駅へ到着する直江津行きET122形気動車K7編成。同車両は「NIHONKAI STREAM」の愛称を持つ

 

北陸本線はかなりの難路をたどる。現在、巡ってみても、いくつかのポイントでその難路ぶりを見聞きできる。湖東側から見ると、まずは琵琶湖湖畔から福井県の敦賀駅に至るまではかなりの標高差がある。そのために、敦賀から琵琶湖沿岸へ向かう上り路線は、勾配を緩めるためにループ線が設けられている。

 

敦賀駅〜南今庄駅間には、現在、狭軌幅の路線で一番長い北陸トンネルが通っている。この区間は1962(昭和37)年のトンネル開通までは、曲がりくねった旧線区間だった。

 

石川県、富山県の県境には倶利伽羅峠という険しい峠がある。富山県から新潟県に至る区間はさらに険しさを増す。まず、新潟県の最西端部分にある親不知(おやしらず)付近。そして糸魚川と直江津の間も海岸部は険しい。そうした新潟県の西部にある難路は、線路の付け替え、また長大なトンネルを掘って複線化することにより、現在のようなスムーズな列車の運行が可能になった。

↑親不知付近を紹介した戦前絵葉書。左に名勝「投げ岩」が見える。現在、景勝地らしい面影は無く海上を北陸自動車道の高架橋が通る

 

ルートが険しいということは、景色が変化に富み、美しいということにほかならない。日本海ひすいラインは、そうした旧北陸本線のなかでも格別に美しい海岸線区間を通っている。

 

【郷愁さそう鉄旅②】長大トンネル+美しい海景色が連なる

ここで日本海ひすいラインの概要を見ておこう。

路線と距離 えちごトキめき鉄道・日本海ひすいライン/市振駅(いちぶりえき)〜直江津駅59.3km
全線複線・交直流電化
開業 日本海ひすいラインの区間では、1911(明治44)年7月1日に直江津駅〜名立駅間が開業、以降、泊駅〜青海駅間、名立駅〜糸魚川駅間が延伸開業。1913(大正2)年4月1日に青海駅〜糸魚川駅間が開業し、全通。
駅数 13駅(起終点駅を含む)

 

北陸本線は2015(平成27)年3月14日の北陸新幹線の金沢駅延伸に合わせて、JR西日本の路線から経営分離、金沢駅〜倶利伽羅駅(くりからえき)間は「IRいしかわ鉄道」、倶利伽羅駅〜市振駅間が「あいの風とやま鉄道」、とそれぞれ第三セクター路線に変わっている。

 

新潟県内の市振駅〜直江津駅間が、「えちごトキめき鉄道」に引き継がれた。路線名の日本海ひすいラインは、株主アンケートをもとに取締役会に提案された名称で、糸魚川付近が特産のヒスイと、路線が沿って走る日本海のイメージにちなみ名付けられた

 

【郷愁さそう鉄旅③】2010年代まで長距離列車の宝庫だった

2015(平成27)年の北陸新幹線延伸で誕生した日本海ひすいラインだが、旧北陸本線時代といっても、今から7年前とそれほど古くないので、よく覚えている方も多いと思う。

 

日本海沿いの幹線ルートだっただけに、長距離列車も多く走り抜けた。まずは少し前に走った長距離列車が彩った華やかな時代を振り返ってみよう。

↑2010年代前半に走っていた4列車。寝台列車や在来線特急などが走る華やかな区間でもあった

 

旧北陸本線だったころの市振駅〜直江津駅間は、近畿と新潟・東北地方を直接結ぶ経路でもあり、首都圏と北陸を結ぶメインルートでもあった。

 

例えば、大阪駅と青森駅を結んだ寝台特急「日本海」。電気機関車が牽引するブルートレイン寝台列車であり、個室のない昔ながらのプルマン式と呼ばれる2段寝台を連ねた客車列車だった。大阪駅と新潟駅を結んだ寝台急行「きたぐに」は、寝台電車583系の最後の定期運用の列車で、大量輸送時代に生まれた電車で3段ベッドも用意されていた。

