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「家庭菜園を諦める人をゼロに」「YouTube NextUp 2020」ファイナリスト『Daisuke Miyazaki』さんの新たな野望とは?

  • 2021年4月9日
  • GetNavi web

次世代のYouTubeクリエイターを発掘、支援を目的にしたプログラム「YouTube NextUp 2020」のファイナリスト12 組が、昨年末決定した。GetNavi webではこの12組にインタビューを実施。新しい世代のYouTubeクリエイターは、YouTubeを、そして動画コンテンツをどう変えていくのか? 連載形式でお伝えしていく。今回は、ファイナリストのなかから「趣味の園芸・家庭菜園」をテーマに農業系チャンネル『Daisuke Miyazaki』を制作する宮崎大輔さんに、YouTubeを始めたきっかけや動画のこだわり、活動の目的などを伺った。

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:猪口貴裕)

 

【Daisuke Miyazaki】

「家庭菜園を諦める人をゼロに」を目標に、家庭菜園をしている人向けに野菜の育て方を紹介するチャンネル

 

↑宮崎大輔さん

 

ブロガーからYouTuberへ

――「株式会社イチゴテック」の代表取締役を務める宮崎さんはイチゴ農業コンサルタントとして、世界各地で農業支援の仕事に携わっているそうですが、YouTubeチャンネルを始めたきっかけから教えていただけますか。

 

宮崎 私は大学生のころからブログを始めて、長くブロガーとして情報発信していたんですが、徐々にブログでは広告収入が厳しいと、ブロガーからYouTuberに転身する人が出始めたんです。その流れに乗って、私も2015年にYouTubeチャンネルを開設したんですが、当初は全然動画をアップしていませんでした。2018年6月に、たまたま自分の本業である農業系の動画をアップしたら、視聴者の反応が良かったんです。それから本格的にYouTubeチャンネルに動画をアップし始めました。

 

――農業関係者がインターネットで発信すること自体が珍しいですよね。

 

宮崎 仰る通りで、農業関係者はインターネットを重視していない方が多いので、非常に差別化しやすい領域かなと思っています。私はブロガー時代の経験がありますので、インターネットでの情報発信は自分の強みというのもあります。

 

――現在のスタイルに転換した当初は、宮崎さんの専門分野であるイチゴを育てる動画が中心でしたが、次第に家庭菜園や観葉植物の育て方、100均グッズの有効活用法など、初心者でも気軽に見られる動画が増えていきます。

 

 

宮崎 当初は、「イチゴ栽培に失敗する人をゼロにする」みたいな目標を掲げて、イチゴに特化した動画をたくさん出していたんです。ただ投稿していくなかで、イチゴだけじゃないよねと私自身も思いましたし、視聴者の方からもそういうメッセージやコメントをいただいたんです。そこでイチゴから少し範囲を広げて、トマトやキュウリ、ピーマンなどの家庭菜園に目を向けて、「家庭菜園を諦める人をゼロにする」という目標に変えて取り組むようになりました。もともとイチゴ以外にも、いろいろな野菜の栽培を教える仕事も国内外でやっていましたし、実家が長野県の果樹園なので、子どものころから野菜を育てる環境にいたんですよね。

 

――本格的な農業と家庭菜園では育て方の違いもあると思うのですが、動画制作のために改めて研究などはなさったんですか。

 

宮崎 研究というほどではないですけれど、もちろん全て自分で実践しました。あと過去に青年海外協力隊として海外で農業を教えていたんですけれど、それも現地で学校菜園や家庭菜園を始めてもらうためのプロジェクトだったんです。なので、本業は大規模農家向けをメインの仕事として取り扱っているんですけれども、家庭菜園にも繋がりはあったんですよね。

 

――宮崎さんの動画は論理的で、素人にも分かりやすい内容ですが、過去の経験が生かされていたんですね。

 

宮崎 大きなポイントとして、提案する栽培法には科学的根拠があることを視聴者に伝えたいんですが、予備知識がなくても理解できるように、できるだけ分かりやすく解説することを意識しています。

