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文壇随一の食通が考える理想の居酒屋メニューはコレだ!〜注目の新書紹介〜

  • 2021年1月31日
  • GetNavi web

書評家・卯月鮎が選りすぐった最近刊行の新書をナビゲート。「こんな世界があったとは!?」「これを知って世界が広がった!」。そんな知的好奇心が満たされ、心が弾む1冊を紹介します。

 

 

記憶に残る居酒屋メニューの数々

居酒屋の料理ってなんでそんなに後を引くんでしょうか? 特別高級な食材でもなく、凝った調理をしているわけでもないのに、「そうそう、これなんだよ!」というピッタリきた味でじんわりと温かくなります。ひとたびそのお店の美味しい料理に当たると「次は日本酒で試してみよう」とか、「華やかな梅酒ロックは合うかな」とか、何度も足を運びたくなってしまうのが居酒屋マジックですよね。

今回の新書『空想居酒屋』(島田雅彦・著/NHK出版・刊)は、そんな居酒屋の食べ物好きにもってこいの一冊。お酒ではなく、主に居酒屋メニューとその雰囲気に焦点が当たっているのがたまりません。

 

著者は芥川賞選考委員も務めるおなじみの小説家・島田雅彦さん。食通としても知られ、居酒屋を飲み歩いて40年、自ら包丁を握って35年だとか! そんな島田さんが過去に訪れた酒場を振り返りながら、理想の居酒屋料理を考えるエッセイ。それだけにとどまらず最後には自ら居酒屋を限定オープンしてしまいます。

 

多彩なキムチやタニシ、蚕の佃煮などつまみがズラリと30種類も並ぶ韓国のマッコリタウン。ホッキ貝入りのポテトサラダが定番メニューの幡ヶ谷駅前の居酒屋。名物カクテル「スプリッツ」をはしごしたヴェネツィアの立ち飲み居酒屋バーカロ……文字で再現された居酒屋の雰囲気と名物料理の数々に、読んでいるだけでほろ酔い気分に!

 

好きが高じて居酒屋オープン!?

ウェブ連載コラムをまとめたもので、テーマもバラエティ豊か。「『揚げ物王』はどれだ?」の回はダイエットの大敵です(笑)。ヴェネツィアで食前酒のつまみとして食べるオリーブの肉詰めの揚げ物、揚げ油と香辛料の風味が絶妙な中東のひよこ豆フライ。フワッとした衣にからむ甘辛いソースが決め手の関西の串カツ。そして横綱はやはり江戸前の天ぷら。穴子、キス、メゴチ、エビ……。水揚げされたその日に、海水の塩分が感じられる鮮度であることがベストだそう。すっかり揚げ物の口になってしまいました。

 

本書の最後では、初台にある行きつけのカフェのオープンテラスを借りて自ら居酒屋を開店してしまいます。調理インフラをキャリーバッグ1つにギュッと詰め込み、名付けて「何処でも居酒屋」。

 

包丁、まな板などの調理器具は100円ショップで調達し、あとは小型コンロ2つと、大小のフライパン。醤油や味噌、塩、砂糖、ナンプラー、ポン酢など各種調味料も収納すれば、どこでもたいていのものは調理できるとか。

 

「何処でも居酒屋」のメニューは台湾オムレツ、切り干し大根のソムタム風、チリコンカルネ、卵天……と各国料理が揃っています。簡単なレシピ付きで、自宅でも再現できそう。

 

お店派もおうち呑み派もどちらも楽しめる一冊。まさに読む居酒屋です。

 

【書籍紹介】

空想居酒屋

著者:島田雅彦
発行:NHK出版

そこに酒があり、ドリンカーがいれば、即酒場。コロナ禍で外食産業の大手チェーンが大打撃を受ける一方、デリバリーを軸としたゴーストレストランが増えてきている。ポスト・コロナの飲食店はどうなってしまうのだろうか。そんな中、国内外の酒場をハシゴして40年、包丁を握って35年の「文壇一の酒呑み&料理人」が、ついに理想の居酒屋“masatti“を開店した??? 芥川賞最多落選の芥川賞選考委員が放つ、気宇壮大かつ抱腹絶倒の食エッセイ!(レシピ&カラーページ付)

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【プロフィール】
卯月 鮎
書評家、ゲームコラムニスト。「S-Fマガジン」でファンタジー時評を連載中。文庫本の巻末解説なども手がける。ファンタジーを中心にSF、ミステリー、ノンフィクションなどジャンルを問わない本好き。

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