 

日中に走る特急「はくたか」は、越後湯沢駅と北陸地方を結んだ特急列車で、首都圏の利用者が多かった。また特急「北越」は新潟と北陸地方を結んだ特急列車で、交直両用特急形電車485系の晩年の姿が楽しめた。

↑有間川駅付近を走る「トワイライトエクスプレス」。牽引はEF81形(左上)。深緑色の機関車と客車が日本海沿いで絵になった

 

旧北陸本線を走った最も華やかな列車といえば、寝台特急「トワイライトエクスプレス」ではないだろうか。大阪駅と札幌駅を1昼夜かけて走った長距離列車で、現在の日本海ひすいラインの沿線で、下り列車は夕暮れが、上り列車は朝の海景色が楽しめた。市振駅〜直江津駅間は同列車が走る路線の中で、最も魅力ある区間であるといえよう。

 

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【郷愁さそう鉄旅④】今走る車両もなかなか味わいがある

ここからは現在の車両たちを紹介しよう。バリエーションは、以前に比べて減ったものの、今も乗りたくなる車両が揃っている。

↑日本海ひすいラインの普通列車に使われるET122形気動車。前面や側面には日本海の波をイメージしたデザインが入る

 

同線を走る普通列車用の車両はET122形気動車である。電車ではなく、気動車が使われている。電化区間なのにどうして気動車が使われるのだろう。

 

日本海ひすいラインは、電化されているのだが、交流と直流との2つの方式で電化されている。交直流の電化方式は、えちご押上ひすい海岸駅と梶屋敷駅間のデッドセクション区間で切り替わる。通して走る場合には、電車ならば交直流への対応が必要となる。交直両用の電車を新造するとなると高価になる。そこで第三セクター鉄道のえちごトキめき鉄道に変わる時に、ET122形気動車を取り入れたのだった。

 

日本海ひすいラインでは、朝夕にはこのET122形気動車を2両連結で使用、日中は1両単行で運行されることが多い。現在ET122形気動車は8両が導入されている。そのうちK7とK8編成はイベント列車「NIHONKAI STREAM」と、「3CITIES FLOWERS」で、座席は対面式ボックスシートになっている。

 

ET122形のK6編成までは横一列に1人+2人用の転換クロスシートがならぶ構造で、入口付近にはロングシートがあり車内の趣がやや異なる。

↑ET122形気動車のK8編成「3CITIES FLOWERS」。車体には花のラッピング塗装が施されている

 

ET122形気動車はもう1タイプ1000番台が導入されている。2両編成の観光列車で、「えちごトキめきリゾート雪月花」という愛称が付けられている。車体は銀朱色と呼ばれる鮮やかな色で塗られ目立つ。

 

おもに週末を中心に日本海ひすいラインの直江津駅〜糸魚川駅間と、妙高はねうまラインの直江津駅〜妙高高原駅間を往復している。大きなガラス窓からは日本海や、妙高高原の美しい車窓風景を楽しみながら食事が楽しめる。

↑ET122形1000番台「えちごトキめきリゾート雪月花」は車体が一回り大きく、ガラス窓は可能なかぎり大きく造られている

 

えちごトキめき鉄道の車両以外にも、日本海ひすいラインには、あいの風とやま鉄道の521系車両が乗り入れ、市振駅〜糸魚川駅間1往復が走っている。

 

【郷愁さそう鉄旅⑤】「国鉄形観光急行」が同線最大の売りに

日本海ひすいラインを走る車両の中で、一番注目される存在なのが有料の「国鉄形観光急行」として走る455系、413系3両編成だろう。

 

国鉄時代に北陸本線用に導入された交直流近郊形電車が413系。また交直流急行形電車として導入されたのが455系である。えちごトキめき鉄道が導入した両形式は、元はJR西日本の車両だったが、七尾線に新車両を導入するにあたって、引退となった。

 

その車両を改めてメンテナンスした上で、色も国鉄急行色と呼ばれる2色で塗られた。413系2両に、市振駅側に急行列車用の455系(クハ455)1両を連結し、前後で異なる形となっている。