 

――海外で日本語が通じない人に教えるときも、かみ砕いて説明しないと伝わらないことも多いかと思いますが、それが宮崎さんの動画にも反映されているのではないでしょうか。

 

宮崎 確かにスペイン語や英語で説明するとなると、すごく難しくなるので、なるべく分かりやすい言葉で訳します。できるだけ簡単な言葉を使うとか、絵や図、グラフなどを活用するとか、たとえ話を交えるとか、そういった面は海外の経験が活きているかもしれないですね。

 

チームとしてチャンネル運営をしていきたい

――動画の構成や編集で工夫している点はどこでしょうか?

 

宮崎 正直、初期の動画は単純にカメラの動画ボタンを押して撮っただけみたいなレベルでクオリティも低かったんです。今でも動画の構成を考えたり、編集したりするのは苦手な分野なんですが、その中でも心がけているのは、撮影を開始してから実際に実を収穫できるまでを1本の動画でお伝えすることです。そうすると撮影期間が約3か月かかる場合もあるんですが、それを時期に応じて約3分ずつで繋ぎ合わせて、15分の動画にするみたいなことを理想としています。

ただ、それをやっていると旬の時期が過ぎてしまって、その動画で解説した栽培を実践できるのは翌年になってしまうんです。なので場合によっては、最初に種を撒いたところだけ見せて、「これから一緒に育てていきましょう」という導入から始まり、「芽が出た」「花が咲いた」「収穫」と、それぞれの工程を1本ずつの動画にして、その時期に間に合うように公開する場合もあります。

 

――視聴者の声を参考にして、動画を制作することもあるんですか?

 

宮崎 あります。「この野菜の育て方を紹介してください」という具体的なリクエストを動画にすることもありますし、同じような質問が幾つも届いたら潜在的に悩んでいる方が数百人規模でいると思うので、それを解決する動画を制作します。具体例として、イチゴは本来、春に花を咲かせるんですけれど、秋冬に咲いてしまうこともあって、「どうしたらいいですか?」という質問が多かったんです。ただ住んでいる地域や、育てている方が何を望んでいるかによって解決策も違うので、4つのケースに分けて動画をアップしました。これはイチゴの育て方みたいな本でも取り扱われないテーマなので、YouTubeチャンネルならではの悩みのキャッチアップになったのかなと思います。

 

――動画制作を通じて、改めて自分の中で整理される部分もありますか?

 

宮崎 すごくありますね。プロの農家が相手だったら、お金がかかる対策方法でも将来的な収入に繋がるからいいんですけど、家庭菜園は趣味なのでコスパは抑えたいですよね。だったら、どう工夫すればいいのかを考えるのは、自分自身の勉強にもなります。初心者の方を意識するとアプローチも変わりますしね。具体例でいうと、100均ショップで手に入るものを使うとか、野菜や果物の切れ端を育てる“再生栽培”は、野菜の種から育てた経験のない初心者にとっては入りやすいので、そういう切り口も大切にしています。

 

 

――宮崎さんのチャンネルは、どういう視聴者層が多いんでしょうか。

 

宮崎 年齢層としては高めで、仕事を退職されて家庭菜園をやる方が多い印象です。ただ昨年は新型コロナウイルスによる外出自粛の影響もあって、家庭菜園を始める若い方も増えたんです。そのおかげもあって、私のYouTubeチャンネルも登録者数が一気に増えました。そんな状況で今回、『YouTube NextUp 2020』のクリエイターキャンプに参加して、いろいろ教えていただく中で、仕事を持つ若い年齢層の方にも植物を育てる楽しさや面白さを伝えられるような動画を増やしていきたいなと思いました。たとえば冬の時期だったら、家庭菜園を始めるには向かないので、観葉植物をテーマにした動画の割合も増やしていきたいです。

 

――家庭菜園は年齢を選ばないので、小学生も参考になりますよね。

 

宮崎 実際、小学生のお子さんを持つ親御さんや、孫が小学生ぐらいの年齢である方からメッセージをもらうことはあります。あと小学校の先生から、「動画の内容を生物の授業で取り入れて上手くいきました」「学校菜園で植物を育てるときに勉強させてもらっています」といった声もいただきます。

 

――本業とYouTuberとしての活動は、どのようにバランスをとっていらっしゃるんですか?

