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【西田宗千佳連載】モバイル決済で「個人間のお金の動き」も変わる

  • 2019年1月12日
  • GetNavi web

「週刊GetNavi」Vol.74-4

決済というと、我々は「店舗での支払い」を思い浮かべる。だが実際には、もうひとつ大きな要素がある。それが「個人間決済」だ。友人と食事に行ってワリカンにする時の支払い、財布を忘れて同僚に缶コーヒーを買ってもらった時の後払いなど、個人同士での支払いは日常的にかなりある。自分の代わりに、遠くの人になにかを買ってもらうことや、個人クリエイターへの「投げ銭」、オークションでの支払いなどもみな「個人間決済」といえる。銀行振込のような面倒な手段とは違って、相手のIDなどがあればネット上だけで完結し、現金よりも支払いを楽にしてくれるのが「モバイル決済の個人間決済」といえる。

 

海外では2000年代に入るとすぐに、個人間決済が活発化していた。「eBay」のようなオークションサイトも、「PayPal」のような個人間決済サービスがあって初めて成立する。そもそも、商店であったとしてもそこが「個人事業主」であれば、そこでの決済は限りなく個人間決済に近い。

 

個人間決済はお金の動きが見えづらくなるため、マネーロンダリングに利用される懸念があり、日本ではなかなか普及しなかった。現在も、健康保険証などを使った厳密な個人認証を経て利用可能になるサービスが多い。LINE Payはそのやり方を採る。

 

一方で、「Kyash」や「AnyPay」といったサービスでは、プリペイドカード方式(Kyash)や収納代行(AnyPay)といった、事業者が間に入るやり方で個人間決済を実現している。PayPayやLINE Payなどに比べると目立ちにくいが、これらの事業者の動きにも注目だ。

 

どちらにしろ、現金を使わずネット上で「記録されたお金を動かす」ことで、決済に関わるビジネスの手間をなくすことがモバイル決済の狙いである。それが個人まで広がっていくことになれば、個人がより自由に、多数の人から収入を得て働く道につながるかもしれない。事業者の動きが見通しづらく、消費者としては戸惑いを感じる部分があるのが難点だが、現金をなくすのはあくまで「我々の生活をもっとシンプルにする」ことが目的なのである。バーコードによる個人間決済が普及した中国の都市部では、個人商店はもちろん、物乞いまでがバーコード決済を使っている。現金を出すより、個人間決済を使った方が楽であるからだ。日本でもそうなるか……というとかなり疑問なのだが、ワリカンやちょっとしたお小遣いの支払い、投げ銭などの用途に広がり、「財布を忘れても生活には困らない」ようになることを期待したい。

 

●次回Vol.75-1は「ゲットナビ」3月号(1月24日発売)に掲載されます。

 

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