↑455系・413系を組み合わせた「国鉄形観光急行」。455系の正面にヘッドマークを付けて運行する。「急行」という表示が郷愁をさそう

 

運行は土日祝日で日本海ひすいラインの路線内では、直江津駅〜市振駅間を1往復、直江津駅〜糸魚川駅間を1往復するダイヤで運行される。今年の5月2週目からは一部金曜日も、日本海ひすいラインのみでの運行が行われる予定だ。

↑直江津駅へ戻るときには413系を先頭に走る。こちらは正面上の案内表示部分が埋め込まれた姿となっている

 

角張ったスタイルが特長の国鉄形電車のスタイルで、今、改めて見ると独特の風貌が郷愁をさそい、人気となっていることがよく理解できる。日本海ひすいラインにも近い、新潟地区の国鉄形近郊電車115系の運用がこの春にほぼ終了した。JR東日本に残った最後の115系だった。こちらが引退した影響もあり、同じ新潟県内のえちごトキめき鉄道の455系、413系が、ますます注目を浴びることになりそうだ。

 

【郷愁さそう鉄旅⑥】赤・青・銀がま……貨物列車も見逃せない

ここからは貨物列車に目を転じたい。同線を走る旅客列車は短い区間を走る普通列車がメインとなったが、通過する貨物列車は長距離を走る列車が多い。札幌貨物ターミナル駅〜福岡貨物ターミナル駅を結ぶ日本で最も長い距離を走る貨物列車も、日本海ひすいラインを通る。貨物列車の運用では今も、旧北陸本線、信越本線、羽越本線という路線は統括して「日本海縦貫線」と呼ばれる。

 

このあたりは旧北陸本線当時のままなのだ。とはいっても、変わったことがある。それは牽引する電気機関車である。

↑旧北陸本線時代には、国鉄形電気機関車EF81が同線の主力だった。すでに全車が撤退、一部が九州地区へ移っている

 

日本海縦貫線は直流電化区間と、交流50Hzと交流60Hzという電源の区間がある。この3電源に対応した日本海縦貫線用の電気機関車として開発されたのがEF81形式交直流電気機関車だった。それまでの交直流電気機関車にくらべて優れた車両で、貨物用のみならず、旅客用にも使われたことは知られているとおりだ。

 

長年、日本海縦貫線で活躍したEF81だったが老朽化もあり、また後継のEF510形式交直流電気機関車が増備されたこともあり、EF81は長年配置されていた富山機関区から、九州の門司機関区へ転出が完了している。

 

代わって日本海縦貫線のエースとなっているのがEF510形式交直流電気機関車だ。現在、EF510には3タイプが使われている。JR貨物が導入した赤い車体が基本番台で、エコパワーRED THUNDER(レッドサンダー)という愛称が付けられている。

↑日本海縦貫線を走る3タイプのEF510形式交直流電気機関車。右上から基本番台、500番台の銀色塗装車、左は青色塗装車

 

そのほかに日本海縦貫線のEF510には銀色と、青色塗装の機関車が走る。どちらもJR東日本が導入した500番台で、銀色塗装が寝台特急「カシオペア」用で2両、青色が寝台特急「北斗星」用として13両が造られた。2009(平成21)年から新造され、寝台列車と、常磐線などの貨物列車牽引の受託業務に使われたが、その後に寝台列車は消滅、また貨物の受託業務も終了したことにより、全車両がJR貨物に引き継がれ、富山機関区へ移り、日本海縦貫線の貨物列車の牽引にあたっている。

 

500番台は、わずかな期間だったが寝台列車の牽引という栄光を持つ車両であり、今は牽引する車両が貨車に変わっているものの、郷愁をさそう姿を日本海沿いで見かけることができる。機関車はSL時代からの名残で〝かま〟と呼ばれるが、日本海ひすいラインでは赤がま・青がま・銀がまと3色のEF510が牽引する貨物列車が走り、なかなか賑やかになっている。

 

*日本海ひすいラインの「郷愁さそう鉄旅」は次週の後編に続きます。

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