 

宮崎 今までだとコンサル業を最優先に考えて、空いた時間に動画を制作しようというスタイルでした。コンサル業とYouTubeは分けて考えて、YouTubeを仕事に結びつけようとは一切考えずに、家庭菜園や家庭で観葉植物を育てている人に向けて動画を作っていたんです。ところが、私のYouTubeチャンネルを観ていただいたのがきっかけで、コンサル業の仕事を依頼してくれるケースもあったんですね。

それを考えると、いろいろな可能性がありますし、今まではほぼ一人で動画制作をしていたんですけど、これからは仲間を作って、チームとしてチャンネル運営をしていきたいなと。コンサル業が忙しいからYouTubeチャンネルはストップするということがない仕組み作りを今から整えていきたいなと思っています。そういったチャンネルの戦略は、クリエイターキャンプでの学びも影響していますね。

 

動画は過去・現在・未来を伝えることが大切

――『YouTube NextUp 2020』も「学び」を大きなテーマとして掲げています。宮崎さんは大学院の修士課程を修了しているそうですが、学びについて、どのような考えをお持ちですか?

 

宮崎 学びって強制的にやられたら嫌なものですけど、自分自身が興味を持ったことを学ぶのは、すごく楽しいことなんですよね。学生時代は勉強が義務だから、むちゃくちゃ辛かった思い出があるんですけれど、今振り返ってみたら、最高の環境にいたなと思うんです。できれば将来、大学院に戻って博士号を取りたいなという夢もあります。まあ、実際に取ろうと思ったら、お金もかかるし、時間もかかるし、仕事もできなくなる、みたいなことがあるので難しいですが(笑)。

 

――先ほどお話に出た戦略面以外で、クリエイターキャンプから学んだことはありますか。

 

宮崎 今まであまりサムネイルにこだわっていなくて、パッと見で内容が分かる写真とタイトルだったり、統一感を出すために黄色い文字を大きく出したりする程度しか意識していなかったんです。でも今回のクリエイターキャンプでサムネイルの重要性を教えていただきまして、いろいろ改善の余地があるなと感じました。ほかにも課題はたくさん見つかって、撮影に関する技術的なことや、構成やネタの考え方など、たくさんの学びポイントがありました。

 

――YouTubeチャンネルはセルフプロデュース力も重要だと思いますが、宮崎さんは動画を撮影する上で、どんなことを意識していますか。

 

宮崎 まず過去・現在・未来を伝えることが大切だと考えています。今までこういうことをやってきて、今やっていることは、将来こういうことがしたいからですと説明することで、視聴者に動画の目的や自分のパーソナリティーが伝えられるのかなと思います。あとは成功した話ばかりではなく、過去に失敗したことや、今悩んでいることなど、マイナスな要素や感情も伝えるようにしています。昔は上手くいったことばかり話そうみたいな気持ちが強かったんですけど、失敗から学ぶことのほうが大きいですし、失敗談のほうが面白いんですよね。飲み会でも、自慢話より失敗話のほうがウケるじゃないですか(笑)。

 

――教える系の動画は、ともすると上から目線の印象を与えてしまうリスクも高いので、宮崎さんのようなスタンスは親しみやすいですね。

 

宮崎 まさに私のYouTubeチャンネルは教える系なので、普段は自分のキャラを出さずに、ひたすらノウハウを伝えるだけに終始することが多いんです。そこで昨年、視聴者数が1万人増えるごとに、プライベートをがっつり話す動画をアップしてバランスを取る試みもしました。まだまだ、そこは弱い部分なので、教えるだけではないコンテンツも増やしていきたいです。本業ではそこまで必要とされていないことですが、YouTubeチャンネルだと面白がって観てくれる人もいるんじゃないかなと考えています。

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